警備業で特定技能・育成就労の対象化を検討|外国人材受け入れの論点とは

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警備業でも、特定技能や育成就労の制度を利用して外国人材を受け入れるようになるのでしょうか。

警察庁は2026年9月、警備業への外国人材の受け入れについて議論する「警備業への外国人材の受入れに関する検討会」を設置しました。今回の中心となるのは、警備業を特定技能制度と育成就労制度の対象とすることの是非です。ただし今回の検討は「外国人が初めて警備員として働けるようになる」というものではありません。警察庁の第1回検討会資料によると、2025年末時点ですでに7,270人の外国人が警備業務に従事しています。

今回議論されているのは、現在対象外の「特定技能」と「育成就労」に警備業を加えることが適当かどうかです。9月16日の第1回検討会では、受入れ見込数、日本語能力水準、業務区分、技能、転籍制限期間、警備業の特性を踏まえた措置、中長期的なキャリアパスなど、今後議論を深める具体的な事項も示されました。とは言え、2026年9月時点で警備業が両制度の対象になることは決まっていません。

本記事では現在の外国人警備員の状況を確認したうえで、警備業を特定技能・育成就労の対象とする検討の背景や、第1回検討会で示された外国人材受け入れの論点、警備会社が今後確認しておきたいポイントを解説します。

警備業への外国人材受け入れを警察庁が検討

2026年9月10日に行われた国家公安委員会委員長記者会見で警察庁長官は、同月から「警備業への外国人材の受入れに関する検討会」を開催し、外国人材の活用について検討を進める方針を明らかにしました。背景として挙げられているのが、警備業の深刻な人手不足です。

警察庁長官は警備業を「国民の安全・安心を支える、国民生活に欠かせない生活安全産業」と位置付けたうえで、警備員を含む「保安職業従事者」の有効求人倍率が全職業平均の5倍以上で推移していると説明しています。

警察庁が公表した「省力化投資促進プラン(警備業)」でも、2025年9月時点の有効求人倍率は保安職業従事者が6.70倍だったのに対し、全職業平均は1.10倍でした。また2024年の警備員のうち65歳以上が34.3%、60歳以上では47.0%を占めています。こうした人材確保の難しさを背景に、新たな担い手を確保する選択肢の一つとして、特定技能・育成就労の対象に警備業を加えるかどうかが議論されることになりました。

外国人7,270人がすでに警備業務に従事

外国人が警備員として働くこと自体が、現在一律に禁止されているわけではありません。警察庁の第1回検討会資料によると、2025年末時点の警備員数は59万6,985人で、このうち7,270人の外国人が警備業務に従事しています。資料では、「日本人の配偶者を有するなどの事情により在留を許可された外国人も含まれる」と説明されています。

外国人が日本で働くための在留資格は特定技能だけではありません。身分や地位に基づく在留資格など、就労制限のない在留資格で警備業務に従事するケースもあります。今回の焦点は、現在対象外の特定技能・育成就労で警備業への受け入れを認めるかどうかです。

9月16日に開催された第1回検討会では、警備業の特性や人手不足の状況を踏まえながら、制度の対象化や具体的な受け入れのあり方について議論が始まりました。

特定技能・育成就労とは?現在は警備業が対象外

今回の検討で焦点となるのが、「特定技能」と「育成就労」です。特定技能は、人材を確保することが困難な産業分野で、一定の専門性・技能を持つ外国人材を受け入れるための在留資格です。

一方、育成就労は、原則3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を持つ人材を育成するとともに、人材を確保するための制度です。2027年4月1日に運用が始まります。

2026年1月23日に閣議決定された対象分野には、介護、ビルクリーニング、建設、宿泊、鉄道、農業、外食業などがあります。ただし特定技能と育成就労では対象分野が一部異なり、警備業はいずれの制度にも現在含まれていません。


警察庁は第1回検討会資料で、警備業は人の生命、身体、財産などを守ることを主な業務とし、警備員には適時適切な判断が求められる場面や、他人の権利や自由を侵害するおそれのある場面に遭遇する機会が多いと説明しています。

そのため人手不足だけを理由に対象分野へ加えるのではなく、警備業の特性を踏まえた制度設計が求められます。

受入れ見込数・日本語能力・業務区分などが今後の論点に

2026年9月16日の第1回検討会では、今後議論を深める主な事項として、次の内容が示されました。

  • 特定技能外国人・育成就労外国人の受入れ見込数
  • 特定技能外国人・育成就労外国人の日本語能力水準
  • 業務区分と外国人材が従事する業務
  • 育成就労外国人の主たる技能
  • 育成就労外国人の転籍制限期間
  • 警備業特有の事情を踏まえて講じる措置
  • 外国人警備業労働者の中長期的なキャリアパス

制度の対象化の是非だけでなく、具体的な受け入れ条件まで議論が進んでいます。

受入れ見込数

特定技能・育成就労では、人手不足の状況などを踏まえて分野ごとに受入れ見込数を設定します。

第1回検討会資料では、仮に2028年度からの受け入れを見据える場合、警備業でどの程度の受入れ見込数が妥当なのか、その算出方法が検討事項として示されました。現時点で具体的な受け入れ人数は決まっていません。

日本語能力水準

外国人材にどの程度の日本語能力を求めるかも、制度設計の重要なポイントです。制度の基本方針では、特定技能1号は日本語教育の参照枠「A2相当以上」、育成就労では就労開始前までに「A1相当以上」、修了までに「A2相当以上」を基本とし、分野ごとに業務上必要な水準を設定します。

A1は日常生活で使われる基本的な表現を理解し、簡単なやり取りができる初歩的な水準です。A2は、身近な内容について基本的なコミュニケーションができる水準を指します。

警備業務では、施設利用者への案内や契約先との連絡、事故や災害時の情報伝達などもあるため、警備業にどの水準を求めるかが今後議論されます。

業務区分と求める技能

警備業には、施設警備、交通誘導警備、雑踏警備、貴重品運搬警備、身辺警護など性質の異なる業務があります。第1回検討会では、外国人材が従事する業務や、育成就労の「主たる技能」の設定が検討課題に挙げられています。警備業が制度の対象となっても、すべての警備業務が一律に対象になるとは限りません。

転籍制限期間

育成就労制度では、一定の要件を満たした場合、本人の意向による転籍(勤務先の変更)が認められます。基本方針では、転籍制限期間は1年を目指しつつ、分野の業務内容などを踏まえて1年から2年の範囲で設定する仕組みです。警備業でどの期間を設定するかが今後議論されます。

警備業特有の措置

特定技能・育成就労では、全分野共通の基準に加え、各分野の特性に応じた基準を設定できます。警備業では、警備員として業務に就くことができない一定の要件である「欠格事由」が警備業法で定められています。そのため、外国人材が欠格事由に該当していないことをどのように確認するかなど、追加措置の必要性が検討されます。

中長期的なキャリアパス

外国人材が警備業で技能を身につけ、中長期的にどのように働いていくかというキャリアパスも検討事項です。

育成就労は、原則3年間で特定技能1号水準の技能を身につけることを想定した制度です。そのため、育成就労修了後に特定技能1号へ移行することも含め、警備業でどのようなキャリア形成を想定するかが今後議論されます。

これらはいずれも第1回検討会の時点で結論が出たものではありません。具体的な基準や対象業務、人数などは今後の検討会で議論されます。

人手不足対策は「外国人材」だけではない

警備業の人手不足対策は、外国人材の活用だけではありません。警察庁は省力化も並行して進めています。2025年12月には警備業が政府の「省力化投資促進プラン」の対象業種に追加され、警備ロボットやドローン、交通誘導システム、配置・シフト管理などのデジタル化が示されました。

現在の警備業の人手不足対策は、「新たな担い手の確保」と「既存業務の省力化」の両面から進んでいると整理できます。仮に特定技能・育成就労による外国人材の受け入れが制度化されても、国内人材を含めた採用・定着、教育、省力化を組み合わせていく視点が重要です。

警備会社が今後確認しておきたい4つのポイント

現時点では、外国人材の採用を前提に具体的な準備を進める段階ではありません。

一方、制度化された場合には、採用や教育、現場運営に影響する可能性があります。経営者や採用・教育を担当する管理職は、次の4点を確認しておくとよいでしょう。

1. 警備業が対象分野に追加されるのか

まず確認したいのは、特定技能・育成就労の対象に警備業が実際に追加されるかです。

第1回検討会では、警備業の特性や警備員に設けられている欠格要件なども踏まえ、外国人材を受け入れることの妥当性が議論されています。

2. 自社が担う警備業務・技能が対象になるのか

制度化された場合でも、すべての警備業務が対象になるとは限りません。警備会社としては、自社が受託している施設警備、交通誘導警備、雑踏警備などが対象になるのか、外国人材にどこまでの業務を任せられるのかを確認する必要があります。

育成就労については、どの技能が育成対象として設定されるのかも確認したいポイントです。

3. 日本語能力や教育、警備業独自の基準はどうなるのか

制度化された場合、どの程度の日本語能力や技能を求めるかは採用実務に直結します。

あわせて、警備業法に基づく警備員教育との関係や、欠格事由の確認方法など、警備業独自の措置が設けられるかにも注意が必要です。求められる基準によって、採用できる人材の範囲だけでなく、採用後の教育や管理体制も変わります。

4. 受け入れ人数・転籍・キャリアパスはどうなるのか

制度全体でどの程度の外国人材を受け入れるのかに加え、育成就労における転籍ルールや、その後のキャリアパスも確認したいポイントです。

警備会社としては採用人数だけでなく、採用後の教育や定着、配置、キャリア形成まで含めて考えることが求められます。

まとめ|2027年年初の取りまとめを確認

警察庁は2026年9月、警備業を特定技能・育成就労の対象とすることについて検討を始めました。2025年末時点ですでに7,270人の外国人が警備業務に従事しており、焦点は現在対象外の特定技能・育成就労に警備業を加えるかどうかです。

9月16日の第1回検討会では、受入れ見込数、日本語能力水準、業務区分、技能、転籍制限期間、警備業特有の措置、中長期的なキャリアパスなどが、今後議論を深める事項として示されました。2026年9月時点では、警備業が両制度の対象となることも、具体的な基準も決まっていません。警察庁長官は、検討会に2027年年初の取りまとめを求めています。

警備会社の経営者や管理職は、今後の検討会と取りまとめを確認し、対象業務、日本語能力や技能、教育・受け入れ体制などの制度設計を把握することが重要です。同時に人手不足への対応は外国人材だけでなく、国内人材の採用・定着や省力化も含めて考える必要があります。制度化を見据え、自社の人員構成や採用状況を整理しておくとよいでしょう。

警備NEXT(警備ネクスト)では、業界の法令・制度動向を継続的にウォッチし、警備会社の経営や現場に役立つ視点でお届けしています。

※本記事は2026年9月16日時点の公開情報をもとに編集部が作成したものです。個別の事案に関する法的判断を示すものではありません。

参考・出典

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