「警備員は何歳まで働けるのだろう」と、60代・70代からの仕事探しで年齢制限が気になる人もいるでしょう。
結論からいうと、警備業法には警備員として働ける年齢の上限は定められていません。警備業法第14条では18歳未満の者を警備員としてはならないと定めていますが、高齢者についての上限年齢は規定されていません。
ただし、「法律上の上限がない」ことと、「何歳でも同じ条件で働ける」ことは別です。実際の勤務可能年齢は、勤務先の定年・継続雇用制度、担当する警備業務、本人の健康状態や体力などによって異なります。
警察庁の「令和7年における警備業の概況」では、2025年12月末の警備員数は59万6,985人で、そのうち60歳以上は28万2,509人、全体の47.3%を占めています。60歳以上の警備員が大きな割合を占めていることからも、高年齢層が警備業の人材構成において重要な位置にあることが分かります。
この記事では、警備員は何歳まで働けるのかという疑問について、警備業法の年齢制限、警備員の年齢構成、60代・70代が仕事を選ぶ際のポイント、警備会社が取り組みたい安全管理まで解説します。
警備員は何歳まで働ける?法律上の年齢制限を確認
警備員として働ける年齢を考える際は、まず警備業法上のルールを確認する必要があります。
警備業法には年齢の上限が定められていない
警備業法第14条では、18歳未満の者または同法第3条第1号から第7号までのいずれかに該当する者は、警備員となってはならないと規定されています。一方で、第14条には高齢者についての年齢上限は定められていません。
そのため、60代、70代という年齢だけを理由として、警備業法上、警備員になれなくなるわけではありません。ただし、警備業法には年齢以外にも警備員となることができない場合について規定があります。また、実際の採用や勤務条件は警備会社によって異なります。
つまり、
「警備業法に年齢上限はない」=「すべての警備会社で何歳まででも働ける」
という意味ではありません。
定年や継続雇用制度は勤務先によって異なる
警備業法とは別に、企業の定年や継続雇用制度については「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」が関係します。同法では、事業主が定年を定める場合、原則として60歳を下回ることはできません。また、65歳未満の定年を定めている事業主には、65歳までの安定した雇用を確保するための措置が義務付けられています。
さらに、65歳以上70歳未満の定年を定めている事業主などには、70歳までの就業機会を確保するための措置が努力義務とされています。対象となる措置には、定年の引き上げや継続雇用制度の導入、定年制の廃止のほか、継続的な業務委託契約を締結する制度の導入なども含まれます。
これは警備業に限った制度ではありません。
そのため、70歳以降も働き続けられるかを確認する場合は、警備業法だけでなく、勤務先の定年、再雇用制度、雇用契約なども確認することが必要です。
なお、70歳までの就業確保措置は努力義務であり、70歳までの雇用を一律に義務付ける制度ではありません。
警備員の年齢構成は?60代・70代の実態を警察庁データで見る
では、実際に警備員は何歳くらいで働いているのでしょうか。
警察庁の最新統計から、警備業界の年齢構成を確認します。
60歳以上の警備員は47.3%
警察庁の「令和7年における警備業の概況」によると、2025年12月末の警備員数は59万6,985人です。
年齢別では、以下のようになっています。
| 年齢 | 人数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 30歳未満 | 65,028人 | 10.9% |
| 30~39歳 | 52,968人 | 8.9% |
| 40~49歳 | 78,479人 | 13.1% |
| 50~59歳 | 118,001人 | 19.8% |
| 60~64歳 | 75,001人 | 12.6% |
| 65~69歳 | 78,496人 | 13.1% |
| 70歳以上 | 129,012人 | 21.6% |
60~64歳、65~69歳、70歳以上を合わせると、60歳以上は282,509人で、警備員全体の47.3%です。
特に70歳以上は129,012人、全体の21.6%を占めています。つまり、警備員のおよそ5人に1人が70歳以上であり、70代以上の人材も警備業界を支えていることが分かります。
ただし、この統計は警備員の年齢構成を示すものであり、「70歳以上ならどの業務でも勤務できる」ということを意味するものではありません。年齢だけで判断するのではなく、担当する業務の内容や勤務時間、本人の健康・体力などを踏まえて考える必要があります。
60代・70代の警備員が知っておきたい業務ごとの特徴

警備業務には複数の区分があり、勤務場所や身体的な負担も異なります。
60代・70代から警備員として働く場合は、「何歳だからこの仕事」という考え方ではなく、自分の体力や希望する勤務条件と業務内容が合っているかを確認することが重要です。
1号警備業務|施設警備
1号警備業務は、事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地などの警備業務対象施設において、盗難等の事故の発生を警戒・防止する業務です。
施設警備では、出入管理、巡回、防災センターでの監視など、現場によってさまざまな業務があります。
屋内で勤務する時間が比較的多い現場では、屋外業務と比べて天候の影響を受けにくい点が特徴です。一方、立ち仕事や巡回、夜勤などが含まれる現場もあるため、勤務時間や業務内容を事前に確認する必要があります。
求人を見る際は、「施設警備」という名称だけで判断せず、次のような条件を確認しましょう。
- 屋内・屋外のどちらで勤務する時間が多いか
- 巡回の距離や回数
- 夜勤や宿直の有無
- 立ち仕事の時間
- 休憩時間や勤務時間
2号警備業務|交通誘導警備・雑踏警備
2号警備業務には、交通誘導警備と雑踏警備があります。
交通誘導警備は、道路工事や建築工事などの現場、駐車場などで、車両や歩行者を誘導し、通行に伴う事故の発生を警戒・防止する業務です。
屋外での勤務が中心となるため、気温や天候の影響を受けやすい点には注意が必要です。
一方、求人によっては日勤のみ、週数日勤務などの条件が設定されている場合もあります。60代・70代から仕事を探す場合は、勤務日数だけでなく、勤務時間や現場までの通勤負担も含めて確認しましょう。
雑踏警備についても、イベントの規模や会場によって、立ち位置や移動距離、人の集中する時間帯などが異なります。
「2号警備だから働きやすい」と一括りにするのではなく、具体的な現場条件を確認することが仕事選びのポイントです。
60代・70代で警備員として働くために確認したいこと
警備員は年齢だけで就業できなくなる仕事ではありませんが、長く働くためには、自分の状態と勤務条件を照らし合わせる必要があります。
求職者が確認したい4つのポイント
1.業務内容と身体的な負担
求人票に「施設警備」「交通誘導警備」と書かれていても、実際の業務内容は現場によって異なります。
立ち仕事の長さ、巡回の距離、屋外での勤務時間、夜勤の有無などを面接時に確認しましょう。
2.勤務日数・勤務時間
60代・70代では、フルタイム勤務だけでなく、勤務日数や時間帯を自分の生活に合わせて検討することも選択肢になります。
特に夜勤や長時間勤務がある場合は、通勤時間も含めて無理のない勤務条件か確認することが大切です。
3.健康状態や体力と業務の適合
2026年4月から適用された「高年齢者の労働災害防止のための指針」では、高年齢者の健康や体力の状況を踏まえた就業上の措置や、健康・体力の状況に応じた業務とのマッチングなどが示されています。
求職者自身も、自分の体力や生活リズムを踏まえ、無理なく続けられる勤務条件を選ぶことが重要です。
4.警備業法に基づく教育を受ける
警備員として警備業務に従事する場合、警備業法に基づく教育を受ける必要があります。
初めて警備員になる人は、原則として新任教育を受け、その後も現任教育を受けます。年齢が高いことを理由に、必要な教育が一律に免除されるわけではありません。法令や業務上の注意点、安全な動作などを学び、現場で必要な知識・技能を身につけることが求められます。
警備会社が取り組みたいシニア警備員の安全管理

高年齢層の警備員を受け入れる警備会社では、「年齢が高いから配置を制限する」という考え方だけでなく、業務内容と本人の健康・体力の状況を踏まえて安全に働ける環境を整えることが重要です。
2026年4月から高年齢者の特性に配慮した安全対策が努力義務に
2026年4月1日から、「高年齢者の労働災害防止のための指針」が適用されています。
この指針では、高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善や作業の管理などについて、事業者が講ずるよう努めるべき措置が示されています。厚生労働省は、安全衛生管理体制の確立やリスクアセスメント、健康・体力の状況に応じた対応、業務とのマッチングなどを示しています。
警備会社では、例えば次のような視点から現場を見直すことが考えられます。
- 高年齢者の身体機能の変化を踏まえて、現場の危険要因を確認する
- 健康・体力の状況に応じて担当業務を検討する
- 巡回や立ち仕事など、身体的負担のある業務内容を確認する
- 屋外勤務では気温や天候などの環境条件を踏まえる
- 必要な教育・研修を継続して実施する
重要なのは、年齢だけで一律に業務を決めるのではなく、個々の警備員の状態と現場の業務内容を照らし合わせることです。なお、従来の「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」は2026年4月1日に廃止され、現在は新しい「高年齢者の労働災害防止のための指針」が適用されています。
まとめ|警備員は何歳まで働ける?年齢だけでなく勤務条件を確認しよう
警備員は何歳まで働けるのかという疑問について、警備業法には警備員として働ける年齢の上限は定められていません。
一方で、実際の勤務可能年齢や働き方は、勤務先の定年・継続雇用制度、雇用条件、担当する警備業務、本人の健康状態や体力などによって異なります。
今回のポイントは次の3点です。
- 警備業法には警備員の年齢上限が定められていない
- 2025年末時点で60歳以上の警備員は47.3%、70歳以上は21.6%を占めている
- 年齢だけでなく、業務内容・勤務時間・健康や体力の状況を踏まえて仕事を選ぶことが重要
60代・70代から警備員を目指す場合は、求人情報だけで判断せず、勤務時間や夜勤の有無、屋内・屋外の勤務、巡回や立ち仕事の負担などを面接時に確認しましょう。
警備会社側も、高年齢者の健康・体力の状況と業務内容を踏まえた配置や職場環境を検討し、2026年4月から適用された「高年齢者の労働災害防止のための指針」を踏まえて安全衛生対策を見直すことが重要です。
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※本記事は公開情報をもとに編集部が作成したものです。特定の企業の法的判断を示すものではありません。