秋になると、交通誘導警備の現場ではどのような点に注意すればよいのでしょうか。
警察庁によると、「令和8年秋の全国交通安全運動」は2026年9月21日から30日までの10日間実施されます。全国重点には、歩行者の安全確保、夕暮れ時の早めのライト点灯、自転車・特定小型原動機付自転車の交通ルール遵守などが掲げられています。
これらは警備員のために定められた重点ではありません。一方、交通誘導警備(工事現場や駐車場などで車両や歩行者を誘導し、事故の発生を警戒・防止する業務)では、夕暮れ時の視認性や、車両・歩行者・自転車が交わる場所での安全確認など、日々の業務と重なる部分があります。
本記事では、2026年秋の全国交通安全運動の内容を確認したうえで、秋の交通誘導警備で改めて見直したい安全確認について解説します。
2026年秋の全国交通安全運動は9月21日から30日まで
警察庁によると、令和8年秋の全国交通安全運動は2026年9月21日(月)から30日(水)までの10日間実施されます。9月30日は「交通事故死ゼロを目指す日」です。
全国交通安全運動は、交通安全に関する意識を広め、交通ルールの遵守や正しい交通マナーの実践を促すことで、交通事故の防止を図る国民運動です。毎年、春と秋の2回行われています。
2026年秋の全国重点は次の3つです。
| 対象 | 2026年秋の全国重点 |
|---|---|
| 歩行者 | 歩行者の安全確保と反射材用品の着用促進 |
| 自動車 | 夕暮れ時の早めのライト点灯と飲酒運転や「ながらスマホ」の根絶 |
| 自転車 | 自転車・特定小型原動機付自転車の交通ルールの理解・遵守の徹底 |
ここで押さえておきたいのは、全国交通安全運動によって交通誘導警備員の業務内容や権限が新たに変わるわけではないという点です。
警察庁の分析では、死亡事故は日没時刻と重なる17時台から19時台に多く、薄暮時間帯の死亡事故は10月から12月にかけて最も多く発生しています。このため、秋の交通誘導警備では、夕暮れ時の視認性の変化を意識しておく必要があります。
秋の交通誘導で注意したいのは夕暮れ時
秋の交通誘導警備でまず意識したいのが、夕暮れ時の見え方の変化です。
2026年秋の全国交通安全運動では、自動車に関する重点として「夕暮れ時の早めのライト点灯」が掲げられています。警察庁が令和3年から令和7年までの5年間の交通死亡事故を分析した結果、死亡事故は日没時刻と重なる17時台から19時台に多く、薄暮時間帯の死亡事故は10月から12月にかけて最も多く発生しています。
交通誘導警備の現場では、自分から接近する車両が見えていても、運転者から警備員が同じようにはっきり見えているとは限りません。
特に日中から勤務している場合は、周囲が少しずつ暗くなるため、視界の変化に気づきにくくなります。さらに、工事現場ではカラーコーンや工事車両、作業員、歩行者など多くの対象が視界に入るため、警備員自身が背景に紛れてしまうこともあります。
夕方になる前に、会社から指定されている誘導灯や反射材などの装備に問題がないかを確認し、「自分から見えるか」だけでなく「相手から自分が見えているか」という視点を持つことが必要です。
警備NEXTでは、反射材やLED誘導灯など、夕暮れ時に視認性を高める方法について別の記事でも紹介しています。
合図を出しただけで安心しない|運転者の反応まで確認
交通誘導では、警備員が停止や進行の合図を出していても、運転者がその合図を認識しているとは限りません。2026年秋の全国交通安全運動では、運転中の「ながらスマホ」の根絶も全国重点の一つに含まれています。
ただし、交通誘導警備員が「ながらスマホ」を取り締まるわけではありません。現場で必要なのは、運転者が自分の合図を確認しているかを見極めることです。
停止の合図を出した後も、接近する車両の速度が落ちているか、運転者がこちらを認識しているか、実際に停止したかを確認してから次の動作へ移る必要があります。
「合図を出したから止まるはず」と考えて先に動けば、認識がずれた場合に事故につながります。特に片側交互通行や工事車両の出入口など、一般車両と作業車両が同時に動く場所では、一つひとつの車両の反応を確認することが基本になります。
警備業法第15条では、警備業者と警備員について、警備業務を行うために特別な権限を与えられているものではないことに留意するよう定めています。そのため、一般道路上で交通誘導警備員が一般車両に行う合図は、警察官が法令に基づいて行う交通整理と同じ法的な権限を持つものではありません。
一方、「警備員の合図に従う義務があるか」を考える際には、一般道路を走る一般車両と、作業現場内の車両系建設機械を分けて考える必要があります。
労働安全衛生規則第158条では、車両系建設機械との接触による危険を防ぐために誘導者を配置した場合、運転者はその誘導に従わなければならないと定めています。また、第159条では、車両系建設機械について誘導者を置く場合、事業者は一定の合図を定め、誘導者にその合図を行わせること、運転者はその合図に従わなければならないとされています。
なお、ここでいう「誘導者」は労働安全衛生規則上の誘導者を指すものであり、交通誘導警備員であれば一律にこの規定が適用されるという意味ではありません。これは、一般道路上で交通誘導警備員が一般車両に行う合図とは法的な位置付けが異なります。
そのため、一般道路での交通誘導では、相手が合図に従うことを前提にせず、実際に減速・停止したことを確認しながら誘導することが必要です。
歩行者・自転車・車両が重なる場所では死角に注意
交通誘導の現場では、自動車だけを見ていれば安全を確保できるわけではありません。工事車両の出入口や交差点付近では、歩行者、自転車、一般車両、工事車両などが短時間に同じ場所を通過することがあります。
たとえば、車列が止まっている横を自転車が進んできたり、大型車両の陰から歩行者が現れたりする場面です。正面から見える車両に注意を向けすぎると、側方から接近する自転車や歩行者を見落とすことがあります。
2026年秋の全国交通安全運動でも、歩行者の安全確保と、自転車・特定小型原動機付自転車の交通ルールの理解・遵守がそれぞれ重点として設定されています。
交通誘導警備の実務では、これを「歩行者対策」「自転車対策」と別々に考えるより、複数の道路利用者が同時に動く場所で、どこに死角が生まれるかを確認することが現実的です。
勤務開始前には、車両が出入りする場所だけでなく、歩道、自転車が通りやすい側方、交差点、建物や工事車両で見えにくくなる場所などを確認しておくと、誘導中に注意すべき方向を把握しやすくなります。

普段の交通誘導を見直すなら確認したい5つのポイント
秋の全国交通安全運動だからといって、普段とは異なる特別な誘導をする必要があるわけではありません。
むしろ、日々行っている基本動作が形だけになっていないかを確認する機会として活用する方が、現場では実践しやすいでしょう。
勤務前や配置場所に着いたときには、次の5点を確認できます。
- 夕方以降の見え方
日没時刻や周辺の街灯などを確認し、暗くなる前から誘導灯や反射材などの装備を準備します。 - 車両から自分が見える位置か
カーブや大型車両、看板などで警備員が隠れないかを確認します。 - 歩行者・自転車がどこから来るか
正面だけではなく、側方や停止車両の陰などにも注意を向けます。 - 合図が相手に伝わったか
合図を出したことで完了とせず、減速・停止など相手の反応まで確認します。 - 複数の警備員との連携方法
片側交互通行などでは、無線や合図の方法、車両を流すタイミングを勤務前に共有します。
初めて交通誘導警備を担当する人は、合図の出し方や立ち位置など基本的なポイントもあわせて確認しておくとよいでしょう。
まとめ|交通安全運動を普段の誘導の見直しに
2026年秋の全国交通安全運動は、9月21日から30日まで実施されます。全国重点として、歩行者の安全確保、夕暮れ時の早めのライト点灯、自転車・特定小型原付の交通ルール遵守などが掲げられています。
これらは交通誘導警備員だけを対象とした取り組みではありません。しかし、秋の交通誘導では、日没が早まることによる視認性の変化や、車両・歩行者・自転車が重なる場所での安全確認など、改めて確認しておきたいことがあります。
特に見直したいのは、「自分から相手が見えているか」だけでなく「相手から自分が見えているか」、「合図を出したか」だけでなく「相手が反応したか」まで確認することです。
今回の全国交通安全運動をきっかけに、自分が担当する現場の立ち位置や死角、夕暮れ時の装備、隊員同士の連携方法を一度確認してみてください。
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※本記事は公開情報をもとに編集部が作成したものです。特定の企業の法的判断を示すものではありません。