警備ロボット「SQ-2」に変化検知|2026年の巡回警備を考える

テクノロジー

巡回警備では、決められたルートを回るだけでなく、現場の状態に変化がないかを確認することも重要です。こうした巡回業務を支援する技術として、警備ロボットの活用が進んでいます。

2026年9月1日、SEQSENSE株式会社は自律移動型警備ロボット「SQ-2」に、基準となる状態との違いを検知する「変化検知機能」を追加しました。不審物や放置物、照明の不点灯、設置物の位置変更などを検知し、警備員による確認を支援する機能です。警備業界では人手不足を背景に、省力化や自動化への対応が進められています。警察庁も警備ロボットなどを施設警備の省力化策の一つとして挙げています。

本記事では、SQ-2の変化検知機能を例に、警備ロボットが巡回警備で担える役割と、人による確認・判断との分担、導入前に確認したいポイントを整理します。

警備ロボットが注目される背景|警備業界の省力化はどこまで進んでいるのか

出典|警察庁「省力化投資促進プラン(警備業)概要」

警備業界では、警備員の確保が課題となっています。
警察庁の「省力化投資促進プラン(警備業)概要」によると、2025年9月の有効求人倍率は警備業が6.70倍で、全職業の1.10倍と整理されています。また、2024年における65歳以上の労働者の割合は、警備業で34.3%、全職業では13.6%でした。
同プランでは、警備業を労働集約型の産業と位置付け、自動化・機械化・システム導入を進める必要性を示しています。施設警備の省力化策として、警備ロボットやバーチャル警備システム、警備ドローンなども挙げられています。

こうした背景から、警備ロボットは警備業務の省力化や人手不足への対応策の一つとして検討されています。ただし、ロボットを導入すれば、そのまま警備員の業務がなくなるわけではありません。ロボットが定型的な巡回や情報収集を担い、警備員が情報を確認して必要な対応を判断するなど、役割を分けることが重要です。

警備ロボット「SQ-2」の変化検知とは?|巡回中の状態変化をAIで判別

SQ-2は、3D LiDARや自己位置推定、リアルタイム経路計画などの技術を利用した自律移動型警備ロボットです。あらかじめ決めた巡回ポイントを自律的に移動し、カメラによる映像をリアルタイムで配信する機能などを備えています。2026年9月1日に追加された「変化検知機能」では、指定した場所について、あらかじめ登録した基準状態と異なる変化をAIが判断します。

具体的には、

  • 不審物・放置物
  • 照明の不点灯
  • 設置物の位置変更

などが検知対象として示されています。検知結果は操作・監視用アプリケーションに記録され、リアルタイムで通知することも可能です。通知のオン・オフは施設の運用計画に応じて設定できます。ここで注意したいのは、「変化検知」という名称から、施設内で発生するあらゆる異常を自動的に判断する機能と捉えないことです。

公開されている説明では、基準状態との違いを検知する機能であり、人物の変化は検知対象ではないとされています。また、一部の機種では利用できないなどの条件もあります。そのため、現時点では「指定した場所の状態変化を検知し、警備員の確認を支援する機能」と捉えるのが適切でしょう。

変化検知を組み込んだ巡回警備の流れ

変化検知機能を巡回警備に組み込む場合、イメージしやすいのが次の流れです。

① SQ-2が設定したルートを巡回

② 指定したポイントの状態を確認

③ 基準状態との変化を検知

④ アプリケーションへの記録・通知

⑤ 警備員が映像や情報を確認

⑥ 必要に応じて現場を確認

⑦ 施設担当者への連絡など必要な対応

※⑤以降は、検知した情報をもとに警備員や施設側が確認・対応する流れの一例です。実際の対応方法は、施設の運用や警備体制によって異なります。

重要なのは、「検知=対応完了」ではないことです。例えば、設置物の位置が変わっていても、施設担当者が意図的に移動させた可能性があります。検知された情報をもとに、実際に確認や対応が必要なのかを判断する工程は残ります。したがって、変化検知機能は警備員の判断を置き換えるものではなく、巡回時の状態確認を支援する仕組みとして考えることが重要です。

人とロボットの役割分担|定型業務と判断業務を切り分ける

警備ロボットを導入する際には、どの業務をロボットに任せ、どの業務を警備員が担うのかを事前に整理する必要があります。

ロボットが担いやすい業務

SQ-2の公開情報から確認できる機能には、設定したポイントの自動巡回、カメラによる映像配信、動体の発見、環境の変化検出などがあります。そのため、一定のルートを繰り返し巡回する業務や、指定した場所の状態を確認する業務などは、ロボットの活用を検討しやすい領域といえます。

警備員が担う業務

一方、検知された情報の確認や、現場での状況判断、施設関係者への連絡、事故・災害などへの対応は、人による判断が必要になる場面があります。

今回の変化検知機能を活用する場合は、ロボットが「巡回・状態確認」を支援し、検知された情報をもとに警備員や施設側が「確認・判断・対応」を行う運用が考えられます。警備ロボットの導入を考える際には、単純に「警備員の仕事をロボットに置き換える」と考えるのではなく、現在の警備業務を分解し、どの部分を機械化できるのかを確認することが重要です。

SQ-2は実際の警備現場でも活用されている

SQ-2は、単なる実証段階の技術というわけではありません。SEQSENSEの公表情報によると、2026年4月には経済産業省総合庁舎別館で本格稼働を開始し、1階で巡回・立哨を行っています。また、2026年1月からは渋谷PARCOで、SQ-2による有人警備の業務代替について検証する実証実験も行われています。

こうした事例からも、警備ロボットの活用は「将来的な技術」の段階だけではなく、実際の施設警備における活用・検証の段階に進んでいることが分かります。ただし、施設の構造や警備体制、ロボットに任せる業務はそれぞれ異なります。ある施設で導入されているからといって、自社の顧客施設でも同じ運用ができるとは限りません。

変化検知を巡回警備に組み込む具体例

ここでは、公開されているSQ-2の機能をもとに、警備業務への組み込み方を想定します。

商業施設の閉館後巡回

閉館後の施設内をロボットが巡回し、あらかじめ指定した場所の状態を確認します。
例えば、通常は設置されている物が移動している、照明が点灯していないといった変化が検知された場合、監視側に通知します。警備員は通知された情報や映像を確認し、必要であれば現場を確認します。

物流施設の定期巡回

物流施設などで、一定の場所を繰り返し確認する業務にも活用が考えられます。
例えば、指定した設備周辺や通路などについて基準状態を登録しておき、巡回時に変化がないかを確認します。ただし、荷物の移動など通常業務による変化も考えられるため、何を「確認が必要な変化」とするのか、施設側と事前に整理する必要があります。

設備・設置物の状態確認

施設内に設置されている物品や設備について、位置や状態の変化を確認する使い方も考えられます。
この場合も、ロボットが変化を検知した後、警備員や施設担当者がその原因を確認する流れを設定しておくことが重要です。

※上記3例は、SQ-2で公開されている機能をもとにした想定例であり、各施設での実際の運用事例を示すものではありません。

導入前に確認したい5つのポイント

警備ロボットを導入する場合、機械の性能だけでなく、現場の警備体制との適合性を確認する必要があります。

1.どの業務を省力化したいのか

まず、現在の警備業務を整理します。
巡回そのものを効率化したいのか、巡回時の確認作業を補助したいのか、映像を遠隔で確認できるようにしたいのかによって、必要な機能は変わります。

2.ロボットが走行できる環境か

施設の通路幅、段差、エレベーターなど、ロボットが実際に移動できる環境かを確認します。
経済産業省も、ロボットを後から導入するだけではなく、業務フローや施設環境を「ロボットフレンドリーな環境」に変えていく考え方を示しています。そのため、ロボット本体だけでなく、施設側の環境も導入条件として考える必要があります。

3.何を「変化」とするのか

変化検知を利用する場合、基準となる状態と、検知後の対応方法を決めておくことが重要です。
すべての変化を異常として扱うのではなく、通常業務による変化なのか、確認が必要な変化なのかを整理します。

4.検知後に誰が判断するのか

ロボットが変化を検知した後、誰が通知を確認し、必要に応じて誰が現場へ向かうのかを決めます。
警備員、施設担当者、管制担当者など、施設ごとに役割を明確にしておくことが必要です。

5.警備業務・契約との関係を確認する

警備ロボットを導入する場合でも、現在の警備契約や警備計画、現場での対応体制との整合性を確認する必要があります。
特に、ロボットが検知した情報を誰が確認し、異常時に誰が対応するのかを曖昧にしたまま導入すると、実際の警備業務につながりません。
導入前には、ロボットの機能だけでなく、現在の警備業務と導入後の業務分担を整理しておくことが重要です。

警備ロボット導入で重要なのは「機械の性能」だけではない

警備ロボットを導入する際は、ロボット本体の性能だけでなく、施設の環境や現在の警備業務との適合性も確認する必要があります。

例えば、ロボットが走行しやすい通路や設備環境が整っているか、現在の巡回ルートをどのように変更するかなど、施設側の条件によって導入後の運用は変わります。経済産業省も、ロボットを後から導入するだけではなく、業務フローや施設環境を「ロボットフレンドリーな環境」に変えていく考え方を示しています。そのため、警備会社が導入を検討する際は、「どのロボットを入れるか」だけではなく、「現在の施設環境や警備業務にどのように組み込めるか」まで考えることが重要です。

まとめ|警備ロボットは「巡回」と「判断」を切り分けて考える

SQ-2に追加された変化検知機能は、指定した場所の基準状態との違いを検知し、警備員による確認を支援する機能です。2026年9月に正式リリースされ、警備ロボットによる巡回・確認業務の活用方法を考えるうえで、一つの事例となります。

警備会社が警備ロボットの導入を検討する際は、次の3点を確認しておきましょう。

  1. 現在の警備業務から、ロボットに任せられる定型業務を整理する
  2. 検知後の確認・判断・対応を誰が担うのか決める
  3. 施設環境や警備契約、実際の運用体制との整合性を確認する

警察庁も警備業の省力化策として、警備ロボットなどの活用を挙げています。今後、警備会社にとっては、ロボットを導入するかどうかだけでなく、既存の警備業務のどこに組み込めるのかを検討することが重要になるでしょう。

まずは自社が担当する施設の巡回業務を洗い出し、定型的な確認作業と、人による判断が必要な業務を切り分けてみることから始めてみてはいかがでしょうか。

警備NEXT(警備ネクスト)では、業界の法令動向や事案を継続的にウォッチし、現場に役立つ視点でお届けしています。

※本記事は公開情報をもとに編集部が作成したものです。特定の企業の法的判断を示すものではありません。

参考・出典

関連記事

TOP
CLOSE