タイヨー大村社長が語る、これからの警備会社経営に必要な考え方・現場環境づくり・女性活躍の可能性
警備会社経営において、最も大切なことは何か。タイヨー株式会社 代表取締役社長の大村亮太氏は、「誰のための会社か」を考えることだと語ります。
その中心にいるのは、現場で汗をかく警備員です。待遇、仕事の品質、熱中症対策、休憩環境の整備、女性が働きやすい職場づくり。大村氏の話には、すべてを警備員中心に考えるという一貫した姿勢がありました。
後編では、これからの警備会社経営に必要な考え方、現場環境づくり、女性活躍の可能性、そして異業種から警備業界に参入する人たちへのメッセージをうかがいました。
プロフィール
創業者を父に持つ2代目代表取締役社長。別業界での勤務を経て、3年間の修行期間後、30歳になる年にタイヨー株式会社へ入社。採用改革を皮切りに、警備業を“選ばれる仕事”にするための組織づくりを推進。現在は採用・定着・待遇改善・現場環境整備などを通じて、「警備員中心」の経営に取り組んでいる。
タイヨー株式会社:https://keibi-taiyo.co.jp/
これからの警備会社経営に必要なのは、「誰のための会社か」を考えること
――これからの警備会社経営に必要なことは何だと思いますか。
採用、教育、定着、待遇改善。全部大事は大事です。ただ、一番は「誰のための会社か」というところです。
社員のための会社、特に「一番現場で汗をかいている警備員さんのための会社」じゃないといけないと思っています。それは常々伝えていますね。
何をするにしても、会社のすべてを警備員さん中心に考えるようにしています。そこが結構大事かなと思います。これは今からというより、最初からずっと一貫している考え方ですし、定着にもすべて結びつくと思います。
――警備員さんを中心に考えることは、仕事の品質にもつながりますか。
そうですね。警備員の質で、全部決まります。
今は、品質の部分で仕事をもらって、新しい仕事が決まっている側面が増えてきました。営業方針としても、「うちにしかできない仕事をやりましょう」と言っています。
他の会社でもできる仕事だと、結局そういう扱いになってしまいます。だから、うちだからできる仕事をちゃんと作っていくことが大事です。
「ここでしかできない仕事がある」と伝えることができれば、応募する方にとっても「ここで働きたい」につながると思います。
――仕事と待遇のバランスはどのように考えていますか。
楽しい仕事をやりたいじゃないですか。仕事とお給料、会社からもらう評価もそうですが、見合うかどうかがすべてです。
割に合わないなと思ったら、社員は辞めてしまいます。お金だけではありませんが、そこのバランスはちゃんと考えています。この仕事だったらこれくらい給料を払わなきゃいけないよね、逆にこれはこのくらいで大丈夫だよね、というバランスです。
社員や警備員さんの給料は一律ではなく、かなり細かく設定しています。警備員さんたちも「見合うかどうか」で判断していると思いますし、お客さまも、この料金を払って品質が見合うかどうかを判断していると思います。
だからこそ、いただいた料金以上の仕事を提供するようにしています。新しい仕事が決まったときは、「品質で圧倒しよう!」と言っています。
冷蔵庫の設置、休憩室の確保。熱中症対策は「辞めない現場づくり」でもある
――熱中症対策は、具体的にどのようなことをされていますか。
熱中症対策はかなり気を付けています。ファン付き制服のようなものもありますし、熱中症対策系のグッズも用意しています。現場が許すのであれば、冷蔵庫を置かせてもらうこともあります。常に冷たいものが飲めるようにするためです。
環境面についても、お客さまに要望を出します。ちゃんと冷房が効く部屋、休憩室のようなものを用意してくださいと伝えます。逆にそれが用意できないなら、うちとして何ができるかを熱中症リスクがある現場に関しては、必ず検討しています。
休憩室などの環境が原因で人が辞めることもあります。だから、そうならないように、会社がどう取り組んでいるかを社員に見せないといけないと思っています。
――現場環境を整えるにはコストもかかりますが、どう考えていますか。
コストはかかります。ただ、募集費に消えるか、備品代に消えるかという話です。同じコストをかけるなら、警備員さんのために使った方がいいと思います。
一番大事なのは休憩時間の管理です。休憩の間に別の人を立てなければならない場合もありますし、コストは当然かかります。
それに、お客様が「熱中症対策だから人を増やしていい」と言っていても、警備会社側が人を出せず、職場環境を整えられないケースもあると思います。そうなると、熱中症対策が進まない悪い循環になってしまいます。
――装備や服装については、どのように考えていますか。
屋外で日差しが強く、遮るものがない場所では、ファン付き制服を着ていても、熱い空気を取り込んでしまう場合があります。長袖を着るのも、直射日光を防ぐ目的があります。一概に半袖だからいい、というものではありません。現場の環境に合わせて、どう工夫するかを判断することが大事なことだと考えています。

女性はチャンスが大きい。なければ作ればいい
――これから警備業界で働く人に向けて、どのようなメッセージを伝えたいですか。
警備業は、これからすごく良くなると思います。AIに置き換わっていく仕事は増える中で、これからは我々の時代ですよ。今のうちに警備業界に入って、資格をたくさん取っておけば、将来的にも十分チャンスがあると思います。
資格についても、今は試験の枠が空いていることがあります。慢性的な人手不足で、会社が資格取得まで人を出せない、取らせられる人には取らせ終わっている、新しい人材が入ってこない、というケースもあると思います。今は資格を取りたい人にとってチャンスです。
――女性にとってもチャンスはありますか。
女性も、めちゃくちゃチャンスがあると思います。まじめに取り組む方が多いので評価されやすいですし、活躍次第でしっかり稼げる可能性もあります。需要もたくさんありますし、環境もこれからどんどん整えていきます。
女性には、まだまだ働き口が少ない部分もあると思いますが、警備業はいいと思いますね。短い時間しかできない、日中しか働けないなど時間が限られているなら、そういった仕事を作ればいいんです。
お客様から与えられている仕事しかやっていないから、選択肢がないように見えるのだと思います。なければ作ればいい。作っていきましょう、というのが私の考えです。
業界を良くするための参入なら歓迎。本気で取り組む人に来てほしい
――警備会社の経営者や、異業種から参入する方に向けてメッセージはありますか。
異業種から警備業に入ってくること自体は、業界を良くするために来てもらえるなら大歓迎です。ただ、自分たちの売上だけで考えているなら嫌ですよね。うまくいかず、すぐに辞めてしまうケースも多いので、それは警備業界のイメージを悪くしてしまいます。
普通に会社を運営していれば、警備会社は赤字をあまり出さずに済む構造だと思います。ただ、そこを崩しているのが人材不足です。人材不足によって、今までのスキームが成り立たなくなり、うまくいかなくなっている部分があります。
募集にお金を使っていると、同じくらい人が辞めるんです。でも、社員や警備員さんにお金を使うと辞めないので、増えた分はそのまま増えていきます。そこが大事です。
人集めにお金を使い過ぎている会社は多いと思います。うちは、警備員さんの待遇は業界の中でもトップクラスにいいと思っています。そこはすごく意識しています。
業界を良くしたい。そういう気持ちを持って取り組んでいただけたらうれしいです。
警備NEXT(警備ネクスト)では今後も、警備業界で働く人を支え、業界の未来を前向きに変えていく経営者や現場の取り組みに注目し、明日からの経営に役立つヒントをお届けしていきます。