建設投資81兆円の見通しを交通誘導警備の受注にどう生かす?営業・人員計画の4つのポイント

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建設投資の動向を、交通誘導警備会社の受注拡大や経営計画にどう生かせばよいのでしょうか。
国土交通省が2026年8月31日に公表した「令和8年度(2026年度)建設投資見通し」によると、2026年度の建設投資総額は前年度比2.9%増の81兆4,700億円となる見通しです。政府・民間ともに投資額の増加が見込まれ、建築・土木の各分野でも前年度を上回る予測となっています。

道路の舗装・補修や上下水道工事、民間の建築・改修工事などは、交通誘導警備の受注につながる可能性がある分野です。警備会社にとっては、こうした工事の動向を把握し、営業先の選定や人員確保を計画することが重要になります。
ただし、建設投資額は工事件数や警備員の配置人数を示すものではありません。受注につなげるには、地域の工事発注情報と現場ごとの配置条件を確認する必要があります。

本記事では、国土交通省の公表データをもとに、交通誘導警備会社が注目したい工事分野を整理し、営業計画や受注判断、人員配置に生かすための4つのポイントを解説します。

2026年度の建設投資は81兆4,700億円、前年度比2.9%増

出典:国土交通省「令和8年度(2026年度)建設投資見通し」

国土交通省の「建設投資見通し」は、国内の建設市場の規模や構造を把握するため、1960年度から毎年度作成されている統計資料です。実績や経済動向などをもとに、建設投資額の見込みや見通しを示しています。ここでいう建設投資とは、国内で行われる建設活動について、工事の進捗に応じた出来高ベースで投資額を推計したものです。
2026年度の建設投資は81兆4,700億円となり、2025年度の見込み額79兆1,800億円から2兆2,900億円増加する見通しです。

政府投資・民間投資ともに増加する見通し

国土交通省が公表した主な数値は次のとおりです。

区分2026年度見通し前年度比
建設投資総額81兆4,700億円+2.9%
政府投資26兆6,000億円+0.6%
民間投資54兆8,700億円+4.1%
建築投資52兆9,500億円+3.5%
土木投資28兆5,200億円+1.8%

出典:国土交通省「令和8年度(2026年度)建設投資見通し」(2026年8月31日公表)。金額は名目値。

出典:国土交通省「令和8年度(2026年度)建設投資見通し」国土交通省公表資料をもとに警備NEXT編集部作成。政府・民間と建築・土木は、それぞれ異なる分類です。

全体では民間投資が約67%、政府投資が約33%を占めます。伸び率では民間投資の4.1%増が政府投資の0.6%増を上回っており、2026年度の建設市場は民間部門の動向にも注目する必要があります。交通誘導警備会社にとっては、公共工事だけでなく、民間の建築・土木工事を含めて営業先を検討するための材料になります。

投資額の増加と工事件数の増加は同じではない

今回の統計を見る際に注意したいのが、建設投資額は名目値であるという点です。名目値は、資材価格や人件費などの価格変動の影響を含んだ金額です。仮に同じ規模の工事でも、工事費が上昇すれば投資額が増える場合があります。そのため、建設投資が2.9%増加する見通しだからといって、工事件数や交通誘導警備員の必要人数も同じ割合で増えるとは判断できません。

警備会社が受注計画を立てる際には、投資額だけでなく、工事の発注状況や施工期間、交通規制の有無なども確認しておきたいところです。

建設投資の内訳から見る、交通誘導警備の受注機会

建設投資の見通しを交通誘導警備会社の営業に生かすには、工事の種類ごとに市場の動きを確認することが必要です。国土交通省の統計では、2026年度の土木投資が前年度比1.8%増、建築投資が3.5%増となっています。

交通誘導警備との関係では、道路工事や上下水道工事に加え、民間建築物の新築や既存施設の改修なども営業対象として考えられます。

土木投資は28兆5,200億円、道路・上下水道工事に注目

2026年度の土木投資は28兆5,200億円で、前年度比1.8%増となる見通しです。内訳を見ると、政府土木投資は18兆5,800億円で0.6%増、民間土木投資は9兆9,400億円で4.1%増とされています。政府土木投資のうち、公共事業に該当する投資額は15兆5,100億円で、前年度比0.6%増となる見通しです。
土木工事は、交通誘導警備と関係の深い分野です。特に、次のような工事では警備員の配置を伴う可能性があります。

工事の種類交通誘導警備が必要となり得る場面
道路舗装・補修工事片側交互通行、車線規制、歩行者の迂回誘導
上下水道管の敷設・更新工事道路の掘削に伴う交通規制、工事車両の誘導
橋梁の補修工事通行規制、作業車両の出入り、歩行者の安全確保
その他の土木工事道路に接する現場での工事車両の誘導や通行者の安全確保

例えば、道路上で行う上下水道管の更新工事では、掘削箇所に応じて交通規制の位置が変わることがあります。警備会社には、施工工程に合わせた配置人数や稼働日数の調整が求められます。また、道路補修工事では、日中だけでなく夜間に施工する案件もあります。営業段階から稼働時間帯を確認しておけば、夜勤に対応できる警備員の確保や勤務調整を進めやすくなります。
警備会社が注目すべきなのは土木投資の総額だけではありません。自社の営業エリアで、どのような工事が発注され、どの程度の期間にわたって交通誘導が必要となるのかを把握することです。

民間非住宅建築投資は8.6%増、建築現場の受注機会にも注目

2026年度の民間非住宅建築投資は12兆3,200億円で、前年度比8.6%増となる見通しです。民間非住宅建築とは、住宅以外の民間建築物を対象とした投資を指します。事務所や工場、倉庫、商業施設などの建築工事では、資材搬入車両の誘導、工事車両の出入口管理、周辺歩行者の安全確保など、交通誘導警備が必要となる場合があります。特に、市街地や交通量の多い場所にある建築現場では、道路の使用状況や搬入計画によって警備員の配置が必要になることがあります。
交通誘導警備会社としては、地元の建設会社や元請企業が手がける新規案件を確認し、工事着手前から警備計画について相談できる関係を築くことが営業上の選択肢になります。

例えば、建築現場の工事車両出入口での誘導を得意とする会社であれば、新築案件を手がける建設会社を重点的な営業先に設定できます。搬入車両が集中する時間帯や現場周辺の通学路などを確認し、必要な警備体制を提案する方法も考えられます。

統計上の「民間非住宅建築投資」と「民間非住宅建設投資」の違い
区分2026年度見通し対象範囲
民間非住宅建築投資12兆3,200億円住宅以外の民間建築物の新築・増築・改築
民間非住宅建設投資22兆2,600億円上記の建築投資に民間土木投資を加えたもの

民間非住宅建設投資は、民間非住宅建築投資12兆3,200億円と民間土木投資9兆9,400億円の合計です。建築分野のみを示す数値ではないため、両者を区別して確認する必要があります。

出典:国土交通省「令和8年度(2026年度)建設投資見通し」「建設投資見通しを利用するにあたっての参考情報」

建築補修・改修投資も17兆円規模に

2026年度の建築補修(改装・改修)投資は17兆2,900億円で、前年度比2.7%増となる見通しです。このうち民間の建築補修・改修投資は14兆5,900億円で、前年度比3.1%増となっています。改修工事でも、仮設足場の設置や資材搬入、工事車両の出入りなどに伴い、交通誘導警備が必要となることがあります。新築工事に比べて施工場所や作業範囲が限定される案件もありますが、道路に面した建物や営業中の施設では、周辺の歩行者・車両への配慮が求められます。

例えば、オフィスビルの外壁改修や商業施設の設備更新では、施設を利用する歩行者と工事車両の動線が交差する場合があります。こうした現場では、工事車両の誘導に加え、利用者の通行を妨げない配置計画が求められます。
警備会社としても、新築工事に限らず、地域で予定されている改修・補修工事まで営業対象を広げて検討することができます。

交通誘導警備の需要は、工事の配置条件で変わる

建設投資の見通しから受注機会を探る際には、工事の種類だけでなく、交通誘導警備の配置条件を確認する必要があります。工事金額が大きい現場でも、一般車両や歩行者との接点が少ない場合があります。一方、小規模な道路工事でも、交通規制や歩行者通路の確保のために警備員の配置が必要となることがあります。

交通誘導警備の定義と配置義務は別に考える

交通誘導警備は、警備業法第2条第1項第2号に該当する警備業務の一つです。交通誘導警備は、警備業法第2条第1項第2号に規定される2号警備業務の一つです。同号では、人や車両が混雑する場所、または通行に危険がある場所で、負傷などの事故を警戒・防止する業務を定めており、交通誘導警備と雑踏警備がこれに該当します。
ただし、この規定は警備業務の種類を定義するものであり、すべての建設工事現場に交通誘導警備員の配置を義務付けるものではありません。

実際の配置については、工事に伴う危険性や交通規制の方法、道路使用許可の条件、発注者の仕様書などを個別に確認する必要があります。

例えば、同じ規模の建築工事でも、敷地内で工事車両の出入りが完結する現場と、交通量の多い道路に接する現場では、誘導業務の内容が異なります。

また、交通誘導警備員を配置する場合には、警備業法第18条に基づく検定合格警備員の配置義務にも注意が必要です。高速自動車国道、自動車専用道路、都道府県公安委員会が認定した路線など、法令で定められた業務では、交通誘導警備業務1級または2級の検定合格警備員を所定の基準に従って配置しなければなりません。
警備会社が需要を見極めるには、工事金額よりも、実際の配置条件や稼働日数、必要資格を確認することが欠かせません。

出典:e-Gov法令検索「警備業法」第2条・第18条、警視庁「検定合格警備員の配置基準」

施工工程や交通規制によって必要人数は変わる

もう一つ考慮したいのが、工事現場における施工方法や交通規制方法の違いです。工事の工程が変われば、交通誘導警備員を必要とする日数や時間帯も変わります。複数の工事が同時期に進む場合には、人員需要が特定の期間に集中することもあります。また、交通誘導支援機器などの活用によって、従来とは異なる人員配置が検討される現場もあります。
ただし、こうした機器の導入だけで警備員の配置が不要になるわけではありません。道路使用許可の条件、現場の危険性、発注者の指定などに基づいて判断する必要があります。

今回の建設投資見通しには、交通誘導警備の発注件数や配置人数に関する予測は含まれていません。したがって、2026年度の警備需要が全国で何%増加するかは、この統計だけでは確認できません。
警備会社としては、自社が対応できる工事の種類や地域を踏まえ、案件ごとの必要人数と稼働日数を積み上げて受注見込みを判断することが重要です。

交通誘導警備会社が2026年度の工事市場で確認したい4つのポイント

建設投資の増加見通しを経営に生かすには、全国の統計を自社の営業エリアや受注案件に落とし込むことが必要です。特に、工事情報の収集、営業先の見直し、人員確保、契約条件の確認という4つの視点から整理すると、具体的な対応につなげやすくなります。

1.地域の公共工事・民間工事の発注情報を確認する

まず取り組みたいのが、自社の営業エリアにおける工事情報の確認です。公共工事については、国土交通省や地方自治体などが発注見通しを公表しています。入札情報サービス(PPI)では、公共機関等が発注する工事の発注見通しや入札公告、入札結果などを検索できます。警備会社が確認する際には、工事名だけでなく、施工場所、工期、発注者、工事の種類などに注目するとよいでしょう。
特に道路工事や上下水道工事など、交通誘導警備と関係する可能性がある案件を整理しておけば、元請企業への営業や人員確保の準備に役立ちます。

例えば、営業担当者が発注見通しから案件を抽出し、過去の入札結果などから施工会社を確認する方法が考えられます。受注企業が判明した段階で、自社の対応エリアや配置可能人数を踏まえて営業先を絞り込めます。

民間工事についても、既存の取引先へのヒアリングや地域の建設計画に関する公開情報などを活用し、案件の動きを把握しておくことが有効です。収集した工事情報は、営業担当者だけで管理するのではなく、管制担当者とも共有しておきましょう。工事開始予定時期と既存案件の稼働状況を照らし合わせることで、営業活動の優先順位を判断しやすくなります。

2.工事の種類に応じて営業先を見直す

2026年度は、民間非住宅建築投資が前年度比8.6%増、民間土木投資が4.1%増となる見通しです。こうした市場の動向を踏まえると、公共土木工事を中心に受注している警備会社でも、民間建築工事や改修工事を手がける企業との取引を検討する余地があります。
ただし、営業先を広げる際には、自社の得意分野や対応可能な警備業務を確認する必要があります。

例えば、道路工事での片側交互通行と、建築現場での工事車両の出入口誘導では、求められる対応が異なります。営業先を検討する際には、次のように工事の種類と警備業務を整理すると判断しやすくなります。

営業対象想定される警備業務主な営業先
道路舗装・補修工事片側交互通行、車線規制時の誘導道路工事を請け負う建設会社
上下水道工事掘削箇所周辺の誘導、歩行者通路の確保管工事会社、土木工事会社
民間建築工事工事車両の出入口誘導、歩行者の安全確保総合建設会社、建築会社
建物の補修・改修工事資材搬入時の誘導、仮設工事周辺の安全確保改修工事会社、設備工事会社

※警備NEXT編集部作成。営業対象と業務内容の整理例であり、各工事で警備員の配置が義務付けられることを示すものではありません。

例えば、資格者を一定数確保している会社であれば、認定路線を含む道路工事への対応を営業上の強みとして打ち出すことが考えられます。一方、短期間の配置調整に強みがある会社であれば、改修工事や資材搬入に伴う誘導案件なども営業対象になります。

受注金額だけで案件を選ぶのではなく、必要資格、教育状況、警備員の経験、現場までの移動距離なども含めて判断することが必要です。

3.工期と配置人数をもとに人員計画を立てる

工事市場が拡大しても、警備会社が必要な人員を確保できなければ、新規案件への対応は難しくなります。特に交通誘導警備では、工事の開始時期や施工工程によって、警備員の必要人数が変動します。既存案件の稼働状況を把握せずに新規受注を増やすと、配置調整が難しくなるおそれがあります。そのため、営業担当者と管制担当者(警備員の配置や勤務調整を行う担当者)が情報を共有し、受注予定と配置可能人数を照らし合わせることが必要です。

新規案件については、必要人数だけでなく、稼働時間帯、資格者配置の条件、工期変更の可能性なども確認しておくと、配置計画を立てやすくなります。特に注意したいのが、交通誘導警備業務検定の合格警備員の配置です。

警備業法第18条と警備員等の検定等に関する規則により、高速自動車国道、自動車専用道路、都道府県公安委員会が認定した路線などで交通誘導警備業務を行う場合には、業務を行う場所ごとに、交通誘導警備業務1級または2級の検定合格警備員を1人以上配置する必要があります。そのため、管制担当者は単に配置可能な警備員の総数を把握するだけでなく、資格別の人数や稼働予定も管理しなければなりません。

例えば、同じ日に複数の認定路線で工事が予定されている場合、一般の警備員数に余裕があっても、必要な検定合格警備員を確保できず、すべての案件を受注できないことがあります。

営業担当者が受注を確約する前に、管制担当者が必要資格と配置可能人数を確認する運用を整えておくことが重要です。また、長期工事では警備員の休暇や欠勤、工期延長にも対応する必要があります。特定の資格者だけに依存しないよう、代替要員の確保や資格取得に向けた育成計画も検討しておきたいところです。

出典:警視庁「検定合格警備員の配置基準」

4.警備料金と契約条件を見直す

建設投資額が増加する局面でも、警備会社の利益が自動的に増えるわけではありません。警備業務では、警備員の賃金に加え、社会保険料、教育費、交通費、制服・装備品などの費用が発生します。さらに、現場条件によっては、早朝・夜間の勤務や遠方への移動など、追加の負担が生じる場合もあります。受注を検討する際には、必要な原価を積算したうえで、適切な警備料金を設定することが必要です。

例えば、同じ2名配置の案件でも、日中の工事と夜間工事では人件費や勤務調整の負担が異なります。また、短時間の勤務でも移動時間が長い場合には、警備員の拘束時間を踏まえた収支確認が必要になります。

営業担当者が見積もりを作成する際には、管制担当者から実際の配置条件や移動時間、資格者の確保状況などの情報を得ることで、現場の実態に合った積算を行いやすくなります。また、工事の中止や延期、配置人数の変更、急な追加依頼があった場合の取り扱いについても、契約前に確認しておきたいところです。案件数の確保だけを優先するのではなく、警備員を安定して配置できるか、適正な利益を確保できるかという観点で受注を判断することが、継続的な経営につながります。

警備会社向け|工事市場の確認チェックリスト

  • 営業エリアの公共工事発注見通しを確認している
  • 既存取引先の新規工事・改修工事の予定を把握している
  • 案件ごとの配置人数・工期・必要資格を確認している
  • 今後の受注予定と配置可能人数を照合している
  • 検定合格警備員の配置条件と稼働予定を確認している
  • 警備料金の積算と契約条件を定期的に見直している

建設投資の見通しを交通誘導警備の受注機会につなげるには

今回の公表資料から、交通誘導警備会社が押さえておきたいのは次の3点です。

  1. 建設投資は前年度比2.9%増。 特に民間非住宅建築投資は8.6%増となっており、公共工事だけでなく民間建築工事の動向にも注目する必要がある
  2. 道路・上下水道工事に加え、民間建築や改修工事も営業対象となる。 ただし、具体的な受注機会は工事場所や交通規制、配置条件によって異なる
  3. 受注拡大には営業と管制の連携が欠かせない。 工事の発注情報と配置可能人数、検定合格警備員の確保状況、警備料金を照らし合わせて判断する必要がある

建設投資の見通しは、警備会社が今後の市場動向を把握するための情報です。一方、実際の受注拡大につなげるには、地域の工事情報を収集し、自社が対応できる案件を見極めることが求められます。まずは、自社の営業エリアで予定されている道路工事や建築・改修工事を洗い出し、今後の受注見込みと警備員の配置計画を照らし合わせることから始めるとよいでしょう。

警備NEXT(警備ネクスト)では、警備業界の最新動向と実務に役立つ情報を継続的に発信しています。

参考資料・出典

※本記事は2026年11月3日時点で確認できる公表資料に基づいて作成しています。建設投資額は国土交通省の推計・見通しであり、実際の工事発注額や交通誘導警備の需要を保証するものではありません。法令の適用、警備員の配置条件および契約上の取り扱いについては、個別の現場条件や最新の関係法令、発注者・関係機関の指定事項をご確認ください。

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