交通誘導警備の労働災害を防ぐには|建設現場との事前協議で確認したい5項目

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建設現場で交通誘導にあたる警備員を、車両や重機との接触事故からどう守るべきなのでしょうか。
仙台労働基準監督署は2026年7月21日、「建設業における労働災害防止に向けた取組強化について」を建設業関係団体に要請しました。背景には、2026年に入って宮城県内の建設現場で交通誘導の警備員がトラックに追突され死亡する労働災害が2件発生するなど、県内で交通災害が多発している状況がありました。
そのなかで交通規制や工事用車両の運行経路などについて、建設現場と警備会社が連絡調整を行い、安全な警備計画を作成することが示されています。

本記事ではその内容を踏まえ、交通誘導警備の労働災害を防ぐため、警備会社が建設現場との事前協議で確認したい事項を5つに整理します。

交通誘導警備の労働災害防止が改めて求められている

仙台労働基準監督署管内では、2025年の建設業における休業4日以上の死傷者数は140人で、前年より7人減少しました。一方、死亡災害は2件発生しています。
さらに2026年に入ってから、宮城県内の建設現場で交通誘導警備員がトラックに追突され死亡する災害が2件発生しました。いずれも同署管内の警備会社に所属する警備員でした。

交通誘導警備(工事現場などで車両や歩行者を誘導する警備業務)では、一般車両だけでなく、工事用車両や重機が動く場所の近くで業務を行うことがあります。仙台労基署は今回の要請で、交通規制、とくに規制線の設置・撤去、工事用機械や工事用車両の運行経路、作業半径・旋回範囲、吊り荷の下に立入らないように、建設現場と警備会社が連絡調整を徹底するよう求めています。

事故防止を現場警備員の注意だけに任せるのではなく、警備開始前に危険箇所や作業方法を共有し、配置や警備計画へ反映することが必要です。

改正労働安全衛生法でも作業従事者の安全対策を強化

今回の要請とあわせて確認しておきたいのが、2025年5月14日に公布された「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」です。

改正では、建設業などにおける混在作業の労働災害防止対策について、対象が個人事業者等を含む作業従事者へ拡大されました。改正法は内容ごとに段階的に施行されており、こうした注文者等が講ずべき措置に関する規定は、2026年4月1日に施行されています。

仙台労基署も今回の要請で、改正法を踏まえ、建設現場などで働く個人事業主のほか、警備員や資材運搬者などの作業従事者の労働災害を防ぐため、元方事業者等に必要な措置を講ずることが義務付けられたと説明しています。

建設現場・元方事業者・警備会社・交通誘導警備員の連絡調整(イメージ)

警備会社側としても、建設会社が把握している工事工程や車両動線、重機の稼働範囲などの情報を事前に確認し、警備員の配置や誘導方法へ反映することが事故防止につながります。

仙台労基署が求める交通誘導警備の事故防止策

今回の要請は交通誘導警備だけを対象としたものではなく、交通災害、工業中毒、熱中症、不安全行動など、建設現場の労働災害を幅広く扱っています。
そのなかで警備会社に特に関係するのが、安全な警備計画の作成熱中症対策に関する事前協議です。

交通誘導警備では、交通規制や工事車両の運行経路、重機の作業範囲などを建設現場側と共有したうえで、安全な警備計画を作成することが求められています。また熱中症対策では、警備会社との事前協議によって、警備員の休憩時間を確保し、休憩施設や水分・塩分補給設備を利用できるよう配慮することも示されています。

警備会社から熱中症対策の資機材や交代要員の確保に必要な経費について申し出があった場合は、建設現場側が誠実に協議し、必要に応じて発注者とも協議することも要請されています。

警備会社も配置人数だけを確認するのではなく、安全に業務を行うために必要な条件を現場入り前に確認しておく必要があります。

建設現場との事前協議で確認したい5項目

ここからは仙台労基署の要請内容をもとに、交通誘導警備の労働災害防止という観点から、警備NEXT編集部で5項目に整理します。

※以下の5項目は、仙台労働基準監督署がチェックリストとして示したものではありません。同署の要請内容から、交通誘導警備に関係する実務事項を警備NEXT編集部が整理したものです。

1.交通規制の設置・撤去時の安全を確認する

最初に確認したいのが、交通規制をどのように開始し、終了するかです。
仙台労基署は、交通規制のなかでも「規制線を設置及び撤去する作業」を具体的に挙げています。規制が完成した後の誘導だけでなく、設置・撤去時の安全確保も警備計画に含めます。事前協議では、規制を設置・撤去する順序、警備員の位置、車両が進入する可能性、規制開始・解除の指示者などを確認します。
工事内容や交通状況は日によって変わるため、過去と同じ現場でも当日の状況を確認することが必要です。

2.工事車両・重機の運行経路と警備員の配置を確認する

次に確認するのが、工事用車両や重機の動線です。
現場への進入・退出経路、車両が後退する場所、警備員の配置場所と車両動線が交差する箇所などを事前に確認します。大型車両や重機では、警備員から車両が見えていても、運転者側から警備員を確認しにくい場合があります。
そのため警備員が車両を目視することだけに頼らず、警備員と車両が接近する状況そのものを減らせる配置かという視点で検討することが必要です。

3.重機の作業半径・旋回範囲・吊り荷周辺への立入りを防ぐ

工事車両の走行経路だけでなく、重機が作業する範囲も確認します。
仙台労基署は作業半径・旋回範囲内や吊り荷の下への立入りを防ぐため、建設現場と警備会社で連絡調整を行うよう求めています。事前協議では、重機の稼働場所、旋回範囲、吊り荷が通過する場所、警備員の待機位置、立入禁止範囲などを共有します。
配置図で警備員の立ち位置だけを見るのではなく、その周囲でどの車両や重機がどのように動くのかまで確認することがポイントです。

4.休憩・水分補給・交代要員などの熱中症対策を決める

夏季の交通誘導警備では、熱中症対策も事前協議の対象です。
仙台労基署は警備員の休憩時間、休憩施設、水分・塩分補給設備などについて、建設現場と警備会社が事前に協議するよう要請しています。
警備会社側では、休憩場所や休憩時間、交代要員の必要性、冷却用品などの資機材、必要な費用について現場入り前に確認しておきます。同署は熱中症対策によって作業時間の確保が難しくなり、作業手順の短縮・省略や単独作業などの不安全行動につながるケースも指摘しています。休憩を取ることによって安全対策が崩れる状態を避けるためにも、勤務体制まで含めて事前に調整しておく必要があります。

5.警備計画と当日の連絡方法・役割分担を共有する

最後に確認したいのが、決めた内容を現場で確実に共有する方法です。
事前に安全な配置を決めていても、工程や車両動線が変更され、その情報が警備員へ伝わらなければ事故防止にはつながりません。
警備会社側では、建設現場と警備会社それぞれの連絡責任者、当日の警備員への伝達方法、工程変更時の連絡方法、危険を感じた場合の報告先などを確認します。仙台労基署は不安全行動を防ぐため、現場巡視を強化し、作業手順書等の遵守状況や不安全行動の有無を確認することも要請しています。
警備計画を作成して終わりではなく、実際の現場が計画どおりになっているかを確認する運用まで考えておくことが必要です。

まとめ|交通誘導警備の安全対策を「警備員任せ」にしない

2026年に入って宮城県内では、建設現場で交通誘導に従事していた警備員がトラックに追突され死亡する労働災害が2件発生しました。仙台労働基準監督署は、建設現場と警備会社が連絡調整を行い、安全な警備計画を作成することを求めています。

交通誘導警備の労働災害を防ぐため、事前協議では次の5点を確認します。

  1. 交通規制の設置・撤去時の安全
  2. 工事車両・重機の運行経路と警備員の配置
  3. 作業半径・旋回範囲・吊り荷周辺への立入防止
  4. 休憩・水分補給・交代要員などの熱中症対策
  5. 警備計画と当日の連絡方法・役割分担

現場警備員への注意喚起だけでは、工事工程や車両動線、重機の稼働範囲など、建設現場側が持つ情報を十分に把握することはできません。
警備会社の経営者や管理者は、配置を決める段階から建設現場側と情報を共有し、安全に警備できる条件を警備計画へ反映する必要があります。
現場警備員も事前に聞いていた配置や手順と実際の状況が異なる場合や、車両・重機との距離などに危険を感じた場合は、そのまま対応を続けず、定められた連絡系統を通じて共有し、必要な対応を確認することが重要です。
今回の要請を、自社の警備計画や建設現場との打ち合わせ方法を見直す機会として活用してください。

警備NEXT(警備ネクスト)では、業界の法令動向や事案を継続的にウォッチし、現場に役立つ視点でお届けしています。

※本記事は公開情報をもとに編集部が作成したものです。特定の企業の法的判断を示すものではありません。

参考文献

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