「警備業の要件に関する規則」が改正|欠格事由に関係する変更点を解説

業界ニュース

今回の規則改正を受け、警備会社は認定申請書や変更届出書の様式を差し替える必要があるのでしょうか。
警察庁は2026年6月24日、「警備業の要件に関する規則」などの改正について公表しました。今回変更されたのは、警備業法第3条第4号の欠格事由を判断する際に参照される犯罪規定です。改正規則は2026年7月10日に施行されています。
今回の規則改正には、警備業の認定申請書や変更届出書などの様式を改める内容は含まれていません。改正された条文と、警備会社の実務への影響を分けて確認することが重要です。

本記事では、「警備業の要件に関する規則」のうち、欠格事由に関係する変更点を整理します。あわせて、今回新たに義務付けられた対応と、経営者や届出担当者が社内運用として確認したい事項を分けて解説します。

「警備業の要件に関する規則」の改正が2026年7月10日に施行

警察庁は2026年4月10日から5月9日まで、「警備業の要件に関する規則等の一部を改正する規則案」について意見を募集しました。

その後、2026年6月24日に、「犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係国家公安委員会規則の整備に関する規則(令和8年国家公安委員会規則第14号)」が公布され、同年7月10日に施行されました。

警備業に直接関係するのは、改正規則第1条による「警備業の要件に関する規則」第2条第57号の改正です。

今回の変更は、警備業法そのものを全面的に見直すものではありません。犯罪による収益の移転防止に関する法律、いわゆる犯罪収益移転防止法の改正に合わせ、警備業の欠格要件に関係する犯罪規定を更新するものです。

警察庁は、2026年の犯罪収益移転防止法改正について、主な内容を次の3点に整理しています。

  • 預貯金通帳の不正譲渡等に対する罰則の引上げ
  • 「送金犯罪」に関する罰則の創設
  • 架空名義口座を利用した新たな措置の創設

このうち、預貯金通帳の不正譲渡等に対する罰則の引上げと、送金犯罪に関する罰則は、2026年7月10日に施行されました。

警備業の欠格要件とは

警備業法第3条は、警備業を営むことができない者を定めています。

たとえば、拘禁刑以上の刑や警備業法違反による罰金刑を受けてから所定の期間を経過していない者、集団的または常習的に暴力的不法行為などを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者、心身の障害により警備業務を適正に行えない者などが対象です。

法人の場合は、役員のうちに警備業法第3条第1号から第7号までのいずれかに該当する者がいると、その法人は警備業を営めません。警備業法上の役員には、業務を執行する社員、取締役、執行役などに加え、法人に対してこれらの役員と同等以上の支配力を有すると認められる者も含まれます。

また、警備業法第14条では、18歳未満の者または第3条第1号から第7号までのいずれかに該当する者は、警備員になることができないと定めています。

今回の改正に関係するのは、警備業法第3条第4号です。同号は、国家公安委員会規則で定める暴力的不法行為などを、集団的または常習的に行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者を、警備業を営むことができない者の一つとしています。
どの犯罪に当たる行為が判断対象となるのかは、警備業法だけですべて列挙されているわけではありません。対象となる行為は、国家公安委員会規則である「警備業の要件に関する規則」第2条に列挙されています。

整理すると、次のような構造です。

法令内容
警備業法第3条第4号欠格事由の基本的な要件を定める
警備業の要件に関する規則第2条第3条第4号にいう「暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為」を具体的に列挙する

今回変更されたのは、このうち「警備業の要件に関する規則」第2条にある、犯罪収益移転防止法に関する規定です。警備業の認定制度や欠格事由の仕組み全体が変更されたわけではありません。

規則改正で参照する犯罪規定が変更

改正前の「警備業の要件に関する規則」第2条第57号は、犯罪収益移転防止法の第28条に規定する罪を対象としていました。
改正後は、次のように変更されています。

区分規則第2条第57号の記載
改正前犯罪収益移転防止法第28条に規定する罪
改正後同法第26条から第31条まで及び第32条第1項から第3項までに規定する罪

今回の改正では、犯罪収益移転防止法の条番号変更を反映するとともに、新設された送金犯罪に関する罪が、警備業法第3条第4号の判断で参照される対象に加えられました。

規則改正は法人役員だけでなく警備員にも関係する

「警備業の要件に関する規則」第2条は、警備業法第3条第4号にいう暴力的不法行為などの範囲を定める規定です。

警備業法第14条では、18歳未満の者または第3条第1号から第7号までのいずれかに該当する者は、警備員になることができないと定められています。第3条第4号も含まれるため、今回の規則改正は、個人の警備業者や法人役員だけでなく、警備員の欠格事由を判断する際にも関係します。

ただし、規則第2条に列挙された罪に当たる行為をしたことだけで、直ちに警備業法第3条第4号に該当するわけではありません。同号では、対象となる行為を集団的または常習的に行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由があるかどうかが判断されます。個別の該当性は、具体的な事実関係を踏まえて確認する必要があります。

今回の改正による警備会社の対応

今回の改正によって、警備会社に新しい定期報告が追加されたことや、役員・警備員の一斉確認が義務付けられたことは、公表された改正規則からは確認できません。また、一般的な認定申請書、認定更新申請書、変更届出書などの様式を改める内容も含まれていません。
そのため、今回の改正だけを理由に、認定申請書や変更届出書のひな型を差し替える必要はありません。ただし、実際に申請や届出を行う際は、管轄する都道府県警察が公開している最新の案内と様式を確認してください。

社内運用として確認したい3つのポイント


以下は、今回の改正によって新たに義務付けられた対応ではありません。欠格事由に関する情報を適切に把握するため、従来の社内運用として確認したい事項です。

条番号を記載した社内資料がないか確認する

法人の役員が欠格事由に該当する場合は、会社の警備業認定に影響します。また、警備業者は、警備員となることができない者を警備業務に従事させることができません。新たな役員を選任するときや警備員を採用するときは、警備業法上の欠格事由を確認する必要があります。

社内の誓約書や確認資料に犯罪収益移転防止法の条番号を直接記載している場合は、旧第28条のままになっていないか確認するとよいでしょう。

なお、今回の改正によって、新たな誓約書の作成や既存書類の一律改定が義務付けられたものではありません。確認に使用する書類や方法について判断が難しい場合は、管轄する警察署の警備業担当窓口へ相談してください。

役員変更などの情報共有手順を確認する

役員の就任・退任など、認定申請時に届け出た事項に変更が生じた場合は、届出の要否や期限を確認する必要があります。役員に関する情報が総務担当者や届出担当者へ共有されていないと、必要な確認や届出が遅れる可能性があります。役員変更などがあった際に、総務担当者、届出担当者、経営者の間で情報を共有できる手順を整理しておきましょう。

なお、今回の改正によって、社内確認の頻度や新たな報告体制が定められたわけではありません。実際に届出が必要かどうかは、管轄する都道府県警察の最新の案内を確認してください。

該当が疑われる場合は社内だけで結論を出さない

欠格事由は、警備業の認定や警備員としての就業に関わる事項です。
ただし、規則に列挙された罪に関係する行為があったとしても、それだけで直ちに警備業法第3条第4号に該当するわけではありません。行為の内容や時期、反復性など、具体的な事実関係を踏まえた判断が必要です。

該当する可能性が判明した場合は、本人から確認できる範囲で事実関係を整理し、社内の届出担当者や経営者に共有したうえで、管轄する警察署の警備業担当窓口に相談してください。必要に応じて、弁護士や行政書士などの専門家へ相談することも考えられます。

確認が不十分なまま、対象者が欠格事由に該当すると決めつけることは避け、法令の規定と具体的な事実関係の両方を確認することが重要です。

まとめ|規則改正の内容を踏まえて社内対応を確認する

2026年7月10日に施行された規則改正では、「警備業の要件に関する規則」第2条第57号が変更されました。
経営者・責任者が押さえておきたい要点は、次の3点です。

  • 犯罪収益移転防止法の改正に合わせ、警備業法第3条第4号の判断で参照される犯罪規定が更新された
  • 改正前の第28条から、改正後は第26条から第31条までと第32条第1項から第3項までに変更された
  • 今回の規則には、警備業の認定申請書や変更届出書などの様式を改める内容は含まれていない

欠格事由は、警備業の認定や警備員としての就業に関わる重要な事項です。
ただし、規則に列挙された罪に当たる行為があったとしても、それだけで直ちに警備業法第3条第4号に該当するわけではありません。行為の内容や時期、反復性などを踏まえて判断されます。

該当する可能性が判明した場合は、本人から確認できる範囲で事実関係を整理し、社内の届出担当者や経営者に共有したうえで、管轄する警察署の警備業担当窓口に相談してください。必要に応じて、弁護士や行政書士などの専門家に相談することも考えられます。十分な確認をしないまま、対象者が欠格事由に該当すると社内だけで判断しないことが重要です。

警備NEXT(警備ネクスト)では、警備業に関する法令改正や行政動向を継続的に確認し、実務に関わるポイントをお届けしています。

※本記事は公開情報をもとに編集部が作成したものであり、特定の企業や個人について法的判断を示すものではありません。

参考文献

関連記事

TOP
CLOSE