
- 【監修】株式会社RTS 代表取締役・行政書士 増田氏
-
警備会社の経営と現場運営に携わる一方、行政書士として活動。豊富な経験により難しい案件にも対応。許可申請だけでなく許可後の事業運営を幅広くサポートします。
警備業を始めるためには、都道府県公安委員会の「認定」を受けることが法律で定められています。
「認定申請って、何から手をつければいいのか分からない」
「手続きが複雑そうで、どこに相談すればいいかも分からない」
警備業への参入を検討する異業種の経営者から、こうした声をよく耳にします。
本記事では、認定申請の全体像から、具体的な書類の種類、よくある差し戻しのケースまで、行政書士の視点からリアルな手順をお伝えします。
そもそも「認定」とは何か
警備業は、警備業法第4条に基づき、都道府県公安委員会の認定を受けなければ営業できない業種です。事前に認定を受けることが開業の前提となります。
認定は主たる営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会で受けます。他の都道府県で一定の営業を行う場合は、当該都道府県公安委員会への届出が必要です。
認定申請の全体フロー
認定申請から営業開始までの流れは、おおむね以下のとおりです。
1. 事前準備(1〜2ヶ月)
欠格事由の確認 → 警備員指導教育責任者の確保 → 書類の収集・作成
2. 申請書類の提出
主たる営業所を管轄する警察署の生活安全課へ
3. 審査・補正対応(標準処理期間:40日)
書類の不備や補正依頼への対応
4. 認定の通知
5. 営業開始
※ 認定の交付前に営業を開始すると警備業法違反となります。
審査の標準処理期間は40日と定められています。書類準備の期間も含めると一定の時間がかかるため、余裕をもって準備を始めることが重要です。
認定を受けられない「欠格事由」とは
警備業法第3条には、認定を受けられない条件が定められています。これらに該当する場合でも申請自体は可能ですが、要件を満たさない場合は認定はされません。
主な欠格事由は以下のとおりです。
- 破産手続き開始の決定を受けて復権を得ていない
- 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行が終わってから5年を経過していない
- 警備業法・暴力団対策法など特定の法令に違反し、罰金刑に処せられてから5年を経過していない
- 上記以外の法令に違反し、罰金刑に処せられてから3年を経過していない
- 集団的または常習的に暴力的不法行為を行うおそれがある
- アルコール・麻薬・大麻・あへん・覚せい剤等の中毒者
- 精神機能の障害により、警備業務に必要な認知・判断・意思疎通を適切に行うことができない者
- 営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者(一定の例外あり)
これらは法人の役員等(取締役・監査役等および実質的支配者を含む)について確認が必要です。
認定申請に必要な書類
申請書類は都道府県によって多少の違いがありますが、一般的に以下のような書類が求められます。
法人に関する書類
- 警備業認定申請書
- 登記事項証明書
- 定款の写し
- 役員全員の履歴書
- 基本は取締役・監査役。レアケースもあり
- 役員全員の住民票(本籍地記載のもの)
- 基本は取締役・監査役。レアケースもあり
- 役員全員の身分証明書(市区町村発行のもの)
- 基本は取締役・監査役。レアケースもあり
- 法人誓約書(欠格事由に該当しない旨)
- 業法診断書
警備員指導教育責任者に関する書類
- 資格者証の写し
- 履歴書・住民票・身分証明書
- 誓約書(2種類)
- 業法診断書
※住民票は現住所の市区町村で取得します
※身分証明書は本籍地の市区町村で取得します

認定申請で最も重要な「警備員指導教育責任者」
申請において最も重要なのが警備員指導教育責任者です。
これは、公安委員会が交付した資格者証を有する者でなければなりません。
社内に該当者がいない場合、認定申請の要件を満たさないため、申請は受理されません。
なお、欠格事由については申請受理後の審査過程で確認されるものであり、指導教育責任者の不在とは扱いが異なります。
また、本資格は警備業の認定とは別に、公安委員会が個人に対して交付する資格者証であり、事前に取得しておく必要があります。
資格者が不在となった場合は、認定要件を満たさなくなる可能性があり、事業継続に影響が生じます。複数名体制や後任計画の整備が重要です。
よくある「補正」のケース
申請後、補正を求められるケースがあります。主な原因には、以下のようなものがあります。
書類の不備
誓約書や診断書の不足、役員範囲の誤認など
履歴書の不備
記載内容が不十分な場合
定款の事業目的
定款の事業目的に警備業の記載がない場合でも、警備業認定申請および認定自体は可能です。一方で、会社法上は事業目的に基づいた事業運営が求められるため、次回の定時株主総会等で「警備業」に関する記載を追加する対応が必要となります。
この点は、警備業法上の認定要件とは別の論点であるため、両者を切り分けて理解することが重要です。
指導教育責任者の資格者証の種別と申請業務の不一致
警備業の認定申請では、実施する業務区分(1号〜4号)を申請時に明示します。その際、該当する業務区分に対応した指導教育責任者資格者証を有していなければ、当該業務区分での申請自体ができません。
例えば以下のとおりです。
・1号業務の資格者証のみ保有 → 1号業務のみ申請可能
・1号・2号業務の資格者証を保有 → 1号・2号の申請が可能
したがって、業務区分と資格者証の不一致は「認定後に制限される」のではなく、申請段階で業務範囲が決まる仕組みとなっています。

認定後にやるべき「継続義務」
認定取得後も継続的な対応が必要です。
- 法定備付書類の整備(教育記録・名簿等)
- 変更届の提出(役員・所在地など)
- 警備員指導教育責任者の維持
資格者が不在となった場合は、認定要件を満たさなくなるため、事業継続に重大な影響が生じる可能性があります。
まとめ
警備業の認定申請は、書類の準備や人材の確保、要件の確認など、事前準備に時間がかかる手続きです。書類に不備があると受理されない場合もあり、受理後に求められる補正は比較的軽微なものが中心です。
認定取得をスムーズに進めるためには、早めに動き出すこと、そして不明な点は専門家に確認することが近道です。本記事が、警備業参入を検討する経営者の皆様にとって、具体的な一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
警備NEXT(警備ネクスト)では、今後も現場実務に役立つ情報を発信してまいります。