警備員の移動負担を電動モビリティで軽減できるか|セコムが巡回業務で実証開始

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警備員が契約先へ向かう際、移動そのものが業務上の負担になっているケースはないでしょうか。
株式会社ストリーモは2026年8月4日、セコム株式会社において、セキュリティシステムを導入している契約先への訪問時の移動手段として、立ち乗り三輪電動モビリティ「ストリーモ」の業務利用に関する実証が始まったと発表しました。背景にあるのが、都市部での駐車・駐輪場所の確保と、夏季における警備員の身体的負担です。警備業務では、現場での活動だけでなく、契約先までどのように移動するかも業務効率や隊員の負担に関わります。

本記事では、セコムで始まった実証とストリーモの特徴を整理するとともに、警備会社が現場間の移動方法を見直す際に確認したいポイントを解説します。

警備員の電動モビリティ活用へ、セコムが実証を開始

今回の実証でストリーモが使用されるのは、セコムの警備員が契約先を訪問する際の移動です。
ストリーモ社の発表によると、セコムでは契約先への迅速かつ定期的な訪問業務において、日々の移動手段の確保が課題となっていました。特に東京23区などの大都市部では、四輪車や原付バイクを使用しても駐車場や駐輪場を確保しにくく、移動時にタイムロスが発生していたとしています。

一方、自転車や徒歩を利用すると、別の課題が生じます。
同社の発表では、近年の猛暑によって、自転車や徒歩での移動が警備員の熱中症リスクや身体的疲労につながることから、「駐車場に困らず、かつ身体的負荷の少ない」移動手段が求められていたと説明されています。

セコムの担当者も、都市部では駐車場所や渋滞などを理由に自転車や原付を利用している一方、警備員は装備品を常時着用しているため、夏季の身体的負荷や熱中症対策が課題になっているとコメントしています。今回の実証では、こうしたリスクを軽減できるかに加え、ストリーモの乗り降りのしやすさを生かした活用方法についても検討するとしています。
2026年8月4日時点では、本格導入の有無や導入台数、実証期間、実証による具体的な効果などは公表されていません。

立ち乗り三輪電動モビリティ「ストリーモ」とは

「ストリーモ」は、株式会社ストリーモが開発する立ち乗り三輪電動モビリティです。
特徴の一つが、独自技術の「バランスアシストシステム」です。ストリーモ社によると、人が持つ自然な反応を生かしてバランスを保つ仕組みで、停止時にも自立し、時速1~2km程度の極低速から安定して走行できるとしています。15kgの荷物を載せた状態でもバランスを保った走行が可能と説明されています。

ストリーモ社は、ペダルをこぐ必要がないことによる夏場の体力消耗の軽減や、コンパクトな設計による都市部での運用のしやすさをメリットとして挙げています。
ストリーモは2023年から製品のデリバリーが始まり、個人利用のほか、レンタル、アミューズメントパーク、物流倉庫などでも事業利用されているとしています。

警備会社が見直したい「現場までの移動」

契約先への訪問や巡回を行う業務では、警備業務そのものだけでなく、現場と現場の間の移動にも時間を要します。
四輪車で契約先を訪問する場合、道路を走行している時間だけでなく、目的地周辺で駐車場所を探し、車両を停めてから契約先まで歩く時間も発生します。業務を終えれば、再び車両まで戻る必要があります。

今回の発表でも、東京23区などの大都市部では、四輪車や原付バイクの駐車・駐輪場所を確保しにくく、タイムロスが生じていたことが実証の背景として挙げられています。
そのため、移動手段を見直す際には、単純な走行速度だけでなく、拠点を出てから契約先で業務を開始するまでにかかる時間全体を確認することが重要です。

たとえば、1日の訪問件数や現場間の距離に加え、駐車・駐輪場所を探す時間、車両を停めてから契約先まで歩く時間、次の現場へ移動する時間などを把握すると、どこにロスが発生しているのかを確認しやすくなります。
車では走行時間が短くても、毎回駐車場所を探す必要があれば、実際に業務を開始するまでには時間がかかります。一方、小回りの利く移動手段でも、契約先付近に適切な駐車・駐輪場所がなければ、期待した効果を得られない場合があります。
試験的に新しい移動手段を利用する場合は、導入前後で移動時間や駐車・駐輪にかかる時間などを比較すると、実際に業務全体の効率が改善したかを判断しやすくなります。充電や車両点検など、新たに発生する作業も含めて確認することが必要です。

夏季は警備中だけでなく「移動時の負担」にも目を向ける

今回の実証では、警備員の夏季における身体的負担と熱中症リスクも課題として挙げられています。
ストリーモ社は、自転車や徒歩での移動について、近年の猛暑によって警備員の熱中症リスクや身体的疲労につながることを実証の背景として挙げています。また、セコムの担当者は、警備員が装備品を常時着用しているため、特に夏季には身体的負荷や熱中症対策が課題になっていると説明しています。

警備会社が暑熱対策を考える際には、警備現場に到着してからの勤務だけではなく、その前後の移動も含めて確認する必要があります。
特に複数の契約先を回る勤務では、「移動→業務→移動」が繰り返されます。徒歩や自転車による移動距離が長ければ、次の現場へ到着するまでにも体力を消耗します。

今回の発表で示されているのは、ストリーモの利用によって、移動時の身体的負担や熱中症リスクを軽減できるかという検証です。

ただし、電動モビリティを利用するだけで熱中症対策が完結するわけではありません。WBGT値などによる暑熱環境の把握、休憩、水分・塩分補給、熱中症を早期に発見するための体制づくりなど、勤務全体での対策を継続する必要があります。電動モビリティは、こうした対策に置き換わるものではなく、警備員が勤務中に受ける負担のうち、「現場間を移動する際の負担」を軽減する方法の一つとして捉えるのが適切です。

警備会社が新しい移動手段を検討するときのポイント

現在の移動にかかる時間や負担を把握したうえで、新しい移動手段を検討する場合には、実際の巡回業務で継続して運用できるかを確認する必要があります。
特に、公道を走行する場合の交通ルールや、警備員が装備品を身に着けた状態で安全に利用できるかといった点は、導入前に確認しておきたいポイントです。

公道を走行するなら車両区分を確認する

電動モビリティを公道で利用する場合は、道路交通法上の車両区分にも注意が必要です。
見た目が似ている車両であっても、仕様によって法令上の区分が異なるため、「電動モビリティ」「電動キックボード」といった名称だけで適用される交通ルールを判断することはできません。

たとえば、道路交通法上の「特定小型原動機付自転車」は、長さ190cm以下、幅60cm以下、定格出力0.60kW以下、最高速度20km/h以下などの基準を満たす車両です。特定小型原動機付自転車の基準を満たさない車両は、特定小型原動機付自転車としては扱われません。仕様によって一般原動機付自転車など別の車両区分に該当する場合があり、その区分に応じた運転免許や保安基準、交通ルールなどを確認する必要があります。また、製品によっては公道を走行できないものもあります。

特定小型原動機付自転車に該当する場合、運転免許は不要ですが16歳未満の運転は禁止されています。また、公道で運行するには保安基準への適合、自賠責保険(共済)への加入、ナンバープレートの取り付けが必要です。
通行場所は原則として車道で、道路の左側端に寄って通行します。歩道を通行できるのは、一定の構造要件を満たす「特例特定小型原動機付自転車」が、道路標識等によって通行を認められている場合などに限られます。

国土交通省では、特定小型原動機付自転車について保安基準への適合性などを確認する「性能等確認制度」を設け、確認済みの型式を公表しています。
なお、ストリーモには特定小型原動機付自転車の基準を満たす製品がありますが、2026年8月4日の発表では、今回セコムの実証で使用する具体的な型式や仕様までは明記されていません。

警備会社が電動モビリティを導入する場合は、実際に使用する製品・型式の車両区分を確認したうえで、公道走行に必要な手続きや適用される交通ルールを整理する必要があります。

警備員の装備を含めて運用できるか

警備業務で利用する場合には、一般的な移動用途とは異なる条件があります。
警備員は制服を着用し、担当する業務に応じて無線機などの装備品を携行します。新しいモビリティを導入するのであれば、実際の勤務時と同じ装備で安全に操作できるかを確認する必要があります。

乗り降りするときに装備品が引っ掛からないか、携行品が操作の妨げにならないか、荷物を積載した場合にも安定して使用できるかといった確認が考えられます。
夜間や雨天時に使用する可能性がある場合は、その条件での運用も検討対象になります。

まとめ|警備員の現場間移動も業務改善の対象に

株式会社ストリーモは2026年8月4日、セコムにおいて、立ち乗り三輪電動モビリティ「ストリーモ」を契約先への訪問時に利用する実証が始まったと発表しました。
実証の背景には、東京23区などの都市部における駐車・駐輪場所の確保と、夏季の移動に伴う警備員の身体的負担があります。セコムでは、ストリーモによってこうした負担を軽減できるかに加え、乗り降りのしやすさを生かした活用方法も検討します。

警備会社が自社の業務に置き換えて考える際には、電動モビリティの導入ありきではなく、まず警備員が現場間の移動や駐車場所の確保にどれだけ時間と体力を使っているのかを確認することから始められます。
そのうえで、四輪車、原付、自転車など現在の移動手段と比較し、警備員の装備、巡回経路、訪問先の駐車・駐輪環境、公道を走行する場合の交通ルールまで含めて、自社の業務に合う方法を検討する必要があります。

警備業務そのものだけでなく、警備員が現場へ向かい、次の現場へ移るまでの時間と負担も業務改善の対象として捉えることが、移動方法を見直す第一歩になります。

警備NEXT(警備ネクスト)では、業界の法令動向や事案を継続的にウォッチし、現場に役立つ視点でお届けしています。
※公道での利用条件は製品・型式等によって異なるため、導入時は最新の法令・製品情報をご確認ください。

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