千葉県を拠点に、住宅建築現場の交通誘導警備を中心に展開するKOMORI KEIBI。
同社の代表を務める小森氏は、大学卒業後にALSOKへ入社し、13年間にわたり機械警備の最前線で経験を積んできました。警報緊急対応、施設警備、夜間巡回、ATM対応など、緊張感の高い現場を担当し、副隊長として隊を率いる立場も経験。その後、住宅基礎の職人として建築現場に立ち、交通誘導警備も学んだうえで、KOMORI KEIBIを立ち上げました。
小森氏が大切にしているのは、「空間を整える警備」です。
警備は、ただ立っているだけの仕事ではありません。職人の動線、工程の流れ、近隣住民の生活、施主の想いが重なる住宅建築現場では、警備員の立ち振る舞いひとつで、現場の空気が変わります。
今回はKOMORI KEIBI代表の小森氏に、ALSOKで学んだ警備の本質、住宅建築現場に寄り添う警備、隊員教育、そしてこれから目指す警備会社の姿について聞きました。
プロフィール
KOMORI KEIBI代表。大学卒業後、ALSOKへ入社し、13年間にわたり機械警備、警報対応、夜間巡回、ATM対応、施設警備などを経験。副隊長も務める。
その後、住宅基礎の職人として建築現場に立ち、警備と建築の両方の視点を持ってKOMORI KEIBIを創業。
学生時代は国士舘大学少林寺拳法部で主将を務め、少林寺拳法・柔道の有段者でもある。武道で培った「強さ」と「静けさ」を警備の現場にも生かし、隊員一人ひとりの佇まい、言葉遣い、姿勢、気配を大切にする。“空間を整える警備”を掲げ、住宅建築現場を中心に現場に関わる人の安心を支える警備を目指している。
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ALSOKで学んだのは「危険を危険と気づけるか」という感覚

――まず、小森社長のこれまでの経歴を教えてください。
大学を卒業して、新卒でALSOKに入社しました。配属されたのは中央支社で、日本橋エリアを担当していました。ALSOKの中でもかなり忙しい支社だったと思います。
そこでは機械警備隊に配属され、警報対応、夜間巡回、臨時警備、ATM対応など、現場に出る仕事をずっとやっていました。最終的には副隊長も経験しました。
その中で、ATMで振り込め詐欺を防止できたことがあり、警視庁総監名の感謝状をいただいたこともあります。私の中で、今でも大切な原点となっています。
その後、兄が経営する住宅基礎の会社に転職しました。そこで職人として住宅建築現場に立ちながら、交通誘導警備も3年半ほど学びました。警備の資格も取り、住宅基礎の現場を中心に警備を行うための準備をして、今に至ります。
――ALSOK時代の経験は、現在の警備にどのように活きていますか。
一番大きいのは、「危険を危険と感じ、気づけるかどうか」という感覚です。
警備の現場では、危険が分かりやすく目の前に現れるとは限りません。大きな音を立てて出てくるものではなく、少しの違和感として現れることが多いです。
たとえば、建物の周りを点検したときに、「ここはいつもと違う」「これは少しおかしい」と気づけるかどうか。最初の段階で違和感に気づけないと、その後の判断も間違ってしまうことがあります。
ALSOK時代は、そうした異変をしっかり異変として捉えることの大切さを学びました。今も隊員には、「これっておかしいんじゃないか」「これは変だよな」と気づける視点を大切にしてほしいと伝えています。

警備の本質は「空間の変化を読み、安心を守ること」
――小森社長が考える「警備の本質」とは、どのようなものですか。
私が考える警備の本質は空間の変化を読み、そこにいる人の安心を守ることです。
警備は、ただ立っているだけの仕事ではありません。空間の緊張を整え、職人が気持ちよく手を動かせる環境をつくり、施主が安心して現場を見守れる雰囲気をつくる。そうした空気づくりも、警備の大切な役割だと考えています。
大手警備会社で働いていたときに学んだのは、「警備員は現場の最後の砦である」という責任感でした。
マニュアルを覚えるだけではなく、空間の違和感に気づく目、状況判断の速さと正確さ、緊張感を保つ姿勢、そして人としての誠実さ。そうしたものが、すべて現場の安全につながると思っています。
――大手警備会社で学んだ警備と、KOMORI KEIBIで実現したい警備には、どのような違いがありますか。
大手で学んだ警備は、安全を守るための基準を徹底する警備でした。緊張感のある現場で、空間の違和感を見逃さず、迅速に判断する。その姿勢は今も私の根幹にあります。
一方で、KOMORI KEIBIとして実現したいのは、安全だけでなく、現場の空気や世界観まで整える警備です。
住宅建築現場には、工程の流れ、職人のリズム、施主の想い、建築会社が大切にしている世界観があります。その繊細な空気に寄り添い、現場全体の質を高めることが、私たちが目指す警備です。
共通しているのは、誠実さと責任感です。違うのは、守る範囲の広さだと思います。大手で学んだのは、企業の安全を守る警備でした。KOMORI KEIBIで実現したいのは、人の心を軽くする警備です。
住宅建築現場では「守る」だけでなく「整える」ことが求められる
――KOMORI KEIBIでは、住宅建築現場を主な警備領域とされています。なぜ住宅建築現場に注目されたのでしょうか。
理由はシンプルで、私自身が住宅建築現場に立っていたからです。
住宅基礎の職人として現場に立つ中で、住宅建築の現場には独特の空気があると感じていました。職人の美学、建築会社の思想、住まい手の未来。そうしたものが一つの現場に詰まっています。
私は建築そのものも好きです。建物が建つ過程を見るだけではなく、そこに込められた設計者の考えや、職人の技術、住む人の暮らしまで想像できる。その世界に魅力を感じています。
だからこそ、住宅建築現場に寄り添う警備をしたいと思いました。
警備と職人、両方の視点を持っていることは、自分の強みだと思っています。建築現場側が何を考えているのか、職人がどのように動きたいのか、現場の流れの中でどこに立つべきなのか。そうしたことを理解したうえで警備に入れるのは、KOMORI KEIBIらしさだと思います。
――住宅建築現場では、どのような警備員の振る舞いが求められると考えていますか。
住宅建築現場は、住民の生活動線と工事動線が重なる、とても繊細な場所です。
だから警備員には、「安全を守る人」である前に、生活のそばに立つ人としての振る舞いが求められると考えています。
まず大切なのは、圧迫感のない佇まいです。住宅街では、警備員の立ち姿ひとつが住民の心理に影響します。威圧的に立つのではなく、静かに、周囲に溶け込むような姿勢を意識しています。
次に、気配りです。
車を出したそうにしている住民の方がいれば、こちらから声をかける。不安そうにしている通行人がいれば、軽く会釈して安心してもらう。子どもが近くを通るときは、動線を広く確保して見守る。
こうした小さな気づきの一歩が、住宅街ではとても大きな意味を持ちます。
また、職人さんの動きや現場のリズムを理解し、邪魔にならない位置に立つことも大切です。住宅建築は細かな作業が多いので、現場の空気を乱さないことが、結果として安全にもつながります。
つまり、住宅街の警備は「守る」だけではなく、「整える」ことが求められる仕事だと思っています。住民の方、職人さん、施工会社様、そのすべての人が気持ちよく過ごせるように、空間の一部として自然に立つこと。それが私たちの目指す警備の姿です。

マニュアルは土台。現場は生き物だからこそ、理念を共有する
――警備の仕事では、マニュアルだけでは対応しきれない場面も多いと思います。隊員教育では何を大切にしていますか。
マニュアルはとても大切です。ただ、マニュアルだけでは現場に対応しきれない場面も多いと思っています。
私がALSOK時代に学んだのは、「マニュアルは土台であり、現場は生き物である」ということです。
危険は、マニュアル通りには現れません。だからこそ、空間の違和感に気づく目、職人の動きを読む力、工程の流れを理解する姿勢、誠実で丁寧な立ち振る舞いを、隊員教育の中心に置いています。
KOMORI KEIBIでは、理念を一人ひとりの隊員と共有することを大切にしています。
私たちは、ただ立っているだけの警備員ではなく、現場に寄り添う警備員でありたい。近隣の方への配慮、職人さんへの気配り、現場全体を見ながら動くこと。そうした考え方を、現場で伝えています。
私自身も実際に現場に出ています。隊員と同じ景色を見ながら、「ここを見る」「このタイミングで声をかける」「この立ち位置だと職人さんの動線を邪魔しない」といったことを、その場で伝えるようにしています。
空気を読む力は、座学だけでは身につきません。現場で体感してもらうことが必要です。小さい会社だからこそ、代表である私が直接現場に立ち、手厚く伝えられる部分があると思っています。
――創業間もない会社として、品質をどのように作っていきたいですか。
品質を属人化させず、理念を共有する仕組みとして再現していくことが大切だと考えています。
大手で学んだ品質意識は、姿勢、挨拶、言葉づかい、空間の違和感への感度、現場の緊張感の保ち方など、人としての品に宿るものだと思っています。
創業間もない会社だからこそ、この価値観を隊員全員で共有し、行動指針として言語化し、現場で徹底していきたいです。
KOMORI KEIBIは、理念がそのまま品質になる会社を目指しています。
警備員を“コマ”にしない。人を大事にする会社へ
――KOMORI KEIBIでは、働く人に対してどのような会社でありたいですか。
私は、人を大事にしたいと思っています。
警備員さんを大事にしないと、会社は続かないと思います。警備員さんを、使う“コマ”のように扱う会社にはなりたくありません。
一人の警備員さんとしてリスペクトを持って、一緒にやっていきたいという思いがあります。
今はまだ創業したばかりなので、具体的にできていることはこれから増やしていく段階です。それでも、警備員さんにとって「この会社にいたい」と思える会社にしていきたいです。
住宅建築現場は、交通誘導警備の中でも比較的働きやすい面があると思っています。基本的には日中の現場で、時間も8時から17時が中心です。半日現場も多く、午前だけ、午後だけという働き方もあります。
ただ、単に「働きやすい」だけではなく、警備員さん自身が誇りを持てる現場にしていきたい。自分が立つことで、現場の空気が良くなる。近隣の方が安心する。職人さんが動きやすくなる。そう感じられる仕事にしたいと思っています。
目指すのは「この警備員がいれば安心だ」と思われる存在

――今後、KOMORI KEIBIをどのように成長させていきたいですか。
今は住宅建築現場をメインにしていますが、今後は施設警備も広げていきたいと考えています。
もともと私が得意としているのは施設警備です。ALSOK時代に、機械警備や施設警備、夜間巡回などを経験してきました。建物の空間を守る、空間を担う警備にも、これから取り組んでいきたいです。
住宅建築現場で培っている「空間を整える警備」という考え方は、施設警備にもつながると思っています。
そこにいる人が安心できること。建物の雰囲気を乱さないこと。違和感に気づき、先回りして動けること。そうした警備を、住宅建築現場だけでなく、施設警備にも広げていきたいです。
――警備業界で働く人、これから警備の仕事を目指す人へ、どのようなメッセージを伝えたいですか。
私は、警備は目に見えない安心に価値がある仕事だと思っています。
警備員がいることで、その場にいる人たちの心が少し軽くなる。「この警備員がいれば、ちょっと安心だね」と思ってもらえる。そういう価値を与えられる仕事です。
警備の仕事は、ただ立っているだけではありません。人の心を扱う仕事でもあります。
だからこそ、技術だけではなく、人柄も大切です。人の気持ちが分かる人、品がある人、建物や空間を乱さない人。そういう人に、警備の仕事は向いていると思います。
未経験でも問題ありません。大切なのは、目の前の人や現場に対して誠実であることです。
KOMORI KEIBIでは、警備員一人ひとりが「安心を与えられる存在」になれるように、現場で一緒に学びながら成長していきたいと考えています。
まとめ|警備は、現場の空気を整える仕事
小森社長が語る警備の本質は、「空間の変化を読み、そこにいる人の安心を守ること」です。
ALSOKで培った危険察知の感覚。住宅基礎の職人として現場に立った経験。住宅建築への関心。そして、警備員を“コマ”として扱わず、人として大切にしたいという思い。
それらが重なり、KOMORI KEIBIの「空間を整える警備」という考え方につながっています。
住宅建築現場では、警備員の立ち姿、声かけ、気配り、職人との関係づくりが、現場全体の印象を左右します。警備は、安全を守るだけでなく、近隣住民の安心、職人の働きやすさ、施工会社の信頼にも関わる仕事です。
「この警備員がいれば、ちょっと安心だね」
そう思われる警備員を増やしていくこと。そこに、KOMORI KEIBIが目指す警備会社の姿があります。
警備NEXT(警備ネクスト)では今後も、警備業界で働く人を支え、業界の未来を前向きに変えていく経営者や現場の取り組みに注目し、明日からの経営に役立つヒントをお届けしていきます。