建設業の人手不足2026|建設技能者8職種計で1.2%不足、交通誘導警備への影響は?

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建設業の人手不足は建設現場で交通誘導警備を担う警備会社にとっても、把握しておきたい動向の一つです。

国土交通省が2026年8月25日に公表した「建設労働需給調査結果」によると、2026年7月の全国8職種の建設技能労働者の過不足率は原数値で1.2%の不足でした。前月の1.0%不足から0.2ポイント不足幅が拡大する一方、前年同月の1.6%不足からは0.4ポイント縮小しています。

なお、交通誘導警備員はこの調査の対象ではありません。ただし交通誘導警備は工事の日程や作業時間に合わせて人員を手配するため、建設現場の工事日程や稼働状況は、警備員の手配にも関わります。

本記事では2026年7月の建設技能者の需給状況を整理するとともに、交通誘導警備を受注する警備会社が確認しておきたいポイントを解説します。

建設技能者、2026年7月は8職種で1.2%不足

国土交通省の「建設労働需給調査」は、建設技能労働者の需給状況を職種別・地域別に把握するため、毎月実施されている調査です。ここでいう建設技能労働者とは、型わく工やとび工、鉄筋工、電工など、建設工事で専門的な技能を担う労働者を指します。

2026年7月分は、7月10日から20日までの間の日曜、休日を除く1日を調査対象日として実施されました。全国8職種の過不足率は次のように推移しています。

時点8職種の過不足率
2026年7月1.2%不足
2026年6月1.0%不足
2025年7月1.6%不足

直近の6月と比べると、不足幅は0.2ポイント拡大しました。一方、前年同月との比較では0.4ポイント縮小しています。

そのため、今回の1.2%という数字だけを見て「建設業の人手不足が前年より深刻化している」と判断するのは適切ではありません。前月比では不足幅が拡大したものの、前年同月比では縮小しているという両方の動きを押さえておく必要があります。

「過不足率」とは?

「1.2%不足」は、建設業で働く人全体の1.2%が不足しているという意味ではありません。国交省は、調査対象業者の手持現場について「確保している労働者数」「確保したかったができなかった労働者数」「確保したが過剰となった労働者数」を調査し、これらをもとに過不足率を算出しています。過不足率は、プラスが「不足」、マイナスが「過剰」を示します。

調査対象は、建設業法上の許可を受けた資本金300万円以上の法人企業のうち、対象職種の労働者を直接雇用する建設業者約3,000社です。また、「8職種計」は建設業のすべての職種を対象としたものではなく、調査対象となっている8職種を合計した数値です。そのため、1.2%は建設業全体の労働者不足率ではない点に注意が必要です。

建設技能者の不足には職種・地域で差がある

建設技能者の需給状況を見ると、すべての職種が同じように不足しているわけではありません。今回の建設労働需給調査が対象としているのは、次の8職種です。

  • 型わく工(土木)
  • 型わく工(建築)
  • 左官
  • とび工
  • 鉄筋工(土木)
  • 鉄筋工(建築)
  • 電工
  • 配管工

2026年7月は鉄筋工(建築)のみ0.3%の過剰で、その他の7職種は不足しました。なかでも配管工は3.5%不足と、8職種で最も高い不足率となっています。

職種2026年7月の過不足率
型わく工(土木)0.5%不足
型わく工(建築)0.8%不足
左官1.2%不足
とび工0.7%不足
鉄筋工(土木)1.9%不足
鉄筋工(建築)0.3%過剰
電工0.7%不足
配管工3.5%不足
8職種計1.2%不足

前年同月との比較でも動きは異なります。配管工は1.2%不足から3.5%不足へ拡大した一方、とび工は3.7%不足から0.7%不足へ縮小しました。「建設業の人手不足」とひとまとめにするのではなく、職種によって需給状況が異なることが分かります。

関東は2.0%不足、東北は0.2%過剰

地域別にも違いがあります。2026年7月の8職種計では東北のみ0.2%の過剰で、その他の地域は不足しました。なかでも関東は2.0%不足となっています。

建設現場向けの交通誘導警備を受注する警備会社が建設市場の動向を見る際には、全国平均だけでなく、自社の営業エリアにおける建設技能者の需給状況も参考情報の一つになります。自社の営業エリアで建設技能者の不足が続いている場合には、工事の進行や工程への影響も念頭に置き、元請などに今後の工事予定を確認するきっかけにすることもできます。

ただし地域別の建設技能者の不足と交通誘導警備の受注件数との直接的な関係を、今回の調査から確認することはできません。

建設技能者1.2%不足は「交通誘導警備員」の不足率ではない

今回の調査に交通誘導警備員は含まれていません。そのため、「交通誘導警備員も1.2%不足している」「建設技能者の不足によって交通誘導警備の需要が増えている」と今回の結果だけから判断することはできません。

建設技能者と交通誘導警備員の需給は分けて考える必要があります。一方、工事の日程や作業時間が変われば、警備員の配置日や必要人数の変更につながる場合があります。こうした点から、今回の調査は建設現場の人員動向を把握するための参考情報の一つとして見ることができます。

残業・休日作業を行う「強化現場」は2.8%

今回の建設労働需給調査では過不足率以外に、交通誘導警備会社の立場から「手持現場の状況」にも注目できます。調査では技能労働者の過不足だけでなく、調査対象業者の手持現場の状況についても調べています。国交省の調査では、残業・休日作業を強化している現場を「強化現場」として集計しています。

2026年7月の強化現場は、全手持現場の2.8%でした。前月の2.1%から0.7ポイント増え、前年同月の2.6%と比べても0.2ポイント増加しています。割合の大小だけでなく、前月・前年同月のいずれと比べても増えている点に注目できます。

現場を強化した理由は、「その他」を除くと次のとおりです。

  • 昼間時間帯の時間の制約:30.6%
  • 前工程の工事遅延:25.0%
  • 天候不順:9.7%
  • 無理な受注:6.9%

強化現場の増加を建設技能者不足だけで説明することはできず、調査では工事遅延や時間制約、天候など複数の理由が示されています。交通誘導警備の実務では、こうした事情で工事日や作業時間が変更されると、警備員の勤務予定を調整する場合があります。複数現場の変更が重なれば、管制担当者(警備員の配置や勤務調整を担う担当者)が人員を組み直す場面も想定されます。

これは国交省調査が示した直接的な影響ではなく、調査結果を交通誘導警備の実務から見た場合に考えられる点です。

今後の建設技能者の確保見通し、「普通」が最多

では、建設技能者の確保は今後さらに難しくなるのでしょうか。2026年7月の調査では、全国8職種の9月・10月における労働者確保の見通しは、いずれも「普通」が最多でした。ここでは、前年同月との比較ができる9月の見通しを見てみます。

9月における労働者確保の見通しを詳しく見ると、「困難」と「やや困難」の合計は26.3%でした。前年同月の28.1%から1.8ポイント低下しています。

一方、「やや容易」と「容易」の合計は6.5%で、前年同月の5.3%から1.2ポイント増えました。

このように2026年7月は8職種計で1.2%不足しているものの、9月の確保見通しでは「困難」「やや困難」とする回答割合が前年同月を下回っています。ただし、これだけで建設技能者の不足が今後解消に向かうと判断することはできません。過不足率とあわせて、今後の確保見通しも継続して確認する必要があります。

交通誘導警備会社が確認したい3つのポイント

建設労働需給調査は、交通誘導警備員の人手不足を測る統計ではありません。一方、工事の予定や稼働状況は、交通誘導警備の受注や人員手配にも関係します。建設現場向けの警備を担う会社では、今回の調査を建設市場の動向を把握するための参考情報として、次の3点を確認してみてください。

1.工事予定と必要人数を早めに確認する

交通誘導警備を受注する際は確定している勤務日と必要人数だけでなく、可能な範囲で今後の工事予定も確認しておくと、人員計画を立てやすくなります。

特に長期の工事では「○月○日に何人必要か」だけでなく、「今後、どの時期に何人程度の配置が見込まれるのか」まで把握できれば、先の勤務予定を考える材料になります。

発注元や元請からの依頼が直前になれば、すでに他の現場へ警備員を配置しているなど、必要人数を確保しにくい場合もあります。詳細な工程表の共有まで求めるのではなく、警備員の手配に必要な範囲で、今後の工事予定を早めに確認しておくことが現実的です。

2.予定変更時の連絡方法を決めておく

工事の予定は、前工程の遅れや天候などによって変更されることがあります。警備会社側では変更内容だけでなく、その情報がいつ、誰から、どの方法で伝わるのかを整理しておくことも人員調整に関わります。

例えば、受注時に次の点を確認しておく方法があります。

  • 予定変更時は誰から警備会社へ連絡するのか
  • 電話・メールなど、どの方法で共有するのか
  • 中止や時間変更はいつまでに連絡するのか
  • 追加の警備員が必要になった場合はどのように依頼するのか

連絡方法が決まっていれば、変更が生じた際も、その後の勤務調整へ移りやすくなります。

3.配置可能な警備員を把握する

発注元や元請から追加依頼や日程変更があった際、警備会社側では対応できる人員がいるかを判断する必要があります。このとき、単純な在籍警備員数だけでは実際に手配できる人数は分かりません。すでに決まっている勤務、休日、勤務地、勤務時間、現場によって必要となる検定資格の有無などを踏まえ、どの日に、どの警備員を配置できるのかまで把握できる状態が望まれます。

日々の人員状況を確認できていれば、追加依頼への対応可否や、予定変更が生じた際の勤務調整も判断しやすくなります。今回の調査を建設市場の動向を確認するきっかけにするとともに、自社で「いつ、誰を、どの現場に配置できるのか」を把握できているかも見直してみてください。

まとめ|建設業の人手不足を把握し、交通誘導警備の受注・人員管理に生かす

2026年7月の建設労働需給調査では、全国8職種の建設技能労働者の過不足率は1.2%不足でした。前月の1.0%不足から0.2ポイント不足幅が拡大した一方、前年同月の1.6%不足からは0.4ポイント縮小しています。

今回の調査から押さえておきたいのは、次の3点です。

  • 8職種計では1.2%不足だが、前年同月より不足幅は縮小している
  • 職種・地域によって建設技能者の需給状況には差がある
  • 交通誘導警備員は調査対象ではなく、警備員の不足率を示した統計ではない

今回の調査から、交通誘導警備の需要や警備員の不足状況を直接判断することはできません。一方、交通誘導警備の人員配置は工事の日程や作業時間に左右されるため、建設現場の動向は警備会社にとっても確認しておきたい情報です。

建設現場向けの業務を受注する警備会社では、工事予定と必要人数の早期確認、予定変更時の連絡ルール、配置可能な警備員の把握ができているかを確認してみてください。「建設業の人手不足」を単に別業界の問題として捉えるのではなく、自社が関わる建設市場の動向を把握するための参考情報として活用することで、今後の受注や人員管理を考える材料になります。

警備NEXT(警備ネクスト)では、業界の法令動向や事案を継続的にウォッチし、現場に役立つ視点でお届けしています。

※本記事は公開情報をもとに編集部が作成したものです。特定の企業の法的判断を示すものではありません。

参考・出典

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