警備会社マッチング2026|AIK「マイガードプロ」の仕組みと確認ポイント

テクノロジー

警備会社への発注は既存の取引先や紹介だけでなく、警備を依頼したい企業と警備会社をつなぐマッチングサービスを通じて行われるケースもあります。こうした新たな受注経路に対応するうえで、警備会社はどのような点を確認しておけばよいのでしょうか。

株式会社AIKは2026年8月18日、警備手配・管理をワンストップで支援する「マイガードプロ」を一般企業向けに正式展開し、新規相談の受付を開始したと発表しました。全国700社以上の警備会社ネットワークを活用し、警備会社の選定から警備計画の策定、手配、現場管理、品質管理、契約・請求までを支援するサービスです。
AIKによると、同社は「マイガード(旧AIK order)」を2020年12月に開始して以降、実際に発生した約10,000件の警備依頼について、依頼内容や案件終了までのオペレーションを分析したデータベースを保有しています。

今回の発表で注目したいのは、警備会社と発注企業をつなぐだけでなく、案件に応じた会社の選定や事前調整、警備開始後の品質管理まで支援している点です。
本記事では「マイガードプロ」の仕組みや導入事例を確認しながら、新たな受注経路に対応する際に警備会社側で確認しておきたいポイントを解説します。

警備会社のマッチングから警備全体の管理まで支援

AIKは「マイガードプロ」の提供背景として、警備を発注する企業側に「どの警備会社に依頼すればよいかわからない」「必要な警備体制を判断できない」「複数の警備会社との調整に手間がかかる」といった課題があると説明しています。特に全国でイベントを開催したり、複数地域に店舗を展開したりする企業では、地域ごとに異なる警備会社とのやり取りに加え、契約や請求を個別に管理する負担も生じます。

こうした発注側の課題に対し、警備会社とのマッチングだけでなく、その後の警備計画や現場管理までまとめて支援するのが「マイガードプロ」です。なお、「マイガードプロ」自体が2026年8月18日に新たに開始されたわけではありません。AIKは、それまで紹介や既存取引先を中心に提供していた同サービスを一般企業向けにも正式展開し、新規相談の受付を開始したとしています。

またAIKは同日、警備を依頼したい企業と警備会社をつなぐ受発注プラットフォーム「AIK order」の名称を「マイガード」に変更しました。「マイガード」が発注企業と警備会社をつなぐマッチングプラットフォームであるのに対し、「マイガードプロ」は選定後の調整や現場管理、品質管理なども含めて支援するサービスです。依頼先を探すだけでなく、警備の実施前から実施後までを継続して支援する点が「マイガードプロ」の特徴です。

「マイガードプロ」は警備会社をどう選定・管理する?

※以下はAIKが公表した警備会社向けの参加条件ではなく、同社の導入事例をもとに警備NEXT編集部が整理したポイントです。

「マイガードプロ」では、イベントや店舗、商業施設などで警備を必要とする企業に対して、警備会社の選定から手配、警備計画、当日の運営管理、品質管理、契約・請求までを支援します。AIKが公表している基本的な流れを確認してみましょう。

まず発注企業が、警備を実施したい日時、場所、内容などをAIKの担当者または専用のWeb画面から入力します。その情報をもとにAIKの専任担当者が警備計画を策定し、見積もりを提示します。その後、全国700社以上の「マイガード」加入警備会社から依頼内容に適した会社を選定します。

選定後は案件に必要な教育内容や現場でのオペレーションについてAIKと警備会社が打ち合わせ・調整を行い、実施体制を整えます。警備実施中や実施後についても、AIKが現場での確認(実査)を含む品質管理や報告を行い、週次・月次では警備コンサルティングレポートを作成・提出するとしています。

従来の直接取引でも、発注者と警備会社が業務内容を調整し、警備実施後に品質を確認することはあります。今回のサービスで特徴的なのは、AIKが発注企業と警備会社の間に入り、依頼内容の整理から会社選定、現場調整、実施後の品質管理まで継続して関与する点です。

導入事例から見る警備会社側の3つのポイント

では、こうした仕組みを通じて依頼を受ける場合、警備会社側ではどのような点を整理しておくとよいのでしょうか。AIKが公表している店舗警備やイベント警備の事例から、確認しておきたいポイントを3つに整理します。

1.現場特性に応じた警備に対応する

1つ目は現場ごとに異なる警備の目的や役割を理解し、それに応じた運用に対応することです。AIKが紹介しているプロモーション施策の事例には、著名人が登壇するイベント、大型広告の掲出、期間限定のポップアップストア、新商品発売イベントなどがあります。

同社はイベントの形態によって求められる警備体制が異なるため、来場者数や来場者層、警備の目的などに応じて体制を検討すると説明しています。また屋外イベントなどの雑踏警備と、建設現場などの交通誘導警備はいずれも「2号警備」に分類されますが、現場で求められる対応は異なるとしています。一般に「2号警備」と呼ばれる警備業務は、警備業法第2条第1項第2号に規定される業務で、雑踏警備業務や交通誘導警備業務などが該当します。

AIKは警備会社によって実績や得意とする現場が異なることから、過去の実績をもとに求められるポジションやイベント特性に応じて依頼先を選定していると説明しています。さらにマラソン大会や花火大会などでは、100名を超える警備員を確保した実績も紹介しています。

こうした事例を踏まえると、新たな受注経路に対応する際には、配置可能人数だけでなく、自社がどのような警備や現場を得意としているのかを整理しておくことが一つのポイントになります。

2.発注者の要望を現場まで共有する

2つ目は発注企業が求めている警備の内容を、実際に勤務する警備員まで共有する仕組みです。AIKが紹介している店舗警備の事例では、店舗の立地や来店者数、運営方針を踏まえ、接遇面にも配慮した警備会社を選定したとしています。さらに店舗ごとの運営ルールやブランド方針を反映した警備マニュアルをAIKが作成し、警備会社と店舗の双方へ共有。警備員にも、企業への理解や店舗の接客スタンスを伝えていると説明しています。

AIKはイベント警備についても、発注企業が警備会社にどのように動いてほしいのか、何を求めるのかを事前に伝える必要があると説明しています。警戒を重視するのか、来場者を迎える際の接遇を重視するのかによっても、現場での対応は変わります。AIKは事前のヒアリングで警備方針を整理し、現場で実行する内容として警備会社へ共有するとしています。

警備NEXT編集部として注目したいのは、こうした情報を営業担当者や管制担当者だけにとどめず、現場の勤務者まで正確につなぐことです。

3.警備開始後の品質を確認・改善する

3つ目は、警備員を配置した後の品質管理です。店舗警備の事例では、警備の専門担当者による定期巡察を実施し、現場での運用状況や対応品質を確認するとしています。

さらに安全面・防犯面の課題を調査したうえで店舗や企業本部へ報告し、改善案の提案も行っています。つまり今回のサービスでは警備員を手配して終了するのではなく、警備開始後も現場を確認し、課題を次の対応へ反映するところまで品質管理の対象としています。

AIKはこのほか、店舗内のカメラから人の滞留状況を検知して警備員の配置や動きを調整する取り組みや、問題が発生しやすいエリアをマッピングして巡回へ反映する取り組みも紹介しています。

またイベントでは当日の配置内容や現場からの報告を警備発注プラットフォーム上で一元管理し、発注企業と警備会社の双方が状況を確認できる体制を整えているとしています。現場から得た情報を配置や巡回方法の見直しに活用する取り組みとして、警備会社にとっても参考になる事例です。

新たな受注経路に対応するため警備会社が確認したいこと

なお今回AIKが公表した資料では、「マイガード」への警備会社側の具体的な加入条件や、案件を受注する際の詳細な条件までは確認できません。以下では、公表されたサービスの仕組みや事例をもとに、警備会社が自社の受注・管理体制を点検する際のポイントを整理します。

今回の「マイガードプロ」の事例だけをもって、警備業界全体で警備会社の選定基準が変化したと判断することはできません。一方、マッチングサービスや外部ネットワークを通じて依頼を受ける場合、自社がどのような業務に対応できるのか、受注後にどのような管理を行えるのかを明確にしておくことは、対応可否を判断するうえでも役立ちます。今回の事例を踏まえ、管理職が自社で確認したい内容を整理します。

自社が対応できる業務・得意分野を整理する

まず確認したいのが、自社の対応領域です。施設警備、交通誘導警備、雑踏警備など、自社が対応できる警備業務に加え、

  • 対応可能な地域
  • 配置できる人数
  • 過去の警備実績
  • 検定合格警備員など有資格者の人数・配置可能状況
  • 得意とする施設やイベントの種類

などを整理しておくと、依頼を受けた際に自社で対応できるか判断しやすくなります。

営業・管制・現場で共有する情報を明確にする

次に点検したいのが、受注した情報を現場へ伝える仕組みです。今回の事例を踏まえると、現場ごとの警備目的や注意事項について、

  • 何を共有するのか
  • どの資料を使うのか
  • 誰が情報を更新するのか
  • 変更事項を誰が勤務者へ伝えるのか

などを決めておくことが考えられます。

発注者との打ち合わせ内容を営業担当者だけが把握していたり、管制から勤務者への伝達が口頭だけになっていたりすると、認識の差が生じる可能性があります。警備計画や配置表、指示書、マニュアルなど、自社で使用している資料も含めて情報の流れを確認するとよいでしょう。

警備後の情報を次の現場へ生かす

もう一つ確認したいのが、警備実施後に得た情報の扱いです。たとえば管理職であれば、

  • 巡察結果をどのように記録しているか
  • 発注者からの要望や指摘を誰が管理しているか
  • 改善内容を次回の勤務者へどう引き継ぐか
  • 同じような問題が別の現場でも発生していないか

といった点を点検できます。

新たな受注経路を活用する場合でも、契約を獲得することだけで業務は終わりません。受注後に依頼内容を現場へ伝え、実施状況を確認し、得た情報を次の配置や教育へ反映するところまで含めて、自社の管理方法もあわせて点検しておくことが重要です。

警備会社マッチングを自社の受注・管理体制を見直すきっかけに

AIKが2026年8月18日に一般企業向けへの正式展開を発表した「マイガードプロ」は、全国700社以上の警備会社ネットワークと約10,000件の警備依頼を分析したデータベースを活用し、警備会社の選定から警備計画、現場管理、品質管理、契約・請求までを一括して支援するサービスです。

今回の事例から、警備会社側で確認しておきたいポイントは主に3つです。

  1. 自社が対応できる業務や得意とする現場を明確にする
  2. 発注者の要望を営業・管制から勤務者まで共有する
  3. 巡察・報告で得た情報を次回の配置や教育へ反映する

警備会社と発注企業をつなぐマッチングサービスやネットワークは、受注経路の選択肢の一つです。管理職はこうした動きも踏まえ、自社の対応可能な業務や実績を整理し、依頼を受けた後の情報共有や品質管理の仕組みまで改めて点検してみてはいかがでしょうか。

警備NEXT(警備ネクスト)では、警備業界の最新動向と実務に役立つ情報を継続的に発信しています。

※本記事は2026年9 月2日時点で公表されている情報をもとに作成しています。サービス内容や提供状況などは変更される可能性があります。利用等を検討する場合は、提供事業者の最新情報をご確認ください。

参考・出典

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