クラウドカメラを警備に活用|180台導入したエスコンフィールドの施設警備DX

テクノロジー

広い施設を警備する際、「現場で何が起きているのか」を警備・設備管理側がどこまでリアルタイムに把握できているでしょうか。

2026年7月17日、北海道日本ハムファイターズの本拠地「エスコンフィールドHOKKAIDO」に、セーフィー株式会社が提供するクラウドカメラ「Safie One」が180台導入されたことが発表されました。

カメラは警備・施設管理をはじめ、スポンサー映像の放映確認、飲食オペレーションなど幅広い用途で使われています。警備・設備チームは監視室から各所の様子をリアルタイムで把握できるほか、各部署の担当者もPCやスマートフォンから必要な映像を確認できる環境が整えられています。今回の事例で注目したいのは、180台というカメラの台数だけではありません。映像を日々の警備や施設管理にどう組み込み、現場の状況把握や関係者間の連携に生かしているかという点です。

本記事ではエスコンフィールドHOKKAIDOでの活用方法をもとに、警備会社がクラウドカメラを施設警備に活用する際に押さえておきたいポイントを解説します。

クラウドカメラを警備・施設管理に活用するエスコンフィールド

エスコンフィールドHOKKAIDOは、2023年3月に北海道北広島市で開業した北海道日本ハムファイターズの本拠地です。プロ野球だけでなくコンサートやイベントも開催されており、警備や設備、飲食など複数の部門が連携して施設を運営しています。

こうした施設運営のなかで導入されているのが、セーフィーのクラウドカメラ「Safie One」です。2026年7月17日の発表によると、スタジアム各所に180台が設置され、主に次の3つの用途で活用されています。

  • 施設管理・警備のリアルタイムモニタリング
  • 場内デジタルサイネージ(電子看板)におけるスポンサー映像の放映確認
  • プレミアムエリアでの飲食オペレーション

警備・設備チームは監視室から各所の状況を把握できます。またファイターズの各部署にも映像を閲覧するためのアカウントが付与され、担当者はPCやスマートフォンからカメラ映像を確認できるとされています。監視室だけでなく、必要な担当者が離れた場所から現場の様子を把握できる点が特徴です。

出典 | クラウドカメラ「Safie One」(セーフィー株式会社 プレスリリース)

クラウドカメラとは

クラウドカメラとは撮影した映像をインターネット経由で外部のサーバーに保存し、PCやスマートフォンなどから確認できるカメラです。

今回導入されたSafie Oneも、インターネットにつなぐことで離れた場所から映像を閲覧できます。また、カメラ側でAI処理を行う機能にも対応しています。

ただし今回のエスコンフィールドHOKKAIDOの発表で警備用途として明らかにされているのは、警備・設備チームによるリアルタイムの映像確認です。AIが異常を自動検知して警備員へ通知するといった具体的な運用については、今回の発表からは確認できません。そのため「AIが警備を自動化した事例」と捉えるのではなく、映像を使って施設内の状況把握や情報共有を支援している事例として見るのが適切です。

警備で注目したいのは「遠隔監視」だけではない

防犯カメラというと、不審者や事故の確認、トラブル発生後の録画確認などを思い浮かべる人も多いでしょう。

一方、今回のエスコンフィールドHOKKAIDOの事例では、カメラ映像を「後から見るため」だけでなく、その時点の現場状況を共有する情報として活用しています。

飲食オペレーションではプレミアムエリアのラウンジ個室の状況をカメラで把握し、スタッフが無線を通じて指示を出す運用も行われています。バックヤードのシェフも映像を見られる環境が整えられているといいます。警備業務でも、このように複数の関係者が同じ状況を共有できる仕組みは参考になります。

無線や電話だけでは伝えにくい状況を補完する

施設警備では、現場の警備員から監視室や責任者へ無線などで状況を報告する場面があります。

しかし、「人が集まっている」「通路が混み始めている」「この場所に対応が必要」といった情報は、言葉だけでは現場の規模感や周囲の状況まで伝えにくいことがあります。カメラ映像を確認できれば、現場からの報告に加えて、画面に映る範囲の様子を管理側でも把握できます。現場警備員からの報告をなくすのではなく、現場からの情報とカメラ映像を組み合わせ、判断材料を増やすという考え方です。

多数のカメラを「誰が見るか」も運用の一部

大規模施設に多数のカメラを設置しても、一人の担当者がすべての映像を常時監視することは現実的ではありません。

今回の事例で参考になるのは、各部署の担当者がカメラ映像を閲覧できる環境を整えている点です。自社で導入する場合も「カメラを何台設置するか」だけでなく、どの担当者がどのような目的で映像を見るのかを決めておく必要があります。

施設全体を管理する責任者と、特定エリアを担当する現場責任者では、必要とする情報も異なります。映像情報を増やすだけではなく、日々の警備業務のなかでどのように使うのかまで設計することが求められます。

クラウドカメラは警備員を減らすためのものなのか

警備DXを考える際、「省人化」は避けて通れないテーマです。

人手不足が続く警備業界では、テクノロジーによって業務負担を軽減できるかどうかは、経営側・管理側の双方にとって関心の高いテーマでしょう。

ただし今回の事例から「クラウドカメラ180台によって警備員を何人削減できた」と判断することはできません。セーフィーの発表では、施設管理・警備のリアルタイムモニタリングをはじめ、スタジアム運営の効率化や品質向上にクラウドカメラを活用していることは示されています。一方、警備員数や警備業務の削減時間などの定量的な効果は公表されていません。

カメラを導入すれば、そのまま警備員を減らせるわけではありません。警備員は来訪者への対応、巡回、異常発生時の初動対応、関係者との調整など、現場でなければ担えない業務も行っています。

そのためクラウドカメラの効果を考える際は、「何人減らせるか」ではなく、「現場や管理者の状況確認をどこまで支援できるか」という視点も必要です。例えば施設によっては、これまで現地で確認していた状況の一部を遠隔から把握できるようになる可能性があります。

ただしどこまで業務を変更できるかは、施設の構造、警備計画、契約内容、カメラの設置場所などによって異なります。

警備会社がクラウドカメラを導入するときに確認したい5つのポイント

では施設警備にクラウドカメラを取り入れる場合、何を確認すればよいのでしょうか。今回の事例から考えると、機器の性能だけでなく、少なくとも次の5点を整理しておきたいところです。

1.何をカメラで把握するのか

最初に決めたいのが導入目的です。例えば、

  • 出入口の状況
  • 共用部の様子
  • 人が集中しやすい場所
  • 現場警備員から報告があった場所
  • 現地での確認に時間がかかる場所

など、施設によって把握したいポイントは異なります。

「DXのためにカメラを入れる」のではなく、現在の警備業務を整理したうえで、どの業務を映像で補完したいのかを明確にします。

2.誰が映像を見るのか

監視室の警備員、警備責任者、施設管理者では、必要とする情報が異なる場合があります。導入時には、それぞれの役割に応じて閲覧できる範囲を設定します。エスコンフィールドHOKKAIDOでは、警備・設備チームだけでなく、各部署の担当者にも映像を閲覧するためのアカウントが付与されています。

ただし各部署がどのカメラまで閲覧できるかといった具体的な権限設定までは公表されていません。自社で運用する場合は、担当業務や責任範囲に応じた権限設計も検討項目になります。

3.映像を見たあと誰が判断するのか

カメラを設置しても、映像を見るだけでは警備業務は完結しません。例えば、監視担当者が混雑や異常を把握した場合、

  • 誰が対応の要否を判断するのか
  • 誰が現場警備員へ指示を出すのか
  • 施設管理者へいつ報告するのか

といった流れをあらかじめ決めておきます。つまり、確認→判断→指示→対応までを一つの運用として考える必要があります。既存の警備体制へクラウドカメラを追加する場合は、現在の指揮命令系統のどこにカメラ情報を組み込むのかを整理します。

4.カメラと現場警備員の役割分担を決める

カメラには死角があり、画面だけでは音や周囲の細かな状況、対象者とのやり取りまで把握できない場合があります。そのため巡回や対人対応など現場で担う業務と、カメラで補完する確認業務を分けて考えます。クラウドカメラを導入する場合も、「映像で確認できること」と「現場で人が確認・対応すべきこと」を整理しておくことが欠かせません。

5.映像の利用目的と管理ルールを決める

クラウドカメラでは、映像の取り扱いにも注意が必要です。特定の個人を識別できるカメラ画像は、個人情報に該当します。導入時には、

  • カメラを設置・管理する主体
  • 映像を閲覧できる担当者
  • 利用目的
  • 保存方法
  • 利用目的の通知・公表の要否
  • カメラ撮影を認識可能にするための掲示等の必要性
  • 異常発生時のデータの取り扱い

などを整理し、個人情報保護委員会のガイドライン等も確認します。警備会社と契約先施設の双方がカメラ映像を扱う場合は、委託関係や映像の取扱主体を確認したうえで、それぞれがどの範囲で映像を閲覧・管理するのか整理しておく必要があります。

施設警備DXでは「カメラ導入後の運用」まで考える

エスコンフィールドHOKKAIDOの事例から見えてくるのは、クラウドカメラを単独の防犯設備ではなく、施設内の情報共有を支える仕組みとして活用していることです。警備・設備チームが監視室で現場の様子を見るだけでなく、各部署の担当者もPCやスマートフォンからカメラへアクセスできる環境が整えられています。

もちろん施設の規模や構造、警備員の配置、契約先との役割分担によって、必要なカメラの台数や運用方法は異なります。施設警備への導入を検討する際は、機器の機能や台数だけでなく、

何を把握するのか

誰が見るのか

誰が判断するのか

誰が現場へ指示するのか

対応結果をどう共有するのか

という一連の流れまで設計することがポイントです。クラウドカメラは現場からの報告を補完し、管理者が状況を判断するための情報を増やす手段になります。施設警備のDXを進める際は「どのカメラを導入するか」だけでなく、取得した映像を日々の警備業務にどう組み込むかまで検討してみてはいかがでしょうか。

警備NEXT(警備ネクスト)では、警備業界の最新動向と実務に役立つ情報を継続的に発信しています。

※本記事は2026年8月21日時点の公表情報をもとに作成しています。クラウドカメラの利用にあたっては、利用目的や運用方法に応じて、最新の法令・ガイドライン、契約先との取り決め等をご確認ください。

参考・出典

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