今年も全国各地で厳しい暑さが続き、交通誘導警備や雑踏警備など屋外で勤務する警備員にとって、熱中症対策はこれまで以上に重要な課題となっています。
「ファン付き作業着を着ているから安心」「こまめに水分補給をしているから大丈夫」と考えがちですが、近年の猛暑では、それだけでは十分とは言えないケースもあります。警備会社には、警備員が安全に業務を遂行できる環境を整えることが求められています。
警備NEXTは官民が連携して熱中症予防の啓発に取り組む「熱中症予防声かけプロジェクト」の会員として、警備現場で実践できる暑さ対策の情報発信に取り組んでいます。
この記事では警備員の熱中症対策として活用できるファン付き作業着、冷却ベスト、クーリングパッドの特徴、警備業務に応じた選び方、会社として導入・運用する際のポイントを解説します。あわせて、暑さ対策用品の導入を検討している企業向けに、2026年7月に予定されているセール情報も紹介します。
なぜ今、警備員の熱中症対策を見直す必要があるのか
警備業は、夏場の暑熱環境の影響を受けやすい仕事です。特に交通誘導警備(工事現場などで車両・歩行者を安全に誘導する業務)や雑踏警備(イベントや花火大会などで人の流れを整理する業務)は、直射日光の下で長時間立ち続けることも珍しくありません。さらに制服や反射ベスト、誘導灯、無線機、安全帯など複数の装備を身に着けるため、身体に熱がこもりやすくなります。
近年は気温だけでなく、湿度を含めて熱中症リスクを判断することが重要です。環境省が公表するWBGT(暑さ指数)などを確認し、暑さに応じて作業や休憩を管理する必要があります。
厚生労働省の2025年速報値では、職場での熱中症による休業4日以上の死傷者は1,681人に上りました。また、警備業は死亡者数が建設業に次いで多く、特に注意が必要な業種の一つです。
制度面でも対策が強化されています。2025年6月1日には改正労働安全衛生規則が施行され、一定の暑熱環境下で作業を行わせる事業者に対し、熱中症のおそれがある作業者を早期に把握するための「報告体制の整備」、症状の重篤化を防ぐための「対応手順の作成」、これらの「関係作業者への周知」が義務付けられました。
対象となる目安はWBGT28以上または気温31度以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超えて行うことが見込まれる作業です。
また厚生労働省は、2026年3月に「職場における熱中症防止のためのガイドライン」を策定しています。警備会社には、冷却用品を配布するだけでなく、WBGTの把握、休憩場所の確保、水分・塩分補給、体調確認、緊急時の対応体制まで含めた運用が求められます。
熱中症対策は警備員の健康や命を守るだけでなく、労働災害を防ぎ、安全に業務を継続するためにも欠かせない取り組みです。

ファン付き作業着・冷却ベスト・クーリングパッドの違い
暑さ対策用品は、それぞれ身体を冷やす仕組みが異なります。現場の環境や既存装備との相性を考えて選ぶことが大切です。
- ファン付き作業着
衣服に取り付けたファンで外気を取り込み、衣服内に風を循環させることで汗の蒸発を促し、身体の熱を逃がします。広い範囲に風を送れる一方、高温多湿の環境では汗が蒸発しにくく、十分な効果を感じにくい場合があります。また、反射ベストや安全帯などが空気の流れを妨げないか確認が必要です。
- ペルチェ式冷却ベスト
ペルチェ素子を利用した冷却プレートで、身体を直接冷やすタイプです。ファン付き作業着とは冷却の仕組みが異なり、暑さの厳しい環境での補助的な対策として活用できます。バッテリーを使用するため、導入時には使用可能時間や重量、予備バッテリー、充電環境なども確認しましょう。 - 気化熱冷却ベスト
水分が蒸発するときの気化熱を利用して身体を冷やします。電源を必要としない製品が多く、複数人へ配備しやすい点が特徴です。一方、気温や湿度によって体感が変わるため、使用する環境を考慮する必要があります。 - クーリングパッド
首や背中、脇、脚などを集中的に冷やすアイテムです。勤務中の使用だけでなく、休憩時間や待機時間のクールダウンにも活用できます。使用前に冷蔵・冷凍し、作業前後や休憩中に頭部、首、腕、脚、上半身などを部分的に冷やすアイテムです。会社で導入する場合は、冷蔵庫や冷凍庫、保冷ボックスなどを確保できるかも確認する必要があります。ファン付き作業着や冷却ベストと組み合わせるなど、現場に応じて冷却方法を使い分けるのも一つの方法です。
冷却グッズだけでは熱中症は防げない
ファン付き作業着や冷却用品は便利ですが、「使っていれば安心」というものではありません。
熱中症対策は、次のような取り組みを組み合わせることが基本です。
・WBGT(暑さ指数)の確認
・水分、塩分の補給
・暑さに応じた作業時間の調整
・定期的な休憩
・日陰や冷房設備の活用
・ファン付き作業着や冷却用品の使用
・勤務前、勤務中の体調確認
・警備員同士や管理者による声掛け
あわせて、異常が生じた場合に速やかに対応できる体制も必要です。
めまい、頭痛、吐き気、強い倦怠感、判断力の低下などの異変が見られた場合は、作業から離脱させて涼しい場所へ移動し、衣服を緩めて身体を冷却します。
意識がもうろうとしている、自力で水分を摂取できない、呼びかけへの反応がおかしいといった場合は、重症化のおそれがあります。現場だけで様子を見続けず、速やかに救急要請など必要な対応を取ることが重要です。
会社としては、「誰に報告するのか」「どこで身体を冷やすのか」「どのような場合に救急要請するのか」といった手順をあらかじめ定め、関係者に周知しておきましょう。
冷却用品は、こうした基本対策や緊急時の対応体制を補完する装備として活用することが大切です。
警備業務別に考える暑さ対策用品の選び方
暑さ対策用品は、勤務時間や活動量、屋外にいる時間などに応じて選びましょう。
- 交通誘導警備
道路工事や建設現場では、直射日光やアスファルトからの照り返しを受けながら、長時間屋外で勤務することがあります。ファン付き作業着や身体を直接冷却できるベストが選択肢になりますが、重量や動きやすさ、使用可能時間、既存装備との相性も確認しましょう。 - 雑踏警備
イベントや花火大会などでは、会場内を歩き回る場面が多いため、動きやすさが重要です。軽量な暑さ対策用品やクーリングパッドなどを取り入れる方法が考えられます。 - 施設警備
施設内を中心に勤務しながら一時的に屋外へ出る場合は、必要なタイミングですぐ使える冷却用品が便利です。持ち運びや保管のしやすさも選定ポイントになります。

導入時に現場責任者が確認したいポイント
警備会社が暑さ対策用品を導入する際は、冷却性能や価格だけでなく、現場で継続して運用できるかを確認する必要があります。
- 制服や警備装備との相性
反射ベストや無線機、安全帯などと組み合わせた際に、動きを妨げたり、ファンの吸排気を遮ったりしないか確認しましょう。本格導入前に少人数で試験運用する方法も有効です。 - メンテナンス性
洗濯や乾燥、保管方法に加え、バッテリーを使用する製品では充電・管理方法も確認します。管理が複雑すぎると、継続的に使われなくなる可能性があります。 - 導入・運用コスト
本体価格だけでなく、予備バッテリーや交換部品、洗い替えなども含めた総コストで比較しましょう。
個人購入だけでなく会社支給という選択肢も
会社として暑さ対策用品を支給すれば、現場に適した装備を会社側で選定し、安全衛生管理の水準を一定に保ちやすくなります。また、警備員個人の費用負担を減らし、安全管理や働きやすい環境づくりへの取り組みを社内外に示すことにもつながります。
ただし、全員に同じ装備を一律に配布することが最適とは限りません。現場ごとの暑熱環境や勤務内容を整理し、必要性の高い現場から段階的に導入する方法も考えられます。
暑さ対策用品のセール情報|導入前に仕様と運用方法を確認
暑さ対策用品は夏本番になると需要が高まり、品薄になることもあります。複数人分を必要とする警備会社では、早めの導入計画が重要です。
株式会社ディックコーポレーションでは、楽天市場で2026年7月19日(日)20時から7月26日(日)1時59分まで開催予定されているセール期間に、一部の対象商品を販売する予定です。
※セール名称、開催内容、対象商品、販売価格、在庫状況は変更される場合があります。購入時には販売ページで最新情報をご確認ください。
まとめて導入する場合、このような機会を活用することでコストを抑えられる可能性があります。ただし、価格だけで判断せず、自社の警備業務や既存装備との相性を確認しましょう。
🛡️おすすめグッズ・装備
- 冷暖ペルチェベスト
価格帯目安:約20,000円前後
導入費用は比較的高いため、暑熱環境の厳しい現場から優先的に配備する方法が考えられます。予備バッテリーや充電環境も確認しておきましょう。

- 気化熱冷却ベスト
価格帯目安:7,000〜10,000円程度
複数人への配備がしやすい一方、連日使用する場合は洗濯や乾燥のサイクル、洗い替えの必要枚数も考慮しましょう。

- IMPL COOLING PADシリーズ
価格帯目安:3,000〜8,000円程度
既存の暑さ対策に追加しやすく、個人への配備だけでなく、休憩場所や待機場所に準備する方法も考えられます。

会社として導入する際は、「誰が・どの現場で・どのくらい使用するのか」を整理し、必要な装備を組み合わせることが大切です。
※価格は販売時期や商品によって異なる場合があります。
まとめ
警備員の熱中症対策では、ファン付き作業着や冷却ベスト、クーリングパッドなどを現場に応じて活用するとともに、水分・塩分補給や休憩、WBGTを活用した作業管理を組み合わせることが重要です。
2025年の法改正によって、一定の暑熱環境下では、熱中症のおそれがある作業者を早期に把握し、重篤化を防ぐための体制整備も事業者に求められるようになりました。
暑さ対策用品を導入する際は、価格や冷却性能だけでなく、既存装備との相性や管理方法、運用コストまで比較し、自社の現場に合ったものを選びましょう。
警備員が安心して業務に取り組める環境を整えることは、安全な警備サービスの提供にもつながります。この機会に、自社の熱中症対策を改めて見直してみてはいかがでしょうか。
警備NEXT(警備ネクスト)では、警備業界の最新動向と実務に役立つ情報を継続的に発信しています。
※本記事は公開情報をもとに編集部が作成したものです。特定の企業の法的判断を示すものではありません。
※本記事で紹介するファン付き作業着や冷却用品は、熱中症を完全に防ぐものではありません。WBGTに応じた作業管理、水分・塩分補給、休憩、健康状態の確認、緊急時の対応体制などと組み合わせて活用してください。
※「熱中症予防声かけプロジェクト」の対象商品であることや、「ひと涼みアワード」の受賞対象に含まれることは、個々の商品性能や熱中症予防効果を保証・認定するものではありません。
参考・出典
- 熱中症予防声かけプロジェクト
- 株式会社ディックコーポレーション「熱中症予防声かけプロジェクト『ひと涼みアワード2026 企画・アイデア部門 最優秀賞』受賞商品を含む商品をAmazon.jp・楽天市場でセール展開」PR TIMES、2026年7月8日
- 厚生労働省「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」
- 厚生労働省「職場における熱中症対策の強化について」
- 厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」
- 環境省「暑さ指数(WBGT)について」