熱中症対策は“一律支給”から“現場に合わせて選ぶ”時代へ|最新動向から見る警備会社の備え

これいい!おすすめグッズ

近年、夏の猛暑は年々厳しさを増しており、警備業界でも熱中症対策は重要な経営課題となっています。交通誘導やイベント警備、施設警備など、さまざまな現場で働く警備員にとって、暑熱環境への対応は安全確保だけでなく、安定した人員確保や職場環境の改善にも直結する問題です。

こうした状況を受け、2025年6月には改正労働安全衛生規則が施行され、一定の条件下で事業者に熱中症対策が義務付けられました。企業には、熱中症のおそれがある作業に対し、体制整備や手順作成など、より実効性のある対策が求められています。

一方、市場では空調ウェアだけでなく、保冷剤ベストやヘルメット冷却装備、冷感インナーなど、さまざまな暑熱対策用品が登場しています。そのため近年は、「全員に同じ装備を支給する」のではなく、「現場や作業内容に合わせて最適な対策を選ぶ」という考え方にも注目が集まっています。

こうした中、株式会社マンダムは2026年7月、法人向け暑熱対策の取り組みを強化し、企業ごとの業務環境や課題に応じて冷感・制汗アイテムや使用方法を提案する特設サイトを開設しました。
本記事では、同リリースを手がかりに、警備会社が暑熱対策用品を「現場に合わせて選ぶ」ための考え方を整理します。

なぜ今、熱中症対策は「一律支給」では難しくなっているのか

熱中症対策というと、「空調ウェアを支給する」「冷感タオルを配布する」といった取り組みを思い浮かべる方も多いでしょう。実際、ここ数年で空調ウェアは多くの警備会社に普及し、夏場の現場では定番の装備となっています。

しかし、警備会社が抱える現場は一つではありません。

交通誘導警備では、炎天下の道路上で長時間立ち続けることが多く、直射日光や照り返しによる暑さの影響を強く受けます。一方、施設警備では屋内外を移動しながら巡回するケースもあり、イベント警備では人混みの中で長時間勤務することもあります。さらに建設現場ではヘルメットや安全装備の着用が必須となり、暑さがこもりやすい環境で作業を行う場面も少なくありません。

このように、同じ「警備業務」であっても、勤務環境や作業内容は現場によって大きく異なります。そのため、すべての隊員に同じ装備を支給するだけでは、十分な熱中症対策にならないケースもあります。

また、隊員一人ひとりの年齢や体力、体質によっても必要とする対策は異なります。例えば、風を循環させる空調ウェアを快適と感じる人もいれば、保冷剤による直接的な冷却を好む人もいます。現場環境だけでなく、使用する人の感じ方にも違いがあることから、「一律支給」だけでは対応しきれない場面が増えてきているのです。

さらに、2025年6月施行の改正労働安全衛生規則では、熱中症のおそれがある作業について、事業者に体制整備や重症化を防ぐための措置が義務付けられました。これにより、「暑さ対策を実施している」という形式的な対応ではなく、現場に合わせた実効性のある対策がこれまで以上に重要になっています。

出典
・厚生労働省「労働安全衛生規則の一部改正(令和7年6月施行)」
・厚生労働省「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」

現場によって求められる暑熱対策は異なる

警備業務暑さの特徴有効な対策例
交通誘導警備炎天下・照り返し空調ウェア・保冷剤ベスト
イベント警備人混み・長時間勤務空調ウェア・冷感インナー
施設警備屋内外を巡回ネッククーラー・冷感インナー
建設現場警備ヘルメット着用ヘルメット冷却装備・保冷剤ベスト

暑熱対策用品は「組み合わせて使う」時代へ

暑熱対策用品も、この数年で大きく進化しています。
かつては空調ウェアが中心でしたが、現在は保冷剤ベストやヘルメット内部を冷却する装備、ネッククーラー、冷感インナーなど、多様な製品が登場しています。

例えば、保冷剤ベストはバッテリーを必要としないため、防爆エリアや防護服を着用する現場でも使用しやすいという特長があります。近年発売された製品では、断熱構造を採用することで、40℃の環境下でも冷感が約4時間持続するとされるモデルも登場しています。

また、ヘルメット着用が必須となる現場では、ヘルメット内部に風を送り込む冷却装備も注目されています。空調ウェアの送風を活用するタイプであれば、新たなバッテリーを追加する必要がなく、既存のヘルメットに後付けできる製品も販売されています。このように、それぞれの製品には異なる特長があります。重要なのは、「どれが一番優れているか」を決めることではありません。それぞれの現場環境や業務内容に応じて、適した装備を組み合わせて活用することが、より効果的な熱中症対策につながります。

警備NEXTでもこれまで、保冷剤ベストやヘルメット冷却装備などを紹介してきましたが、今後は単独の製品を導入するだけではなく、「どの現場で、どの装備を組み合わせるか」という視点が、より重要になっていくでしょう。

暑熱対策用品の特徴(イメージ)

製品特長向いている現場
空調ウェア衣服内へ送風屋外警備全般
保冷剤ベスト直接冷却・バッテリー不要防爆・高温環境
ヘルメット冷却装備頭部の蒸れ軽減建設・交通誘導
ネッククーラー・冷感インナー手軽に導入可能施設・イベント警備

最新動向が示す「現場に合わせて選ぶ」という考え方

暑熱対策用品の種類が増える中で、企業側の関心も「熱中症リスクを下げる」だけでなく、「暑さや汗による働きにくさをどう減らすか」へ広がりつつあります。
株式会社マンダムが2026年3月に15〜59歳男女1,000名を対象に実施した調査では、8割以上が「汗が気になってパフォーマンスが低下すると感じている」と回答し、30.2%が汗が気になる時に「半分も力が出せない」と回答したとされています。
従来は、「会社が選んだ製品を全員へ支給する」という運用が中心でした。しかし近年は、働く環境や業務内容に応じて、冷感・制汗アイテムなどを使い分ける考え方も広がりつつあります。

また同社では2026年7月、法人向けの暑熱対策支援サービスを開始しました。企業が従業員の働く環境や業務内容に応じて、冷感ボディペーパーや冷感ミスト、汗対策用品などを組み合わせて導入できる仕組みです。
この取り組みは、「全員に同じ暑熱対策用品を支給する」のではなく、職種や現場環境に応じて適した対策を選ぶという新しい考え方を提案しています。

この考え方は警備業界にも当てはまります。交通誘導警備、施設警備、イベント警備では、暑さの感じ方も必要な装備も異なるため、現場に応じて暑熱対策用品を組み合わせるという発想が、今後さらに重要になっていくでしょう。

だからこそ、「一律支給」だけではなく、「現場に合わせて必要な対策を選択する」という考え方は、今後さらに重要になっていくと考えられます。

もちろん、すべての企業が新しいサービスを導入する必要はありません。しかし、「現場によって必要な装備は違う」という視点を持つことは、これからの熱中症対策を考える上で大きなヒントになりそうです。

出典:株式会社マンダム ニュースリリースより

警備会社がこれから考えたい熱中症対策

熱中症対策は、「暑くなったら空調ウェアを支給する」という時代から、一歩先の段階へ進み始めています。

近年は、猛暑の長期化に加え、熱中症対策の法令対応も進み、企業にはより実効性のある取り組みが求められるようになりました。そのため、装備を導入すること自体が目的ではなく、「現場に適した対策ができているか」という視点が重要になります。

例えば、交通誘導警備では炎天下での長時間勤務が多く、空調ウェアだけでなく、保冷剤ベストやヘルメット冷却装備を組み合わせることで、身体への負担軽減が期待できます。一方、施設警備やイベント警備では、動きやすさや着脱のしやすさを重視した冷感インナーやネッククーラーが適している場合もあります。

また、隊員の年齢や体調、勤務時間によっても必要な対策は変わります。経験豊富なベテラン隊員と、新人隊員では暑さへの感じ方や体力も異なるため、一律の運用では十分に対応できないケースもあるでしょう。

さらに重要なのは、装備だけに頼らないことです。こまめな休憩や水分・塩分補給、WBGT(暑さ指数)の確認、体調変化を早期に把握する体制づくりなど、基本的な熱中症対策と組み合わせることで、より安全な職場環境づくりにつながります。

警備会社に求められるのは、「どの商品を導入するか」を考えることだけではありません。現場環境や隊員の状況を踏まえながら、複数の選択肢を組み合わせ、より効果的な対策を構築していくことが、これからの熱中症対策のポイントと言えるでしょう。

まとめ

警備業界では、人手不足への対応や働きやすい職場づくりが求められる中で、熱中症対策の重要性はこれまで以上に高まっています。

空調ウェアが広く普及した現在も、保冷剤ベストやヘルメット冷却装備、冷感インナーなど、新たな暑熱対策用品が次々と登場しています。それぞれに異なる特長があるからこそ、「全員に同じ装備を支給する」のではなく、「現場や作業内容に応じて最適な対策を考える」という視点が、今後ますます重要になるでしょう。

今回紹介したリリースも、こうした市場の変化を示す一例と言えます。製品やサービスそのものに注目するだけでなく、「現場に合わせて選ぶ」という考え方を取り入れることが、警備会社にとってより実効性のある熱中症対策につながるのではないでしょうか。

警備NEXTでは今後も、警備業界で活用できる暑熱対策や安全対策の最新動向について、現場目線で分かりやすくお伝えしていきます。

参考文献

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