警備業を“選ばれる仕事”へ。タイヨー大村社長が語る採用・定着・組織づくり【前編】

インタビュー

タイヨー大村社長が語る、警備業を“選ばれる仕事”にするための取り組み、そして長く働ける組織づくり

「この仕事をやっていたらモテないな」。警備業界に入った当初、タイヨー株式会社 代表取締役社長の大村亮太氏が感じたのは、警備業をもっと若い人が働きたいと思える仕事に変えたいという思いでした。

父が創業した会社を継ぐつもりはなかったという大村氏。しかし、会社の将来を思い、自ら「継がせてほしい」と申し出たと言います。社長就任後、最初に手を付けたのは採用でした。警備業は人が中心の仕事だからこそ、採用こそがすべてのスタートラインだと考えたからです。

前編では、2代目社長として会社を引き継いだ経緯、採用改革、警備業を“選ばれる仕事”にするための取り組み、そして長く働ける組織づくりについて話をうかがいました。

プロフィール

創業者を父に持つ2代目代表取締役社長。別業界での勤務を経て、3年間の修行期間後、30歳になる年にタイヨー株式会社へ入社。採用改革を皮切りに、警備業を“選ばれる仕事”にするための組織づくりを推進。現在は採用・定着・待遇改善・現場環境整備などを通じて、「警備員中心」の経営に取り組んでいる。

タイヨー株式会社:https://keibi-taiyo.co.jp/

業界の古さに感じた違和感。「警備をモテる仕事にしなければ」と思った

――大村社長が社長に就任された時期と、就任までの経緯を教えてください。

父が創業者で、私は2代目になります。就任したのは12年前です。今、13年目に入りました。
もともと継ぐつもりは全くありませんでした。僕は次男ということもあって、そもそも会社に関わる予定もなく、当時はまったく別の業界で仕事をしていました。

ただ、息子が二人いて、どちらも会社を継がない、継げないという状況を、父が嘆いていると人づてに聞いたんですね。父が作った会社ですから、自分が何とかしないとなという思いも生まれて、自分の方から「継がせてほしい」と話しました。26歳になる年だったと思います。

――業界に入られてから、最初に感じた課題は何でしたか。

やっぱり、業界的に古いなという印象はありました。僕自身、この業界に来たときのカルチャーショックは大きかったですね。一番は、「この仕事をやっていたらモテないな」と思ったことです。すごい業界に来ちゃったなという思いはありました。

一方で、何とかしなきゃなとも感じていました。一気にではありませんが、少しずつガラッと変えていきました。今は、会社の方向性も、やっていることも、当時とは全く違うものになっていると思います。

もちろん、創業者が作った理念は尊重しています。ただ、やり方に関しては、この十数年でかなり変わりました。

最初に手を付けたのは採用。「人が中心の仕事」だからこそ、採用がすべてのスタートライン

――社長就任後、最初に取り組んだことは何でしたか。

最初、3年間は修行に出されたんです。3年後に入社して、一番最初に手を付けたのが採用でした。

警備業は人が中心の仕事です。だからこそ、採用は今でも私自身が見ています。面接まで全て行っているわけではありませんが、どの採用媒体を使うのか、どういった内容で情報を出すのかは全部チェックしています。採用がすべてのスタートラインかなと思っています。

新卒採用については、今も最終面接を担当しています。面接のやり方や、マニュアルのようなものも一緒に作ってきました。

――新卒採用では、応募者の志望動機に変化はありますか。

警備業に新卒で入る人は、警備がやりたくて来る人が多いと思います。もちろん、他の業界と比較していて、そちらがだめだったら警備、という人も中にはいます。

ただ、そこは必ず聞くようにしています。警備のやりがいもそうですし、社会を支える仕事として感謝されること、世の中の役に立ちたいという思いを志望動機として持っている人は今でも多くいます。

そういう方が来てくれるとうれしいですね。

――他社との差別化で意識してきたことはありますか。

基本的に、他社との差別化は常に意識しています。他の会社がやっていることはやらずに、先にやりたいというのが僕の心情です。何でも先にやっちゃおうと思っています。

もちろん、最初は反発もいっぱいありました。社長交代から13年間かけて変えてきたので、今はかなり自分の理想に近い形にできていると思います。

一方で、最初の数年間はうまくいかないことも多かったですし、やりたいことがすぐにできない時期もありました。あまり気にしなかったですけどね。

タイヨー株式会社オリジナルキャラクター「クマガイくん」

警備業のイメージを変える。かっこよく、誇らしく、稼げる仕事へ

――採用ページでは「警備業をかっこよく誇らしい仕事へ」と掲げています。この言葉にはどのような思いがありますか。その為に何か変えなければならないと思っていることはありますか。

変えたいところは、全部です。

最初に話した通り、警備業に来たときにカルチャーショックがあって、僕も若かったので「これ、モテないな」と思ったんです。まずは、モテる仕事にしないとなという思いがありました。

若い人が働きたいと思ってくれること。それなりに収入が安定して、ちゃんと稼げること。そのあたりがクリアになれば、ちゃんと「モテる仕事」になるかなと思っていました。ある程度は進められていると思います。

長く働ける会社に必要なのは、ハラスメントをなくし、平等に接すること

――入社した方に長く働いてもらうために、どのようなことを重視していますか。

まず、資格はたくさん取得してもらうように促しています。

もう一つ、僕が重視しているのはハラスメント対策です。僕はハラスメントが嫌いなので、絶対にハラスメントのない会社にしたいと思っています。幹部にも、「ハラスメントをする人は絶対に偉くならない」と徹底していますし、基本的には社内にはありません。もし自社ではなく、現場でそういうことがあったら、改善されなければ取引をやめます。

一番大事になのは、社員が気持ちよく働けることです。人間関係は退職理由になりやすいので、嫌な思いをする人がいるのは良くないなと、かなり気にかけています。

――社員との距離感やコミュニケーションで意識していることはありますか。

平等に接することを意識しています。好き嫌いは人間ですから多少あるかもしれませんが、仕事とそれは別です。誰か一人を特別にかわいがることは、やってはいけないと思っています。

だから、私はあまり会社の飲み会に参加しないんです。誰かと飲みに行ったら、全員と行かなきゃいけない。それは大変なので、みんなでまとめて行くか、行かないかのどちらかです。相談事があれば、お酒のない席でちゃんと聞きます。

――若い社員が定着する会社と、すぐ辞めてしまう会社の違いはどこにあると思いますか。

うちは割と離職率は低いと思います。新卒も長く働いてくれています。

これは業界ではなく、会社だと思うんですよね。私は逆に、警備会社が特殊すぎると思っていて、普通の会社が当たり前にやっていることを、うちの会社に当てはめていっただけなんです。

最初は一般企業の当たり前を会社に入れていくだけで良かったので、ある意味では楽でした。「普通はこう考えるよね」ということを入れていけば、勝手に会社は変わって成長していったと思います。

「人を扱う仕事なのに人事部がない」違和感から始めた組織づくり

――組織づくりで、早い段階から取り組んだことはありますか。

私が最初に信じられなかったのは、人事部がなかったことです。人を扱っている仕事なのに、人事部がない会社は結構あるんです。

警備員さんの採用は警備部門がやって、内勤者や管理部門の人は総務が見る。そういうケースがあると思います。うちもそうだったのですが、「おかしくないですか」となって、結構早めに人事部を作りました。

応募者と向き合う窓口には、労務などに詳しい人が入らないといけません。大手には当然人事部があると思いますが、同規模の警備会社では人事部がない会社も多いと思います。

――業務のデジタル化はどのように進めてきましたか。

結構苦労しました。若い頃は一気に進めようとして反発もあったので、そこは反省しています。

今は最終的な目標を伝えるようにしています。「これはこうするよ、最終的にはこうするよ」と方向性とゴールを示して、そこに向かって少しでもいいから進めていこう、というやり方です。

担当部署の社員も分かっていて、「どうせこうなるなら、今のうちにこうしておきましょう」という話が来るようになりました。

次回(後編)ではこれからの警備会社経営に必要な考え方、現場環境づくり、女性活躍の可能性などについて、詳しく伺っていきます。

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