20・30代の約半数が貯金100万円未満|若手警備員の離職を防ぐ生活支援

ホンネ調査

若手人材の生活不安は、警備会社の採用・定着を考えるうえでも見過ごせないテーマです。

「不動産投資の裏側を知る教科書」が20代・30代男女579名を対象に実施した調査では、貯金総額100万円未満が48.9%、毎月ほとんど貯金できていない層が55.8%にのぼりました。本調査は警備員を対象にしたものではありませんが、若手世代の生活背景を知る一つの参考になります。

警備会社が若手人材の採用・定着を考える際も、給与額だけでなく、勤務日数の見通し、給与の受け取り方、交通費精算、福利厚生など、生活を支える仕組みを整える視点が重要です。

本記事では、20・30代の貯蓄実態を参考にしながら、若手警備員の離職を防ぐために警備会社が考えたい「生活防衛」の支援について整理します。

20・30代の貯蓄状況から考える若手人材の生活不安

若手警備員の採用・定着を考えるうえでも、若年層全体の生活余力を把握しておくことは参考になります。

今回の調査では、月収(手取り)について「10万円未満」が29.2%で最多となり、「15万円〜20万円未満」が19.2%、「20万円〜25万円未満」が18.6%と続きました。月収25万円未満の回答者は合計79.4%です。

出典|不動産投資の裏側を知る教科書「20・30代の579人に聞いた!約半数が貯金できていない現状とは」

「貯金なし」は10.0%、100万円未満は48.9%

貯金総額を見ると、「0円(貯金なし)」が10.0%、「10万円未満」が15.2%、「10万円〜50万円未満」が12.4%、「50万円〜100万円未満」が11.2%でした。

人数ベースで見ると、これらを合わせた貯金総額100万円未満の層は283名となり、全体の48.9%を占めています。一方で、「1000万円以上」と回答した人も6.7%います。同じ20代・30代でも、貯蓄状況には大きな差が出ています。

出典|不動産投資の裏側を知る教科書「20・30代の579人に聞いた!約半数が貯金できていない現状とは」

毎月ほとんど貯金できていない層は55.8%

毎月の貯金・投資割合では、「貯金できていない」が28.8%、「1割未満」が26.9%でした。人数ベースで見ると、両者を合わせて323名となり、全体の55.8%が毎月ほとんど貯金できていない状況です。

出典|不動産投資の裏側を知る教科書「20・30代の579人に聞いた!約半数が貯金できていない現状とは」

家賃、スマートフォン代、奨学金、医療費、冠婚葬祭などが重なると、次の給与日までの生活が厳しくなることがあります。こうした生活不安は、若手人材が安心して働き続けられるかを考えるうえで重要な視点になります。

警備業界でも若手採用や定着が課題となるなか、給与額だけでなく、生活の見通しをどう支えるかが問われています。

警備業で生活不安が離職につながりやすい理由

警備業は、現場ごとに勤務条件が変わりやすい仕事です。

交通誘導警備(工事現場等で車両や歩行者を誘導する業務)では、天候や工事進捗によって勤務予定が変わることがあります。施設警備(商業施設やオフィスビルなどで出入管理・巡回を行う業務)でも、シフトの組み方や夜勤の有無によって収入の見通しが変わります。

若手警備員にとって、収入の見通しが立ちにくい状態は、生活面の不安につながります。たとえば、次のような状態が続くと、勤務継続にも影響が出やすくなります。

・今月どのくらい勤務に入れるか分からない
・シフト変更の連絡が直前に来る
・交通費や備品代の立て替えが続く
・給与日まで手元資金が足りない
・前払い制度や相談窓口があるのか分からない
・勤務実績や給与見込みを自分で把握しづらい

若手人材の離職を防ぐには、給与額だけでなく「生活の見通し」を整える必要があります。

ここで警備会社が考えたいのが、「生活防衛」の支援です。生活防衛とは、貯金や投資を会社が促すことではありません。若手警備員が日々の生活を維持しながら、安心して働き続けられるように、会社の制度や運用を整えることです。

若手警備員を支える「生活防衛」の具体策

生活防衛の支援は、大きな制度改革だけを指すものではありません。警備会社の現場運営の中で見直せる項目も多くあります。

給与前払い・日払い・週払いで急な出費に備える

まず検討したいのが、給与支払いの柔軟化です。

給与前払い制度、日払い、週払いなどは、急な出費があった際の支えになります。働いた分の給与を必要なタイミングで受け取れる仕組みは、貯蓄が少ない若手にとって安心材料になります。

ただし、給与前払いや日払いを導入する場合は、労働基準法上の賃金支払いルールを確認する必要があります。労働基準法第24条では、賃金について、通貨で、直接労働者に、全額を、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うことが定められています。これは一般に「賃金支払の五原則」と呼ばれます。

また、労働基準法第25条では、労働者本人や、労働者の収入によって生計を維持する家族等に、出産、疾病、災害など非常の場合の費用が必要になった際、請求があれば、支払期日前でもすでに働いた分の賃金を支払う必要があるとされています。一般的な給与前払い制度とは別に、こうした非常時払のルールも確認しておく必要があります。

導入時は、「すでに働いた分の賃金をどう支払うか」「手数料や控除の扱いは適切か」「就業規則や賃金規程に定めがあるか」を確認することが前提です。

シフトと収入見込みを見える化する

次に重要なのが、シフトと収入見込みの見える化です。

警備の仕事は、勤務日数や現場によって収入が変動しやすい面があります。勤務予定が直前まで分からない、変更連絡が電話やLINE、紙で分散している、勤務実績を自分で把握しづらいといった状態では、若手隊員は生活設計を立てにくくなります。

シフト表、勤務実績、給与見込み、交通費の支給状況などを確認しやすくすることは、生活不安の軽減につながります。アプリやシステムを使う場合でも、目的は単なるDXではありません。隊員が「今月どのくらい働けるか」「どのくらい収入が見込めるか」を把握できる状態をつくることです。

交通費・立て替え費用の負担を軽くする

交通費や立て替え費用の負担軽減も、生活防衛の支援として確認したい項目です。

現場までの交通費をいったん隊員が負担する運用では、貯蓄が少ない若手にとって負担になる場合があります。金額が数百円、数千円であっても、勤務日数が重なれば生活費を圧迫します。

交通費の支給ルールが分かりにくい、精算まで時間がかかる、立て替えが続くといった状態は、不満や離職の原因になり得ます。

警備会社としては、交通費の支給条件、精算タイミング、申請方法を明確にすることが必要です。可能であれば、現場ごとの交通費目安を事前に共有する、精算漏れを防ぐ仕組みを整える、立て替えが長期化しない運用にするなど、現場に即した改善が求められます。

日常生活で使いやすい福利厚生を用意する

日常生活で使いやすい福利厚生も、若手隊員にとって支援を実感しやすい施策です。

警備会社の福利厚生というと資格取得支援が思い浮かびやすいですが、食事補助、健康支援、レジャー優待、買い物優待、家計支援など、日々の支出に近い支援も生活防衛の一部になります。

ただし、福利厚生は導入するだけでは機能しません。隊員に認知され、実際に使われる必要があります。

特に警備業は、現場に直行直帰する隊員も多く、会社からの情報が届きにくい場合があります。制度の案内方法、利用手順、対象者、利用状況の確認まで含めて設計することが必要です。

相談しやすい管理体制をつくる

相談しやすい管理体制も、生活防衛の支援として欠かせません。

生活費に困っている、シフトを増やしたい、交通費精算について聞きたい、前払い制度を使いたい。こうした相談は、隊員本人から言い出しにくいことがあります。

特に若手の場合、「お金に困っていると思われたくない」「評価が下がるのではないか」と感じることもあります。

制度を用意するだけではなく、「困ったときは誰に相談すればよいか」を明確にすることが大切です。管制担当者や現場責任者が、勤務状況やシフト希望を日常的に確認できる関係をつくることも、離職防止につながります。

警備会社が自社で確認すべきポイント

若手警備員の生活防衛を支えるために、警備会社はまず自社の運用を点検する必要があります。

確認したい項目は、次の通りです。

・給与支払いのルールが明確になっているか
・給与前払い、日払い、週払いを導入する場合、労働基準法に沿った運用になっているか
・勤務予定や勤務実績を隊員が確認しやすいか
・シフト変更の連絡方法が分散していないか
・交通費や立て替え費用の支給条件が分かりやすいか
・精算漏れや支給遅れを防ぐ仕組みがあるか
・制度の案内が現場隊員まで届いているか
・生活や勤務に関する相談窓口が明確か

生活支援を「甘やかし」と捉える必要はありません。生活不安を抱えたまま働く隊員を支えることは、会社にとっても定着施策です。欠勤や急な退職が増えれば、管制業務や現場配置にも影響が出ます。

警備会社に求められているのは、単に「人を集める」ことではありません。採用した若手が、生活の見通しを持ちながら働き続けられる環境を整えることです。

まとめ|若手警備員の定着には「生活の見通し」を支える仕組みが必要

今回紹介した20・30代の貯蓄に関する調査では、貯金総額100万円未満が48.9%、毎月ほとんど貯金できていない層が人数ベースで55.8%にのぼりました。

若手警備員の定着を考える際、給与額だけを見ていては不十分です。給与の受け取り方、シフトの見通し、交通費や立て替え費用の負担、福利厚生の使いやすさ、相談しやすい管理体制まで含めて、働き続けられる環境を整える必要があります。

警備会社が次に取るべきアクションは、自社の若手隊員が「生活の見通しを立てられる状態」にあるかを確認することです。給与前払い制度の有無だけでなく、シフト共有、勤怠管理、交通費精算、福利厚生の周知、相談体制を一つずつ見直すことで、離職リスクを下げる手がかりが見えてきます。

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※本記事は公開情報をもとに編集部が作成したものです。特定の企業の法的判断を示すものではありません。

参考文献

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