警備現場における熱中症対策は、以前より進んでいる一方で、現場の暑熱負担は依然として大きいようです。警備業界特化型の労務管理システム「プロキャス警備」は、全国の現役警備員253名を対象に「熱中症対策調査 2026」を実施しました。「プロキャス警備」は、株式会社PROCANが運営する警備業界向けの労務管理システムです。
2025年6月には、職場における熱中症対策を強化する改正労働安全衛生規則が施行されました。一定の暑熱環境で作業を行う場合、事業者には報告体制の整備、対応手順の作成、関係作業者への周知が義務付けられています。屋外勤務の多い警備業界においても、熱中症対策は「夏場の配慮」ではなく、安全管理・労務管理の重要項目になっています。本記事では、プロキャス警備調べの結果をもとに、現役警備員が感じている夏場の課題と、警備会社が定着・安全管理の観点から見直したい熱中症対策について考えます。
熱中症経験は改善も、現役警備員の約2人に1人が経験

今回の調査では、熱中症または熱中症になりかけた経験がある現役警備員は50.2%でした。同社が行った前年調査では75.5%だったため、25.3ポイント改善したことになります。この数字だけを見ると、警備現場における熱中症対策は前進していると考えられます。

実際に、企業が実施している熱中症対策を見ると、「水分補給の声掛け」が54.5%、「塩タブレット等の配布」が54.2%と、日常的に取り組みやすい対策が上位に挙がりました。次いで、「定期的な休憩時間の確保」が42.3%、「ファン付き作業着の支給」が39.9%となっています。
前年調査と比較すると、「塩タブレット等の配布」は39.7%から54.2%へ14.5ポイント増加しました。また、「ファン付き作業着の支給」も33.6%から39.9%へ6.3ポイント増加しており、警備会社側の対策は一定程度進んでいることが分かります。
ただし、熱中症経験が改善したとはいえ、2026年時点でも現役警備員の約2人に1人が、熱中症またはその寸前を経験している状況です。交通誘導警備や雑踏警備など、屋外勤務が多い現場では、引き続き継続的な対策が欠かせません。
現場の課題は「水分補給」から「暑さそのもの」へ

今回の調査で注目したいのは、熱中症経験が減った一方で、「暑さそのもの」を課題に感じる警備員が増えている点です。夏場の警備現場で困っていることとして最も多かったのは「暑さそのもの」で61.7%でした。前年調査の35.9%から25.8ポイント増加しています。また、「作業時間の長さ」も前年の32.8%から38.3%へ上昇しました。
一方で、「飲料の確保」「休憩スペースの不足」「休憩時間の不足」といった項目は、前年と同水準またはわずかに改善していました。この結果からは、水分補給や休憩確保といった基本対策は進みつつある一方で、猛暑のなかで働く警備員の身体的負担は依然として大きいことが読み取れます。
さらに、今回新たに設けられた項目では、「ヘルメットや防具による暑さ・不快感」が45.1%、「警備服の通気性」が43.9%、「現場の急な欠員や人手不足による負担」が40.3%となりました。
つまり、現場の課題は単に「水分を配ればよい」「休憩を取ればよい」という段階にとどまっていません。制服、防具、勤務時間、欠員時の応援体制など、現場設計全体の見直しが求められているといえます。
求められる支給品は「冷やすグッズ」から「暑さを軽減する装備」へ

支給してほしい熱中症対策グッズでは、「スポーツドリンク」が47.4%で最多でした。次いで「ファン付き作業着」が46.2%、「冷感インナー」が43.5%となっています。
前年調査では、「冷感スプレー」「冷却シート」「クールネックリング」など、身体を一時的に冷やすグッズへのニーズが中心でした。一方、2026年調査では、ファン付き作業着や冷感インナーのように、勤務中の暑さを継続的に軽減する装備への関心が高まっています。
この変化は、警備会社にとって重要です。熱中症対策というと、「水分」「塩分」「休憩」「冷却グッズ」が中心になりがちです。しかし今回の調査では、ヘルメットや防具による暑さ、警備服の通気性、作業時間の長さなど、現場環境そのものに関する課題も多く挙がりました。
今後は、身体を一時的に冷やす対策だけでなく、ファン付き作業着や冷感インナーの支給、通気性の高い警備服の検討、休憩の取り方や配置体制の見直しなど、暑さを軽減するための対策を組み合わせることが重要です。こうした取り組みは、現場の安全管理だけでなく、警備員の満足度や定着にもつながる可能性があります。
熱中症対策は、会社選びや定着にも関わる要素に
熱中症対策は、安全管理だけでなく、警備員が働く会社を選ぶ際の判断材料にもなりつつあります。

熱中症対策に積極的に取り組む警備会社について、「非常に魅力的に感じる」が34.4%、「やや魅力的に感じる」が36.0%となり、合計70.4%が魅力的だと回答しました。
警備業界では人手不足が続いており、採用活動においては給与や勤務日数だけでなく、「安心して働ける現場かどうか」も重要な要素になります。特に夏場の屋外勤務では、暑さ対策が十分に行われているかどうかが、応募前後の印象や入社後の定着に影響する可能性があります。
装備の支給、休憩の確保、体調確認、緊急時の連絡体制などを整えている会社は、現場を大切にしている会社として受け止められやすくなります。一方で、対策が現場任せになっている場合、警備員の不安や負担感につながることも考えられます。
熱中症対策は、法令対応として最低限実施するものにとどまりません。現場の安全を守り、警備員に安心感を持って働いてもらうための職場づくりの一部として捉えることが重要です。
警備業界の働き方改善を支えるシステム

株式会社PROCANでは、警備業界特化型の労務管理システム「プロキャス警備」を提供しています。シフト管理、勤怠管理、給与計算などをクラウド上で一元管理することで、警備会社のバックオフィス業務を効率化し、警備員が安心して働ける環境づくりを支援しています。同社は今後も、警備業界の働き方改善や現場の声の発信を通じて、業界の発展に貢献していくとしています。
まとめ|警備会社に求められるのは「現場で効く対策」
今回のプロキャス警備調べでは、熱中症経験または寸前経験が前年から25.3ポイント改善した一方で、約6割が「暑さそのもの」に課題を感じていることが分かりました。
水分補給の声掛け、塩タブレット配布、休憩確保といった基本対策は広がっています。しかし、現場ではヘルメットや防具による暑さ、警備服の通気性、作業時間の長さ、人手不足による負担など、より実務的な課題も残っています。
また、2025年6月施行の改正労働安全衛生規則により、一定の暑熱環境で作業を行う事業者には、熱中症のおそれがある労働者を早期に発見し、重篤化を防ぐための体制整備や手順作成、関係作業者への周知が義務付けられました。
警備会社にとって、熱中症対策は「実施しているか」だけでなく、「現場で無理なく機能しているか」が重要になっています。基本対策に加えて、装備・制服・勤務体制・情報共有の見直しを進めることが、警備員の安全と定着を支える取り組みにつながるでしょう。
警備NEXT(警備ネクスト)では、こうした労働市場データを踏まえ、警備業の採用・定着に役立つ情報を今後も発信してまいります。
【調査概要】
調査名:現役警備員の熱中症対策調査 2026
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査対象:現役警備員20代以上の男女
サンプル数:253人
調査期間:2026年5月20日〜5月25日
調査主体:プロキャス警備調べ_「現役警備員の熱中症対策調査 2026」(2026年7月1日)