警備の現場で使われているテクノロジー5選|AIやIoTの活用例

テクノロジー

近年、警備業界ではAIやIoTなどのテクノロジーを活用した「警備DX(デジタルトランスフォーメーション)」が進んでいます。警察庁の資料によると、日本の警備員数は約58万人とされている一方で、高齢化や人材不足が課題となっています。そのため、人の警備を補完する技術として、AIカメラや警備ロボットなどの導入が注目されるようになりました。
これまで警備といえば、

  • 人が巡回する
  • モニターを目視で監視する

といった業務が中心でした。しかし現在では、テクノロジーを活用することで、より効率的で高度な警備体制を構築する企業も増えています。

この記事では、実際の警備現場で導入が進んでいるテクノロジーを5つ紹介します。
警備業界がどのように変化しているのか、具体例とともに見ていきましょう。

出典|警察庁「令和6年における警備業の概況」(2025年)

AI監視カメラ(映像解析)

警備テクノロジーの中でも、もっとも導入が進んでいるのがAI監視カメラ(映像解析)です。
従来の防犯カメラは、映像を録画することが主な役割でした。異常が起きた場合も、警備員がモニターを確認して判断する必要があり、長時間の監視は大きな負担となっていました。そこで活用されているのが、AIによる映像解析です。
AI監視カメラは、次のような異常を自動で検知できます。

  • 不審な動き
  • 侵入行為
  • 長時間の滞留
  • 転倒やトラブル
  • 混雑の発生

AIが映像をリアルタイムで分析し、「通常とは異なる行動」を検知すると警備員へ通知します。人の目では見逃してしまう可能性のある異常も検知できるため、事故や犯罪の早期発見につながると期待されています。

  • 商業施設
  • 空港
  • オフィスビル

など、近年では多くの施設で導入が進んでいます。

警備会社にとってのメリット

  • モニター監視の負担軽減
  • 異常検知の精度向上
  • 少人数での監視体制の構築

警備ロボット

近年、警備ロボットの開発も急速に進んでいます。
警備ロボットは施設内を自律的に巡回しながら監視を行うロボットで、主に施設警備(1号警備)の現場で導入が進んでいます。
代表的な例として、SEQSENSEが開発した警備ロボット「SQ-2」があります。このロボットは施設内の地図をもとに自動巡回を行い、異常があれば警備員へ通知する仕組みを備えています。
また、ALSOKやセコムなどの大手警備会社でも、警備ロボットの導入や実証実験が進められています。

警備ロボットは「人の代わりになる存在」というよりも、警備員の業務を補助する存在として活用されるケースが多くなっています。

警備会社にとってのメリット

  • 夜間巡回の負担軽減
  • 巡回業務の自動化
  • 警備品質の標準化

ドローン監視

広大な敷地や屋外施設では、ドローンによる警備も注目されています。ドローンは上空から監視できるため、地上巡回では確認しづらい場所も効率よく確認できます。例えば次のような場所で活用されています。

  • 大規模工事現場
  • 太陽光発電施設
  • 資材置き場
  • 山間部の施設
  • 災害時の被害確認

ドローンには高性能カメラや赤外線カメラが搭載されており、夜間監視にも活用できます。人が立ち入りにくい場所でも安全に監視できるため、警備の効率化につながります。

なお、ドローンを警備用途で使用する場合は、航空法などの法規制にも注意が必要です。
人口集中地区(DID地区)での飛行や夜間飛行には、国土交通省の許可が必要になります。

出典|国土交通省「無人航空機の飛行ルール」

警備会社にとってのメリット

  • 広範囲の監視が可能
  • 危険な場所の巡回を削減
  • 災害時の迅速な状況確認

IoTセンサー(侵入検知・環境監視)

警備の現場では、IoTセンサーも重要な役割を果たしています。
IoTとは「モノのインターネット」と呼ばれる技術で、さまざまな機器をネットワークでつなぎ、データを共有する仕組みです。警備分野では、次のようなセンサーが活用されています。

  • 人感センサー
  • 開閉センサー
  • 振動センサー
  • 温度センサー
  • 音センサー

これらのセンサーが異常を検知すると、警備センターやスマートフォンに通知が送られます。

  • 夜間の倉庫で扉が開いた
  • 立ち入り禁止エリアで人の動きを検知

といった状況をリアルタイムで把握できます。

IoTセンサーは、機械警備システムの中核となる技術でもあり、センサーが異常を検知すると管制センターに通知が送られ、警備員が駆け付ける仕組みとして広く利用されています。

警備会社にとってのメリット

  • 常時監視の必要がない
  • 異常検知の自動化
  • 機械警備の効率化

クラウド型警備管理システム

警備業界では、現場だけでなく管理業務のデジタル化も進んでいます。

  • シフト表
  • 勤務報告
  • 上番・下番連絡

などを従来は紙や電話、FAXで管理するケースも多く、管制担当者の負担が大きいという課題がありました。そこで近年注目されているのが、クラウド型の警備管理システムです。クラウドシステムを活用することで、

  • 配置管理
  • 隊員連絡
  • 勤務状況確認

などをリアルタイムで共有できるようになります。警備員がスマホから上番・下番を報告できる仕組みを導入することで、管制業務の効率化にもつながります。さらに、勤怠管理や給与計算などのバックオフィス業務まで一体化して管理できるシステムも増えています。

こうしたクラウド型システムの一例として、警備業界向け労務管理システム「プロキャス警備」や「KOMAINU」などがあります。

警備会社にとってのメリット

  • 管制業務の効率化
  • 人員配置の最適化
  • 労務管理のデジタル化

テクノロジーが進んでも「人の警備」はなくならない

ここまで紹介したように、警備業界ではさまざまなテクノロジーが導入されています。しかし、警備の現場では依然として人による対応が不可欠です。例えば次のような業務は、人の判断が重要になります。

  • 来訪者への案内
  • トラブル時の対応
  • 周囲への声かけ
  • 現場状況に応じた判断

こうした柔軟な対応は、まだAIや機械だけでは難しい部分です。そのため、今後の警備は「人とテクノロジーが連携する警備」が重要になると考えられています。AIやロボットが警備員の仕事を奪うのではなく、警備員がより高度な判断や対応に集中できる環境を作ること。それが、これからの警備の姿といえるでしょう。

まとめ

警備業界では、AIやIoTなどの技術を活用した警備DXが進んでいます。今回紹介した主な技術は次の通りです。

  • AI監視カメラ
  • 警備ロボット
  • ドローン監視
  • IoTセンサー
  • クラウド型警備管理システム

これらの技術は、人の警備を置き換えるものではなく、警備員の業務を補完し、安全性や効率を高めるためのツールとして活用されています。警備業界では人手不足が続く中、テクノロジーをどのように活用するかが、今後の警備体制づくりの重要なポイントになると言えるでしょう。

警備NEXT(警備ネクスト)では、今後も現場実務に役立つ知見や警備員・管理者の声を発信してまいります。日々の業務改革や将来の体制づくりに、少しでもお役立ていただければ幸いです。

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