【警備業務の入札とは?】初心者向けに参加方法・流れ・注意点を解説

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「入札は難しそう」「大手しか参加できないのでは」
などという理由で、なかなか踏み出せない警備会社の経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

近年は、自治体や官公庁の電子入札化が進み、中小警備会社でも案件情報へアクセスしやすくなっています。政府電子調達システム(GEPS)や各自治体の電子調達システムを通じて、オンラインで案件検索や入札参加ができる環境も広がっています。

ただし、入札は“安定した仕事が簡単に取れる仕組み”ではありません。価格競争や人員確保のハードルがあり、落札後の現場運営まで含めて対応できる体制が求められます。

公共案件は比較的契約期間が長く、支払いリスクも低いため、民間案件と比べて売上計画を立てやすい傾向があります。一方で、毎年入札が行われる案件も多く、価格競争によって利益が圧縮されるケースもあります。また、警備業は人件費比率が高く、現場運営が利益に直結する業種です。落札できても、隊員配置や欠員対応が回らず、現場運営に苦しむケースも珍しくありません。

だからこそ重要なのは、「落札すること」ではなく、“継続して運営できる案件を見極めること”です。
本記事では、警備会社向けに「入札とは何か」という基本から、参加資格、実際の流れ、初心者がつまずきやすいポイントまでを、これから始める方向けにわかりやすく解説します。

なぜ今、警備会社に「入札」が必要なのか

警備業界では現在、「人が集まりにくい」「利益が残りにくい」「案件が安定しない」という課題が同時に進行しています。
警察庁の最新公表資料「令和6年における警備業の概況」によると、令和6年時点の警備業者数は1万811業者、警備員数は58万7,848人となっています。また、在職3年未満の警備員割合も高く、人材定着は業界全体の大きな課題になっています。
出典:警察庁「令和6年における警備業の概況」

そこで注目したいのが、自治体や官公庁が発注する公共案件です。
例えば、公共施設(市役所・学校・文化施設など)や駐車場では、施設警備や巡回警備の案件が継続的に発注されています。公共案件は、比較的契約期間が長く、支払いリスクも低いため、売上計画を立てやすい傾向があります。

警備会社の入札とは?まずは基本を整理

「入札」とは、自治体や官公庁が業務委託先を公平に選ぶための仕組みです。一定条件を満たした企業が価格や提案内容を提示し、その中から最も適切な企業が選ばれます。

警備業界の入札案件

  • 市役所・公共施設の施設警備
  • 学校警備
  • 駐車場警備
  • 巡回警備
  • イベント・雑踏警備
  • 交通誘導警備
  • 夜間警備 など

自治体では複数年長期契約(3〜5年)への移行が進んでいます。長期契約案件では、警備員の継続雇用や安定したシフト計画を提案書に明示することが評価につながります。資格登録や書類準備には時間がかかるため、公募が始まったら即座に対応しましょう。

入札には主に3つの方式がある

一般競争入札

不特定多数の入札者のうち、条件を満たせば広く参加できる方式。総合評価または予定価格の範囲内で最も安い価格を提示した入札者が落札します。

指名競争入札

発注機関がその案件に「適当である」と認めた特定多数の入札者の中から、実績や地域性も踏まえ、一番有利な条件を出した入札者と契約する方式です。

随意契約

入札者同士で競争をすることなく、発注側が任意に特定の事業者を選んで契約します。官公庁入札の中でも例外的な方式の1つです。

入札参加に必要な資格と準備

警備業認定

警備業法に基づき、営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会による認定が必須です。また、1号・2号といった区分に加え、実際の入札では以下も重視されます。

  • 同種案件の実績
  • 指導教育責任者
  • 有資格者数
  • 配置可能人数
競争参加資格申請

自治体ごとに必要な登録制度で、財務・実績・納税状況などが審査されます。1号〜4号の業務区分に応じた認定と、申請期限を守る必要があります。

電子入札への対応

代表的なシステム

必要な準備

  • PCとインターネット環境
  • 電子証明書(ICカード):申込みから手元に届くまで2〜3週間かかる場合があります。
  • ICカードリーダー(ICカードを読み取る機器)
  • 専用ソフト(各発注機関が配布する「クライアントソフトウェア」等)

最初は操作や設定に戸惑うこともありますが、運用を整えれば継続的に活用できます。

入札の基本的な流れ

① 参加資格取得
② 案件検索
③ 仕様書確認
④ 価格積算
⑤ 入札・開札
⑥ 契約

価格の考え方

警備案件では価格重視の傾向が強く、最低価格落札方式が多く見られます。
また、仕様書には配置人数・勤務時間帯・警備区域・緊急連絡体制が詳細に記載されています。過去の落札結果から単価相場を把握し、利益を確保しながら競争力のある価格を設定することが落札のポイントです。

「最低賃金」の改定リスク

公共案件は数年単位の長期契約が増えていますが、契約期間中に最低賃金が引き上げられることが多々あります。契約書に「スライド条項(物価や賃金の変動に伴う代金変更の協議)」があるかどうかを確認をしましょう。

1号(施設警備)特有のポイント

1号は「現場に人が常駐する」ため、労働環境の管理が鍵です。 24時間体制の施設警備の場合、深夜手当の積算ミスは致命的です。また、仕様書に休憩時間の取り扱い(仮眠室の有無や、休憩中に無線を持たされる「待機時間」になっていないか)の確認を行いましょう。

2号(交通誘導・雑踏警備)特有のポイント

2号は「天候」や「不定期な工期」に左右されるため、柔軟性が求められます。道路工事などの交通誘導では、特定の路線で「交通誘導警備業務検定」の有資格者配置が義務付けられています。落札してから「資格者が足りない」となると指名停止リスクに直結するため、「資格者の重複配置が可能か(他現場との兼ね合い)」の事前チェックをしましょう。

区分注目すべきチェックポイント
1号(施設)深夜割増賃金の積算、仮眠・休憩時間の法適合、契約期間中の最低賃金改定への対応。
2号(交通)路線ごとの検定合格警備員(有資格者)の確保、天候による中止時の休業手当等のコスト考慮。

落札後に起きやすい問題

入札は「落札して終わり」ではありません。人員不足で配置できない、欠員対応で現場が疲弊する、安値受注で利益が出ない、といった問題が現場で発生することがあります。そのため重要なのは、「取れる案件」ではなく“回し続けられる案件”を選ぶことです。

まず最初にやるべきこと

  • 参加資格の確認
  • 電子入札対応
  • 過去案件の調査
  • 自社の人員・体制把握
  • 社会保険加入状況の確認

まずは小規模案件から経験を積むことが現実的です。

まとめ|入札は「受注」ではなく「運営力」が問われる

警備会社にとって入札は、売上獲得の手段であると同時に、経営体制を問われる仕組みでもあります。価格競争だけでなく、人員配置・労務管理・教育体制など、会社全体の運営力が結果に直結します。
まずは自社の体制を整理したうえで、小さな案件から実践していくことが重要です。なお、仕様書の読み方や積算の考え方など、実務的なノウハウについては中級編で詳しく解説します。

警備NEXT(警備ネクスト)では、警備業界の最新動向と実務に役立つ情報を継続的に発信しています。

※本記事は公開情報をもとに編集部が作成しています。制度運用は自治体ごとに異なる場合があります。

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