警備業界では慢性的な人手不足が続く中、「採用しても若手が定着しない」「育つ前に辞めてしまう」といった悩みを抱える企業が少なくありません。
本記事では、人材育成担当者の方に向けて、若手警備員が定着し、着実に成長していく職場に共通する3つの習慣を、新年度に見直したいポイントとして整理します。
若手警備員の定着を左右する「現場の空気」
特に若手警備員の場合、警備の仕事そのものが未経験であるケースがほとんどです。
立哨や巡回といった業務内容以上に、
- 現場の空気感
- 先輩との距離感
- 会社からどう見られているか
といった要素に、強く影響を受けます。育成の仕組みや関わり方が整っていないと、本人が力を発揮する前に「ここでは成長できない」と感じ、早期離職につながってしまうことも珍しくありません。
若手が育つ会社には「特別な制度」より共通点がある
一方で、同じような条件の中でも、若手警備員が定着し、数年後には現場の中心として活躍している会社があるのも事実です。
そこには、特別な教育プログラムや派手な制度があるわけではありません。
日々の現場運営の中で、自然と行われている「人を育てるための習慣」が存在しています。
ここからは、そうした職場に共通する3つの習慣を紹介します。

習慣①「最初の3か月」を育成期間として明確に位置づける
若手警備員の定着において、最も重要なのが入社から最初の3か月です。
この期間に「安心して働ける」「ちゃんと見てもらえている」と感じられるかどうかが、その後の定着率を大きく左右します。
定着している職場では、新人をいきなり即戦力として扱いません。
現場に出すことはあっても、「できて当たり前」「失敗してはいけない」という前提ではなく、学ぶことを前提とした配置が行われています。
- 比較的落ち着いた現場から経験させる
- 業務後に短時間でも振り返りの時間を設ける
- 判断が必要な場面では、必ず先輩がフォローに入る
といった工夫が、日常的に積み重ねられています。
「今は育成期間である」という共通認識を、育成担当者だけでなく現場の先輩警備員にも共有しておくことで、現場全体の雰囲気が柔らぎ、若手の不安も軽減されます。
習慣② 教える人を固定しすぎず、多様な視点を与える
育成がうまくいかない現場では、「新人はこの人が見る」と指導役を一人に固定しているケースが少なくありません。
一見すると効率的ですが、そこにはリスクもあります。
教え方や価値観は人それぞれ異なるため、一人のやり方しか知らない状態では、若手は視野を広げにくくなります。
また、指導役との相性が合わなかった場合、相談先を失い、孤立してしまう可能性もあります。
定着している職場では、
- 複数の先輩と現場を経験させる
- 現場ごとに判断基準が異なることを伝える
- 「この現場ではこう考える」と背景まで説明する
といった関わり方が行われています。
これにより若手は、「正解は一つではない」「考えて動くことが求められている」と理解するようになり、応用力が身についていきます。
習慣③ できたことを具体的な言葉で伝える
若手警備員の成長を促すうえで欠かせないのが、日常的なフィードバックです。
しかし現場では、「問題が起きた時だけ注意する」「忙しくて声をかける余裕がない」といった状況も少なくありません。
若手は経験が浅いため、自分の行動が正しかったのかどうかを判断する材料を持っていません。そのため、良い行動であっても、何も言われなければ「評価されていない」と感じてしまいます。
定着している職場では、
「報告が早くて助かった」
「周囲への声かけが丁寧だった」
「落ち着いて対応できていた」
など、行動を具体的に言葉にして伝えることが習慣化されています。
こうした一言があるだけで、若手は自分の成長を実感し、「次も頑張ろう」という前向きな気持ちを持つことができます。評価を伝えることは、モチベーション管理だけでなく、行動基準の共有にもつながります。
新年度は人材育成を見直す絶好のタイミング
新年度は、新人配属や体制変更が重なる時期です。
そのタイミングで、育成のやり方や現場での関わり方を見直すことは、長期的な人材定着に直結します。
人材育成は、制度や研修だけで完結するものではありません。日々の声かけや関わり方といった、小さな習慣の積み重ねこそが、若手警備員の成長を支えます。
まとめ:若手が育つ職場に共通する3つの習慣
若手警備員が定着し、現場の戦力として成長していく職場には、特別な制度や目新しい施策があるわけではありません。日々の現場運営の中で、人を育てる視点が自然と共有されているかどうかが、大きな違いを生んでいます。
今回紹介した3つの習慣――
「最初の3か月を育成期間として大切にすること」
「教え方を一つに固定せず、複数の視点を与えること」
「できたことを具体的な言葉で伝えること」
はいずれも、明日からでも意識できる取り組みばかりです。
重要なのは、若手警備員を「すぐに戦力になってもらう存在」として見るのではなく、これから現場を支えていく“伸びしろのある人材”として捉えることです。
その視点があるだけで、声のかけ方や関わり方は大きく変わります。
人材育成は短期間で成果が出るものではありませんが、小さな積み重ねは、確実に若手の安心感と成長意欲につながります。そしてそれは、現場の雰囲気を良くし、ベテラン隊員の負担軽減にもつながっていきます。
新年度という節目のタイミングだからこそ、
「今の育成のやり方で、若手は安心して働けているだろうか」
「成長を実感できる関わり方ができているだろうか」
と、一度立ち止まって振り返ってみてはいかがでしょうか。
若手が育つ職場づくりは、結果的に会社全体の安定と信頼につながります。
警備NEXT(警備ネクスト)では、現場で役立つ知識や警備員の声をこれからも発信していきます。日々の勤務に少しでも役立ててもらえたら幸いです。