警備業界では慢性的な人材不足や業務の複雑化が進み、従来の仕組みでは対応しきれない課題が増えています。その解決策として注目されているのが DX(デジタルトランスフォーメーション) です。
しかし、「DXを進めたいが、何から始めればよいかわからない」という企業担当者は少なくありません。システム導入を急いでも現場に定着せず、逆に負担が増えるケースも見られます。
本記事では、初心者の方でも無理なく取り組めるように、DX推進の第一歩として「整えるべき3つの環境」を紹介し、さらに実際に導入を検討すべき おすすめシステム5選 をまとめました。
DX推進のためにまず整えるべき3つの環境
環境 | 目的 | 主な取り組み | 期待できる効果 |
---|---|---|---|
1. データ環境 | 紙やExcel依存から脱却し、労務・シフト・勤怠を一元管理する | ・警備業界向け労務管理システムを導入 ・シフト、勤怠、請求処理をクラウド化 ・現場からスマホ入力可能に | ・データのリアルタイム更新 ・集計作業の大幅削減 ・給与、請求処理の迅速化 |
2. 人材・意識環境 | 現場が安心して利用できる体制を整え、DXを定着させる | ・システム研修やマニュアル整備 ・「デジタル係」の配置 ・現場の声を反映し改善 | ・IT苦手層も安心 ・現場の浸透が進む ・離職防止や士気向上 |
3. コスト・運用環境 | 無理なく継続できる仕組みを整え、DX失敗を防ぐ | ・トライアル利用や段階導入 ・ROI試算で費用対効果を把握 ・ベンダーサポートの活用 | ・導入リスクの軽減 ・長期的な継続運用 ・費用対効果の最大化 |
1. データ環境の整備 〜警備業界向け労務管理システムを導入〜

警備業において、シフト・勤怠・給与・請求は事業運営の根幹です。従来の紙やExcelでは以下のような課題が生じます。
- シフト調整に電話やFAXが必須
- 勤怠集計が遅れ給与計算に時間がかかる
- 現場ごとにフォーマットが違い混乱
これらを解決するには、警備業界に特化した労務管理システムを導入するのが最短です。
- シフト作成から勤怠打刻、給与計算、請求処理まで一元管理
- 現場隊員はスマホでシフト確認や打刻が可能
- 管制担当は隊員の稼働状況をリアルタイム把握
こうした仕組みにより、管理業務の正確性とスピードが飛躍的に向上します。
2. 人材・意識の環境 〜「現場で使える」仕組みを根付かせる〜
DX導入の最大の壁は「人」です。特に50代以上の隊員はデジタルに苦手意識を持つ場合が多く、現場で活用が進まない原因になります。解決策は「現場に寄り添った運用体制づくり」です。
- 研修・マニュアル整備:操作動画や簡単なマニュアルを用意
- デジタル係の配置:困ったときにすぐ相談できる担当者を設置
- 現場の声を反映:改善要望を吸い上げ、ベンダーにフィードバック
小さな成功体験(例:まずはシフト確認だけアプリで)を積み重ねることで、自然と「紙より便利」と感じる習慣が根付きます。
3. コスト・運用環境 〜「無理なく続けられる仕組み」を設計〜
システム導入は投資です。高機能でも使いこなせなければ「高いだけで使えない」となり、失敗に終わります。
- トライアル利用で現場との相性を検証
- ROI試算で人件費・作業時間の削減効果を数値化
- 段階的導入で一部の現場から開始
- ベンダーサポート活用で改善を継続
こうした工夫で、導入リスクを最小化し、長期的に使い続けられるDX基盤が整います。
警備会社におすすめの労務管理システム5選
システム名 | 特徴 | 強み | 想定規模 |
---|---|---|---|
プロキャス警備 https://pro-cas.jp/keibi/ | 警備業特化したクラウド型労務管理システム | スマホでシフト・勤怠・給与・請求を一元管理。ユーザー数7万人、継続率96%超 | イベント・スポット警備が多い中小〜中規模 |
KOMAINU(こまいぬ) https://komainu.cloud/ | 警備業務オールインワンプラットフォーム | 管制・勤怠・給与・帳簿まで一元化。導入企業120社以上、継続率99% | 小規模〜大規模まで幅広く対応 |
警備フォース https://page.keibi-force.com/ | 警備向け配置・上下番・給与・請求一体型SaaS | ワンタップ配置通知、勤怠から給与・請求まで自動連携。経営分析機能も搭載 | 案件数が多い中規模〜大規模 |
KB-Kintai https://kb-kintai.jp/ | GPS・生体認証対応の上下番・勤怠システム | 不正打刻防止、リーダーモード、請求処理の自動化に強み | 打刻精度や信頼性を重視する企業 |
くもかん https://lp.kumocan.com/ | 管制業務特化クラウド | 配置・上下番・シフトをスマホで一元化、電話業務を削減 | 管制省力化を狙う小規模〜中規模 |

まとめ
警備会社のDX推進は「システムを入れること」ではなく、環境を整えることから始まります。
- データ環境を整え、業務を一元管理できる基盤を持つ
- 人材・意識環境を整え、現場が安心して活用できる状態にする
- コスト・運用環境を整え、無理なく続けられる仕組みをつくる
そのうえで、自社の規模やニーズにあった 労務管理システム を導入することが、DX成功への最短ルートです。自社の課題に合った選択をすることで、DXは単なる流行ではなく、競争力を高める武器となります。まずは導入について検討してみるのはいかがでしょうか。
警備の”今”と”これから”を考えるメディア「警備NEXT」では業界ニュースや現役警備員から聞いた調査レポートを掲載しています。ぜひ参考にしてみはいかがでしょうか。