マイナビが発表した「2025年10月度アルバイト・パート平均時給レポート」によると、全国の平均時給は前年・前月いずれも上昇し、人材確保をめぐる競争が引き続き活発です。慢性的な採用難が続く警備業界にとって、この時給上昇は避けて通れないテーマです。
本記事では、最新データをもとに警備業界への影響を読み解き、採用・定着の観点から現場が取るべき具体的なアクションまで整理します。
全国平均時給は上昇を継続 他業種の“時給底上げ”が加速
マイナビが発表したレポートでは、2025年10月度のアルバイト・パート平均時給が、前月比・前年同月比ともに上昇したことが示されています。背景には、多くの業種で人手不足が続き、企業が「時給を上げて応募を集める」動きを強めていることがあります。この傾向は、警備業にも大きく影響します。
というのも、サービス業や軽作業など“未経験でも始めやすい職種”の時給が上がると、求職者がより負担の少ない仕事に流れやすくなるためです。
結果的に、「同じ時給なら、体力的に楽な仕事を選びたい」という判断が働きやすくなり、警備業界はこれまで以上に採用が難しい環境に置かれていると言えるでしょう。

地域差・職種差が明確化 エリアごとの“相場把握”がカギ
今回のレポートからは、時給の地域格差が改めて浮き彫りになっています。都市部では競争が激しく時給が上がりやすい一方、地方では業種によってばらつきがあり、警備業界でも地域ごとに課題は異なります。
- 都心:人材獲得競争が激化
- 郊外:待遇と業務負荷のバランスで選ばれにくい
- 地方:応募数はあるが、時給相場が低いため人材定着が課題
そのため、“自社が採用したいエリアの時給相場を正確に把握する”ことは、採用力の向上に欠かせないポイントです。

警備業界が今すぐ取り組むべき3つのアクション
① 採用で“選ばれる要素”を明確にする
時給だけで勝負するのは限界があります。求職者が応募する理由は時給だけではなく、働きやすさや明確なメリットも重要です。
- 研修が丁寧で安心して始められる
- 資格取得支援や資格手当が充実
- シフトの自由度が高い
- 待機スペースや休憩環境が整っている
- 交通費支給・社用車移動など実質負担の軽減
こうした“応募したくなる魅力”を打ち出すことで、他業種との比較で選ばれやすくなります。
② 現場の定着率を高める“ケアと仕組み”
平均時給が上昇すると、働き手は他業種へ移動しやすくなります。特に警備は「長時間勤務」「屋外での暑熱・寒冷」「業務の精神的負荷」「孤独感」などから離職率が高くなりがちです。
- 定期的な面談
- 班体制の見直し
- メンタルケアの仕組み導入
- 隊長・リーダーへのコミュニケーション研修
など、“辞めさせない運用”が採用コスト削減にも直結します。
③ 価格交渉と見積もりの見直しを怠らない
賃金と受注価格が連動していない場合、「人件費だけが上がる → 利益が圧迫される」という構図が起こりやすくなります。
- 警備員配置人数の見直し
- 業務内容の明確化・再定義
- 受注価格の改定交渉
- DXによる業務効率化(報告書、勤怠、巡回管理など)
こうした見直しこそ、今の時給トレンドに合わせて行うべき項目です。
まとめ:時給上昇は“危機”であり“改善のチャンス”
2025年10月度の平均時給上昇は、警備業界にとって採用環境の厳しさを象徴するデータです。しかし同時に、職場環境の改善や採用強化の方針を再構築する良いタイミングとも言えます。
- 採用:時給以外の魅力づけ
- 定着:ケアと現場環境改善
- 経営:価格設定と業務効率化
これらをバランスよく見直すことで、警備現場は持続的に強くなるでしょう。
警備NEXT(警備ネクスト)では、こうした労働市場データを踏まえ、警備業の採用・定着に役立つ情報を今後も発信してまいります。