管制業務をもっとスマートに!年末年始に見直したい“シフト・勤怠管理”の効率化

テクノロジー

年末年始の警備現場は、イベント警備・商業施設の防犯・交通誘導などが集中し、年間でもっとも管制業務が忙しくなる時期です。
「誰をどの現場に配置するか」「資格要件を満たしているか」「休暇希望をどう調整するか」──これらを紙やExcelで管理していると、わずかな入力ミスが配置トラブルにつながることもあります。近年では、警備業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、クラウド上でシフト作成・勤怠記録・報告書提出まで一元化できるシステムが増えています。
本記事では、シフト・勤怠管理を効率化するために押さえておきたいポイントや、DX化による改善効果、導入企業の事例をご紹介します。

年末年始は見直しに良いタイミング

年末年始は1年の勤務データを整理し、新しい体制を整える絶好の時期です。特にシフト作成や勤怠管理は繁忙期に課題が表れやすいため、このタイミングでの見直しが効果的です。

DX導入は、単に“デジタル化”することが目的ではありません。「人の判断をサポートし、現場がより安全・快適に働ける環境をつくることこそが本質です。管制担当者の負担を減らし、隊員が安心して業務に集中できる仕組みを整えることで、会社全体の信頼性や顧客満足度も高まります。

非DX化による課題とDX化がもたらすこと

1. シフト作成の属人化をAIによる自動化で誰でも同じ精度へ

警備業では、資格(例:交通誘導警備業務2級など)や勤務希望、労働時間の制限、配置基準(人数や検定者の割合など)といった、配置時に考慮すべき条件が多くあります。このため、非DX環境ではベテラン管制担当者の経験に頼った属人的な管理になりやすく、担当変更時に引き継ぎ負担や配置ミスが生じるリスクがあります。

クラウド型の警備システムを導入すれば、隊員の資格・勤務条件・希望を一元管理でき、AIが条件をもとに自動でシフト案を作成します。担当者の経験に依存せず、誰でも一定水準のシフト調整が可能になります。
ただし、AIはあくまで候補案を提示するためのものでああるため、最終判断は必ず人が行うことが前提です。

2. 勤怠報告の遅れをスマホ報告でリアルタイムに管理

電話やLINEで上番(勤務開始)・下番(勤務終了)報告を受けている運用では、報告漏れや記録ミス、データ反映の遅れが発生しやすく、勤怠集計や請求処理の遅延につながることがあります。

DX化によって、スマートフォンでワンタップ報告が可能になれば、勤務状況はリアルタイムでクラウドに反映されます。たとえば「プロキャス警備」では、報告漏れを自動検知してアラートを出す機能も備えているため、現場と本部の情報共有をスムーズにします。
勤怠データの正確性は、働き方改革関連法の「時間外労働の上限規制」への対応にも直結します。正しい勤怠管理は、法令遵守のためにも不可欠です。

3. 現場・事務間の情報共有をクラウド一元管理で効率化

非DX化された環境では、シフト変更や勤怠報告などの情報が電話・メール・LINEなどで分散し、「どの連絡が最新かわからない」「共有漏れが起きる」といった混乱が生じやすくなります。結果として、勤怠実績の反映が遅れ、給与計算や請求処理に影響することもあります。

クラウド型システムを活用すれば、現場の入力が即時に反映され、本部側が常に最新データを確認できます。また、勤怠データを請求・給与処理へ自動連携することで、転記ミスを防ぎ、法令遵守(※時間外労働の上限規制など)にも対応しやすくなります。

非DX化とDX化の違いまとめ

項目非DX化の課題DX導入による改善
シフト作成・経験に依存し、属人化が起こる
・ミスや引き継ぎの負担が発生する
・AIが自動で提案してくれる
・誰でも同じ精度でできる
勤怠・上下番報告・電話やLINE中心で漏れや記録ミスが発生する・スマホ報告が即時反映できるため、リアルタイムで把握が可能
勤怠・請求・給与・手作業で転記するため、ミスや二重入力のリスクがある・データが自動連携し、“転記ゼロ”を実現できる

成功事例に学ぶ

年末年始や大型イベントのように、警備現場の負荷が高まる時期こそ、DXの効果が最も表れます。ここでは、同様に多拠点・多数の隊員を管理する繁忙期対応のケースとして参考になる導入事例をご紹介します。
季節は異なりますが、年末繁忙期にも応用できる実践的な成功事例です。

繁忙期の運営を支える「デジタル管制」

イオンディライトセキュリティ株式会社では、2025年の大阪・関西万博に向けて「プロキャス警備」を導入し、管制・勤怠管理のDX化を進めました。
導入前は、全国から集まる隊員の勤務状況を正確に把握できる仕組みがなく、上番(勤務開始)の遅れや連絡の煩雑さが課題でした。
導入後は、上下番機能・チャット・シフト管理などを活用し、勤務状況と連絡を一元管理。さらに、複数段階通知やGPS到着確認機能によって上番遅刻を防止するなど、現場運営の精度が大幅に向上しました。

特筆すべきは、平均年齢50代のスタッフも多い現場で、スマホアプリ操作が短期間で定着した点です。年齢層を問わず使いやすいUI設計と現場サポートが、DX定着の鍵となりました。

DX化を進める際のポイント

1. 現場が“使いやすい”ことを最優先に

どんなに高機能でも、現場の隊員が使いこなせなければ意味がありません。入力の手間が少なく、スマホ操作が直感的にできるシステムを選ぶことが重要です。
実際に現場でテスト導入し、操作性やサポート体制を確認しましょう。

2. 法令・資格情報との連携を意識する

警備業法では、新任教育・現任教育の実施および資格(検定)の有効期限管理は“義務”とされており、更新漏れは監査指摘の対象となります。
更新期限のアラート機能や、適正配置チェックがあるシステムなら、監査対応もスムーズに行えます。

3. 請求・給与との連携範囲をチェック

勤怠データを外部システム(給与ソフトや会計ソフトなど)と連携できるか確認しましょう。データの二重管理をなくすことで、バックオフィス全体の効率化につながります。

テクノロジーで現場を支える未来へ

AIやクラウドの導入で、警備の現場は着実に進化しています。シフト作成・勤怠管理といった“裏方業務”こそ、効率化の効果が見えやすい領域です。
DX化は、作業時間の短縮だけでなく、勤怠記録の漏れや配置の齟齬による「請求漏れ」「過払い」「再計算」といった“逸失コスト”を削減できる点も大きなメリットです。繁忙期ほどミスが発生しやすいため、こうした効果は年末年始の運営にも直結します。
年末年始の繁忙期を乗り切るためにも、今こそ自社の管制業務を見直すタイミングです。「人にしかできない判断」と「システムに任せられる処理」を上手に分担し、 安全でスマートな現場運営を目指しましょう。

警備NEXT(警備ネクスト)では、現場で役立つ知識や警備員の声をこれからも発信していきます。日々の勤務に少しでも役立ててもらえたら幸いです。

参考・出典一覧

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