警備採用にも示唆 パート・アルバイト募集時平均時給は上昇、関東4都県は15か月連続プラス 

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近年、警備会社の採用現場では人材確保の難しさを指摘する声も聞かれます。こうした背景の一つとして、アルバイト市場全体の賃金上昇があります。

株式会社アイデムが2026年3月5日に発表した調査によると、2026年2月のパート・アルバイト募集時平均時給は、東日本エリアで1,277円、西日本エリアで1,221円となりました。特に東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の関東4都県では平均時給が前年同月比で15か月連続プラスとなっています。

今回の調査は警備業を直接対象にしたものではありませんが、求職者が比較対象としやすい周辺職種の動きを見るうえで、警備会社にとっても参考になるデータです。

東日本は1,277円、西日本は1,221円 募集時平均時給は上昇基調

出典|株式会社アイデム調査

東日本エリアの平均時給は前年同月比44円増

東日本エリアの平均時給は1,277円で、前年同月比44円増となりました。対象地域は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、群馬県、栃木県、静岡県の1都7県です。

職種別の平均時給を見ると、最も高かったのは専門・技術職で1,398円でした。続いて清掃・メンテナンス職が1,296円、製造関連・ドライバー職が1,279円、事務職が1,274円、飲食サービス職が1,233円、販売・接客サービス職が1,226円となっています。

前年同月と比較すると、すべての職種で時給が上昇しています。人材確保のため、企業が採用条件を引き上げている状況が続いていることがうかがえます。

西日本エリアの平均時給は前年同月比33円増

西日本エリアの平均時給は1,221円で、前年同月比33円増となりました。対象地域は大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県、滋賀県、福岡県の2府5県です。

職種別では、専門・技術職が1,282円、製造関連・ドライバー職が1,201円、販売・接客サービス職が1,197円、事務職が1,197円、飲食サービス職が1,189円、清掃・メンテナンス職が1,189円となっています。

前年同月比では6職種のうち5職種がプラスとなり、西日本エリアでもアルバイト時給の上昇が続いています。

注目は「関東4都県は15か月連続プラス」という点

関東4都県の平均時給

今回の調査で特に注目したいのが、関東4都県の動きです。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の平均時給は1,302円で、前年同月比51円増となりました。都県別の平均時給は次の通りです。

  • 東京都 1,336円
  • 神奈川県 1,332円
  • 千葉県 1,251円
  • 埼玉県 1,238円

前年同月比ではすべての都県で時給が上昇しています。特に神奈川県は64円増、千葉県は68円増となり、関東圏での採用競争が強まっていることが分かります。

職種別平均時給

関東4都県の職種別平均時給は次の通りです。

職種平均時給前年同月比
専門・技術職1,411円+51円
製造関連・ドライバー職1,318円+97円
清掃・メンテナンス職1,308円+68円
事務職1,295円+56円
飲食サービス職1,262円+40円
販売・接客サービス職1,247円+30円

すべての職種で前年同月比プラスとなりました。

関東4都県で賃金上昇が続く背景

関東4都県では求人件数が6万件を超えており、アルバイト市場の規模が大きい地域です。今回の調査でも、東京都だけで2万7千件以上の求人データが集計されています。

こうした都市部では飲食業や物流、販売などアルバイトを多く活用する業種の求人が多く、企業同士の採用競争が起きやすい環境にあります。そのため、人材確保のために時給条件を引き上げる動きが続き、結果として平均時給の上昇が長期間続く要因の一つになっていると考えられます。

警備会社が見ておきたいのは「清掃・メンテナンス職」の上昇

清掃・メンテナンス職の平均時給は1,296円

警備業と直接比較しやすいのは、同じ施設内や近い就業環境で募集されやすい職種です。その意味で、今回のデータでは清掃・メンテナンス職の動きが参考になります。東日本エリアの清掃・メンテナンス職は1,296円、関東4都県では1,308円でした。いずれも前年同月比で上昇しています。

ここで注意したいのは、アイデムの「清掃・メンテナンス職」が、清掃・ハウスクリーニング、ルーム・ベッドメイキング、家事代行、建物管理、設備管理などを含む大分類であり、小分類には施設警備も含まれている点です。つまり、この区分の上昇をそのまま「施設警備単独の時給上昇」と断定することはできませんが、少なくとも施設警備を含む近接領域で賃金水準が上がっていることは読み取れます。

施設管理分野で賃金上昇が起きている背景

施設管理分野では、商業施設や大型オフィスビル、物流施設などの増加に伴い、日常的な運営を支える人材の需要が高まっています。例えば大型商業施設では、清掃、設備管理、警備など複数の職種が常駐して施設運営を支えています。

一方で、清掃や設備管理などの職種では慢性的な人材不足が指摘されています。厚生労働省の統計でも、保安職(警備員)や建物管理関連職種では求人倍率が高い水準にあることが示されています。そのため企業側では、応募者を確保するために時給を引き上げたり、勤務条件を改善したりする動きが見られます。今回の調査で清掃・メンテナンス職の平均時給が上昇しているのも、こうした採用競争の影響と考えられます。

警備採用への影響は「断定」ではなく「示唆」として捉えるべき

今回の調査は、15都府県に掲載されたパート・アルバイト求人情報をもとにした募集時平均時給の集計です。そのため、このデータだけで「警備業の応募数が減った」「採用コストが上がった」とまでは確認できません。ここは言い切らず、警備会社の採用市場にも示唆を与えるデータと捉えるのが適切です。

ただし、求職者の視点に立つと、警備求人は清掃、設備管理、倉庫作業、軽作業といった周辺職種と並べて比較されやすい仕事です。関東4都県の平均時給が1,302円まで上がり、清掃・メンテナンス職も1,308円となっている以上、警備会社側も「自社の条件が周辺職種と比べてどう見えるか」を意識する必要があります。

時給上昇局面で、警備会社が見直したい採用条件

警備業界では日給制の求人も多いため、企業側は「日給の見栄え」だけでなく、求職者が時給換算でどう受け取るかまで意識したいところです。特に、実働時間、日給保証の有無、交通費支給、直行直帰の可否、シフトの柔軟さなどは、周辺職種と比較されたときの差になります。

また、屋外勤務が多い交通誘導警備では、空調服の貸与、飲料支給、休憩の取り方、暑さ対策・寒さ対策といった勤務環境の情報も、応募判断に影響しやすい要素です。単純な賃金競争だけでなく、「同じ賃金帯なら、どちらが働きやすそうか」という比較にどう向き合うかが、今後の採用では一段と重要になりそうです。

まとめ

今回の調査では、東日本エリアの平均時給は1,277円、西日本エリアは1,221円、関東4都県は1,302円でした。関東4都県では前年同月比プラスが15か月連続となっており、都市部を中心に募集時給の上昇が続いています。

今回のデータは警備業そのものを直接分析したものではありませんが、警備求人と比較されやすい周辺職種を含む市場環境を示すデータとしては十分に意味があります。警備会社にとっては、日給設定そのものだけでなく、時給換算での見え方、勤務条件の分かりやすさ、働きやすさの伝え方まで含めて、採用条件を見直す局面に入っていると言えそうです。

参考文献

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