【2025年版】警備業界の市場規模と今後の動向!人手不足・DX・将来予測を徹底解説

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警備業界はいま、転換期を迎えている

2025年現在、日本の警備業界は大きな転換点に立たされています。市場全体は約3.4兆円と堅調に推移していますが、その背景には「人手不足の深刻化」「高齢化の進行」「DX(デジタルトランスフォーメーション)対応の遅れ」など、複数の課題が存在しています。本記事では、警備業界の最新市場規模や主要プレイヤーの動向、業界を取り巻く課題、そして今後の成長可能性について、令和6年版の公式統計資料をもとにわかりやすく解説します。
出典|警察庁生活安全局生活安全企画課「令和6年における警備業の概況」

警備業界の市場規模|2025年の最新データ

売上総額は3兆4,477億円、前年より増加

一般社団法人全国警備業協会が実施した調査によると、令和6年(2024年末)の警備業者5,020社の売上高総額は約3兆5,000億円となり、堅調な成長を示しました。

警備員数・業者数の最新状況(令和6年12月末時点)

指標数値備考
認定警備業者数10,811業者前年比+137社(+1.3%)
警備員数(総数)587,848人前年比+2,980人(+0.5%)
常用警備員536,220人約91%を占める
臨時警備員51,628人警備員の約8.8%
女性警備員43,077人全体の7.3%

また、警備員の年齢構成は以下の通りです。

  • 70歳以上:122,919人(構成比20.9%)
  • 65〜69歳:78,676人(13.4%)
  • 60〜64歳:74,435人(12.7%)

高齢層(60歳以上)が全体の約47%を占めており、若年層の採用・定着が喫緊の課題となっています。

業務別の警備業者状況(令和6年)

1社が複数の業務区分を兼ねることがあるため、以下は延べ件数としての構成です。

区分業者数構成比(%)
1号警備(施設警備など)6,97464.5
┗うち施設警備6,77462.7
┗巡回警備2,87526.6
┗保安警備(万引き防止など)1,53514.2
2号警備(交通誘導・雑踏)8,80081.4
┗交通誘導警備8,27476.5
┗雑踏警備5,13747.5
3号警備(貴重品輸送など)6626.1
4号警備(身辺警備)7086.5

特に注目すべきは、交通誘導警備を行う事業者が全体の76.5%と非常に多い点です。これは建設・道路関連工事の増加と連動しており、現場警備のニーズが高いことを示しています。

機械警備の動向とDXの進展

機械警備(無人センサーやカメラを用いた遠隔警備)を行う業者は令和6年末で542業者。業者数こそ微減(前年比-6業者)でしたが、対象施設数は342万3,470施設(前年比+5.9%)と急増しています。これは、下記のような要因によるものと考えられます。

  • 人材不足により省人化ニーズが高まっている
  • IoTやAIを用いた防犯・監視技術の進化
  • 施設警備の一部を機械に置き換えることでコスト削減を図る動き

1業者あたりの対象施設数は6,316施設にのぼり、巡回車1台あたり288施設をカバーしています。

人材確保・待遇改善の状況

検定資格の取得も進んでいます。

検定種別保有者数(のべ)
1級検定32,614人
2級検定199,898人
合計(何らかの保有者)171,424人

また、警備員指導教育責任者の資格保有者数は、6万8,163人に達しており、教育体制の整備は進みつつあります。

今後の課題と展望|5つの注目ポイント

1. 高齢化への対応と若年層確保

70歳以上の警備員が約21%を占める現状を考えると、若手・女性・外国人材の活用がカギになります。

2. 働きやすさ改革

  • ファン付き作業着や冷感インナーの導入
  • アプリを活用した業務連絡の簡素化
  • 夜勤・連続勤務の軽減

現場環境の改善が定着率に直結します。

3. 中小企業の経営安定化

  • 警備単価の適正化
  • 価格競争からの脱却
  • M&Aによる統合再編

現在、警備員数100人未満の企業が全体の90.2%を占める状況では、持続可能な成長のために戦略的経営が必要です。

4. 機械警備・AI導入の促進

  • 監視カメラ+AI画像解析
  • 異常検知システムの自動通知
  • ドローンによる巡回実験も一部で開始

今後は人×テクノロジーの融合が進む見込みです。

5. 法制度対応と透明性の確保

  • 警備業法違反の検挙件数は令和6年で7件(前年18件から減少)
  • 行政処分件数:135件(指示133、営業停止2)
  • 表彰件数:150件(勤務中の功労63件)

コンプライアンスの徹底と社会的信頼の強化も、今後ますます重要となります。

警備業界の持続可能な成長に向けて

2025年現在、警備業界は「人材確保」「省人化技術の活用」「働きやすさの実現」「社会からの信頼向上」という4つの柱で次のステージに向かおうとしています。最新の「令和6年警備業の概況」から見えるのは、決してネガティブな現状だけではありません。堅調な市場規模、資格取得者の増加、機械警備の拡大など、前向きな動きも数多くあります。中長期的に見ても、警備は地域社会に欠かせない仕事であり、テクノロジーと融合することで大きな進化を遂げる可能性を秘めています。

警備の”今”と”これから”を考えるメディア「警備NEXT」では業界ニュースや現役警備員から聞いた調査レポートを掲載しています。ぜひ参考にしてみはいかがでしょうか。

出典

警察庁生活安全局生活安全企画課「令和6年における警備業の概況」

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