このまま現場経験を重ねていくだけでいいのか。
資格を取る以外に、できることはないのか。
そんなふうに感じたことはありませんか。
警備業界では、交通誘導警備(工事現場や道路での車両・歩行者誘導)、施設警備(商業施設やオフィスビルなどでの常駐警備)、雑踏警備(イベントや祭りなど多くの人が集まる場での警備)など、業務内容が多岐にわたります。近年は現場ごとに求められる判断力や対応力も高まっており、警備員一人ひとりの動きが、現場全体の安全や評価に影響する場面も増えています。
こうした中で注目されているのが、警備員の「学び直し」です。本記事では、キャリアアップを目指す警備員の方に向けて、資格だけに頼らず、日々の現場で取り組める学び直しの考え方と行動のヒントを整理します。
警備業界における「学び直し」とは
学び直しは勉強や資格取得だけではない
「学び直し」と聞くと、警備業務検定(1級・2級)や指導教育責任者などの資格取得を思い浮かべる方も多いでしょう。これらは警備業法に基づく重要な資格であり、キャリアアップの代表的な手段であることは間違いありません。
一方で、警備の現場で求められている力は、資格だけで身につくものではありません。現場の状況を見て立ち位置を調整する判断、相手の反応を見ながら声かけを変える対応、トラブルになりそうな兆しを早めに察知する感覚などは、日々の業務の中で少しずつ身についていくものです。
こうした力は、資格欄に書かれることはなくても、現場では確実に差として表れます。学び直しとは、新しい知識を増やすことだけではなく、これまでの現場経験をあらためて見直すことでもあります。
たとえば、勤務後に「なぜ今日はその立ち位置を選んだのか」と一度振り返るだけでも、それは立派な学び直しです。
現場経験との向き合い方を見直すことが学び直しになる
警備の仕事は、同じ現場が続いているように見えても、まったく同じ状況が繰り返されることはほとんどありません。天候、時間帯、人の流れ、周囲の工事状況など、条件は日々変化します。
その中で警備員は、無意識のうちに多くの判断をしながら業務にあたっています。ただ、忙しい現場が続くと、「今日も無事に終わった」で終わってしまいがちです。これでは、経験は積み重なっても、自分がどんな力を身につけているのかを実感しにくくなります。
学び直しとは、「なぜその動きを選んだのか」「どんな点に気を配っていたのか」と、自分の現場経験に目を向け直すことです。新しいことを覚える前に、今までやってきたことを整理する姿勢が、学び直しの出発点になります。
メモを取る必要はありません。
頭の中で一つ振り返るだけでも、経験は少しずつ整理されていきます。
なぜ今、警備員に「学び直し」が求められているのか

現場ごとに求められる判断や対応が増えている
近年の警備現場では、警備員一人ひとりに求められる判断の幅が広がっています。単に決められた位置に立ち、決められた誘導を行うだけでは対応しきれない場面も増えてきました。
天候や時間帯、人の流れ、周囲の状況によって、その場で立ち位置を変えたり、声かけの仕方を調整したりと、現場ごとに柔軟な対応が求められるようになっています。こうした変化の中では、「指示通りに動いている」だけでなく、「状況を見てどう判断したか」が重要になる場面が多くなっています。
経験の積み重ねが、結果としてどう見られるかが変わってきている
以前は、経験年数を重ねることで自然と任される範囲が広がるケースも少なくありませんでした。
しかし現在は、同じ年数を経験していても、現場での動き方や判断の仕方によって、周囲からの見られ方に差が出ることがあります。
これは、「評価されるために動け」という話ではありません。現場での判断や対応を意識して積み重ねていくことで、結果として「この人なら任せられる」「安心して現場を任せられる」と見られる場面が増えていく、ということです。
学び直しが注目されているのは、こうした現場の変化の中で経験をただ重ねるだけでなく、「その経験をどう扱うか」が、後から振り返ったときの違いにつながりやすくなっているからだと言えるでしょう。
立場別に考える「学び直し」のポイント
新人警備員が意識したい学び直し
新人のうちは、「決められたことを正しく守る」ことが最優先です。その中で意識したいのは、「なぜそのルールがあるのか」「なぜこの指示が出たのか」を一度立ち止まって考えることです。
理由を理解しようとする姿勢があるだけで、次に似た場面に出会ったときの対応力は大きく変わってきます。
中堅警備員が意識したい学び直し
中堅になると一人で現場を任されることも増え、「自分の判断」がそのまま現場の流れに影響する場面が出てきます。この段階では、「その判断はなぜ必要だったのか」「他に選択肢はなかったのか」と振り返ることが学び直しにつながります。
特に、判断に迷った場面や、対応に時間がかかった場面は、自分の課題を知る大きなヒントになります。
ベテラン警備員が意識したい学び直し
ベテランになると、自分の動きだけでなく、現場全体の安定を見る役割を求められることが増えてきます。周囲の警備員が動きやすいか、現場の流れに無理がないかといった視点が重要になります。
後輩の動きを見て声をかける、現場の空気を整えるといった行動も、学び直しの一つです。これまでの経験を、周囲に還元する意識が、次の役割につながっていきます。
学び直しはキャリアアップにつながっていく
学び直しは、特別な勉強や大きな決断を必要とするものではありません。日々の現場で、自分の経験にどう向き合うかを少し変えるだけでも、学びは積み重なっていきます。
その積み重ねは、判断力や対応力として現れ、やがて「この現場を任せられる」「次の役割を担ってもらいたい」と思われる力につながっていきます。キャリアアップは、突然起こるものではなく、こうした日々の意識の延長線上にあります。
新人・中堅・ベテラン、それぞれの立場で意識すべきポイントは異なりますが、「今の自分の経験をどう活かすか」という視点は共通しています。今の現場から、無理のない形で学び直しを始めてみてください。
警備NEXT(警備ネクスト)では、現場で役立つ知識や警備員の声をこれからも発信していきます。日々の勤務に少しでも役立ててもらえたら幸いです。