施設警備の現場では、巡回や監視カメラの確認、出入管理など、日々さまざまな防犯設備に触れます。しかし、「なぜここにカメラがあるのか」「この設備はどんな犯罪を防ぐためのものなのか」まで、説明できる人は多くありません。
防犯設備士は、警備員としての仕事に「根拠」と「説得力」を与えてくれる資格です。防犯設備士を取得すると、防犯設備を理解したうえで扱える警備員になれます。その積み重ねが、周囲からの信頼につながり、結果として評価や資格手当、自分自身の自信にもつながっていきます。
この記事では、施設警備の現場で役立つ「防犯設備士」について、防犯設備士の概要から取得方法、費用、注意点、さらにその先のステップまでを、わかりやすく解説します。
社会全体で「防犯の質」が求められる時代
防犯設備士が注目されている背景には、社会的な理由があります。
近年、犯罪の手口は年々巧妙化しています。
- 特殊詐欺
- 「闇バイト」による広域強盗事件
- 無人化・省人化施設を狙った侵入犯罪 など
そのため警備の現場でも、人の目だけに頼らない防犯 が強く求められるようになりました。
実際に、公益社団法人 日本防犯設備協会によると、防犯設備機器製造業・防犯システム施工業・機械警備業などを含む関連市場は、2022年度に 前年比104.4% と拡大を続けています。
防犯設備が増えれば増えるほど、それを 理解し、正しく運用できる人材 の価値も高まります。
評価・信頼につながる『防犯設備士』という資格
防犯設備士とは?
防犯設備士は、 公益社団法人 日本防犯設備協会が認定する民間資格です。
主に、以下のような 物理的防犯設備 に関する専門知識を持つ人材を指します。
- 監視カメラ
- 警報装置
- インターホン
- 入退室管理システム
設備の設計・施工・維持管理 に関する基礎知識をもとに、犯罪を未然に防ぐ仕組みを理解・説明できることが求められます。
なぜ施設警備員に向いているのか
施設警備員の業務である、巡回・監視・事故・犯罪の予防は、防犯設備士の考え方と目的が完全に一致しています。
- カメラの死角に気づける
- 不審行動を「設備+人の目」で判断できる
- 設備トラブル時に落ち着いて対応できる
防犯設備士の知識があることで、上記のような強みが生まれ、「ただ立っている警備員」から一段上の存在 になります。
防犯設備士になるまでの流れ【6ステップ】

ここからは、防犯設備士を「どうやって取得するのか」を順を追って説明します。
① 受講・受験資格と欠格事由の確認
以下に該当する方は、受講・受験が認められていません。
- 禁錮刑以上の刑に処せられ、執行後3年未満
- 破産手続開始後、復権していない
- 暴力団員、または離脱後5年未満
- アルコール・薬物(覚せい剤など)の中毒者
これは警備業界全体で共通する基準であり、信頼性が求められる資格だからこそ設けられています。
② 日本防犯設備協会のHPから申込み
申込みは インターネットのみ です。
- 申込み期間は決まっている
- 期間外は受付不可
- 申込み後、テキスト・資料が郵送される
※FAXや郵送のみでの申込みは不可
※メールアドレスは必須です
③ オンライン講習を受講(約2か月)
申込み完了後、オンライン講習動画を視聴します。
講習内容
- 防犯の基礎
- 電気の基礎
- 防犯カメラ・警報装置などの設備機器
- 防犯設備の設計
- 施工・維持管理
講習動画は期間中であれば何度でも視聴可能です。
スマートフォンでも視聴できますが、資料が見やすいパソコンやタブレットがおすすめです。
※インターネット環境が用意できない場合は、DVD(有料)での受講も可能です。
参考|試験・セミナーのお申込
④ 事前レポートを提出
講習期間中に、事前提出レポートの提出があります。
- 穴埋め問題中心
- テキストを読めば対応可能
内容は穴埋め問題など、テキストを読み込めば対応できるものが中心です。
落とすための課題ではなく、講習内容を理解しているかを確認する目的のものなので、過度に心配する必要はありません。
⑤ テストセンターで試験を受験
講習修了後、全国約300か所以上のテストセンターで試験を受けます。
- 試験時間:110分
- 出題形式:選択式
- 出題範囲:協会から配布されたテキストのみ
日時・会場は自分で予約します。先着順のため、早めの予約がおすすめです。
合格率は公表されていませんが、約70%前後と言われています。
⑥ 合格後は資格者証の申請を忘れずに
試験結果は、試験期間終了後約3週間で郵送されます。
注意点として、合格しただけでは防犯設備士にはなりません。合格後、資格者証(カード型・必須)を申請し、登録が完了してはじめて防犯設備士となります。
費用の目安
- 日本防犯設備協会 会員:38,500円
- 非会員:44,000円
- 学生:22,000円
再受験は、2年以内・2回まで11,000円で可能です。
※会社によっては、資格取得支援・資格手当の対象になる場合もあります。
さらにレベルアップしたい方へ|次は「総合防犯設備士」
防犯設備士はゴールではありません。
実務経験を積むことで、ワンランク上の資格「総合防犯設備士」を目指すこともできます。
総合防犯設備士とは
総合防犯設備士は、防犯設備士の上位資格で、防犯分野におけるリーダー的存在です。
- 防犯設備の監理・監査
- 防犯計画のコンサルティング
- 防犯設備士の指導・育成
など、より広い視点と判断力が求められます。
受験には、防犯設備士としての実務経験や資格更新、「防犯設備士(優良)」であること、推薦や書類審査などが必要です。つまり、現場でコツコツ経験を積んだ人だけが挑戦できる資格と言えるでしょう。
資格は必須ではない。でも、確実に「武器」になる
防犯設備士がなくても、警備の仕事はできます。未経験から現場で活躍している方もたくさんいます。
ただ、
「もっと仕事を理解したい」
「現場で信頼される警備員になりたい」
「将来につながる資格を取りたい」
そう感じたとき、防犯設備士はあなたの価値を高めてくれる選択肢になります。
それは、評価され、信頼され、自信を持って現場に立つための一歩でもあります。
まとめ|防犯設備士は施設警備員の可能性を広げる資格
防犯設備士は、 設備を「使う人」から「理解して守る人」へと警備員としての立ち位置を変えてくれます。
警備NEXT(警備ネクスト)では、現場で役立つ知識や警備員の声をこれからも発信していきます。日々の勤務に少しでも役立ててもらえたら幸いです。あなたの新しいスタートを、心から応援しています。
参考・出典
- 公益社団法人 日本防犯設備協会|防犯設備士・総合防犯設備士 試験要項、制度説明、市場動向資料