2025年も残りわずかとなりました。今年は、警備業界全体で「安全性」「快適性」「効率性」を高める装備が例年以上に注目され、各社の導入が加速した一年でした。
警備員の高齢化、人手不足、夏冬の過酷な環境、事故削減ニーズの高まりなどの現場課題を背景に、“隊員が働きやすく、企業としての品質と稼働率を安定させる”ための装備投資が経営課題として位置付けられています。
本記事では、2025年に話題となった警備グッズをカテゴリ別・現場別に整理し、効果・注意点まで詳しく解説します。2026年に向けた装備刷新の参考にしていただければ幸いです。
2025年の警備業界トレンド総括
高齢化・人手不足で「負担軽減系」の装備投資が増加
隊員の年齢構成が上昇する中、夏冬の気象ストレスや長時間勤務の負荷が課題に。快適性を高める装備が“必須アイテム”へと変化しました。
猛暑・寒波などの“季節リスク”が経営課題に
例年に引き続き2025年も猛暑日が多く、冬も寒波が予測されるなど、体調管理が業務品質を左右する一年に。
視認性・ウェアラブルの導入が標準化
事故ゼロ運動・クレーム対応・元請評価の観点から、視認性強化やウェアラブルの導入が進行。「所属会社の品質レベル」を示す装備としても重要度が高まりました。
装備管理DXが浸透
紛失・棚卸の課題解決のため、クラウド管理で装備を“資産”として管理する企業が増加。大規模企業だけでなく中小でも導入が広がっています。
2025年に話題となったおすすめ警備グッズ
まずは、今年注目されたグッズを一覧で整理します。
【2025年おすすめ警備グッズ一覧】
| カテゴリー | 主なグッズ例 | 導入効果 | 想定現場 |
|---|---|---|---|
| 猛暑対策(夏) | ・ファン付き作業着 ・冷却インナー ・遮熱キャップ | 熱中症防止 体力低下を抑制 稼働率安定 | 交通誘導・イベント |
| 防寒対策(冬) | ・電熱ベスト ・防風透湿ジャケット ・防寒インナー | 集中力維持 手のかじかみ防止 事故低減 | 常駐・夜勤 |
| 視認性・ライト系 | ・LED高視認ベスト ・ワイドライト ・軽量誘導灯 | 夜間事故防止 ヒヤリハット減少 | 交通誘導全般 |
| ウェアラブル系 | ・ボディカメラ ・クラウド録画サービス | クレーム削減 教育効率化 現場管理の標準化 | 商業施設・常駐 |
| 省人化・効率化系 | ・電子ホイッスル ・巡回アプリ ・AIセンサー | 人依存の低減 品質均一化 | 商業施設・巡回 |

現場タイプ別:最適な装備の組み合わせ
次に、自社の主力現場に合わせて導入検討できるよう、現場タイプ別でご紹介します。
【現場タイプ別・最適な装備】
| 現場タイプ | 必須装備 | あると良い装備 | 導入ポイント |
|---|---|---|---|
| 交通誘導 | 高視認ベスト/誘導灯 | ファン付き作業着/冷却インナー | 視認性と体温管理が事故防止の基盤に。 |
| 商業施設・常駐 | ボディカメラ/巡回アプリ | 防寒インナー | クレーム対応と巡回品質を改善できる。 |
| イベント警備 | 軽量ベスト・ライト | 長時間バッテリー | 長時間・高移動が特徴。軽さと持久力を重視。 |
| 夜勤現場 | ワイドライト/反射装備 | 電熱ベスト | 視認性×防寒の二重対策が品質と安全に直結。 |
導入優先度:どれから買うべきか?
予算に制限がある場合や優先順位を決めたい企業向けに、“導入順”を整理しました。
【導入優先度と装備例】
| 優先度 | グッズ例 | 理由・期待効果 |
|---|---|---|
| 最優先(事故防止) | 高視認ベスト/ワイドライト | 夜間事故防止・元請評価向上。最低限の品質確保に必須。 |
| 優先(稼働率の安定) | ファン付き作業着/電熱ベスト/冷感インナー | 夏冬の欠勤・早退が減少。シフト崩壊リスクを大幅低減。 |
| 次点(品質・効率化) | ボディカメラ/巡回アプリ | クレーム対応と教育効率化により管理負荷が減る。 |
| 余裕があれば | 電子ホイッスル/AIセンサー | 省人化・業務標準化に寄与。中長期で高い投資効果。 |
グッズ導入の実務的な効果
装備導入は“現場が楽になるだけ”ではありません。経営・管制・採用に至るまで波及効果のある「経営投資」となります。
品質向上(事故・クレームの減少)
視認性やウェアラブル機器は、品質に貢献します。
- ヒヤリハット件数の減少
- 誘導ミスの抑制
- 映像による事実確認の迅速化
- トラブルの原因追跡の正確性向上
稼働率の安定(欠勤・早退の防止)
夏冬の過酷な現場では冷却・防寒の有無が稼働率に直結します。
- ファン付き作業着 → 熱中症リスク低減
- 電熱ベスト → 集中力維持
- 冷感インナー → 体力消耗の抑制
コスト最適化(代替要員・教育コストの削減)
装備は一見コスト増に見えますが、実際は他のコストを圧縮します。
- 代替要員の交通費・手当が減る
- 管制担当者の緊急調整が激減
- ボディカメラ映像による教育効率化
- トラブル対応の時間削減
採用・定着の向上
最新装備を整えることは、近年最も効果的な採用施策の一つです。
- 求人票に「最新装備支給」と記載するだけで応募率が向上
- 夏冬のストレス軽減で離職防止に寄与
- シニア層の稼働継続率が上がる
導入時の注意点と失敗しない選定基準
コストではなく“現場特性”で選ぶ
現場特性に適した装備を選ばないと、効果が半減します。
最も多い導入失敗が「価格だけで選ぶ」ケースです。
- 夜勤多い → 視認性強化を最優先
- 夏場中心 → 冷却対策が最優先
- クレーム多い → ウェアラブル導入
装備の統一ルールを作る
導入時にメーカー・規格統一は必須です。
メーカーが混在すると、以下のような問題が発生する可能性があります。
- 充電器が統一できない
- 部品欠品で使用できなくなる
- バッテリー性能がバラつき現場でトラブルに
- 管理台帳の整合性が崩れる
装備管理DXの活用
“毎年なんとなく買い足していた”装備を可視化でき、無駄なコストを根本的に削減できます。
装備数が多い企業ほど、クラウド管理の効果が出やすいのが特徴です。
- 貸出・返却管理の属人化を防ぐ
- 紛失リスクを削減
- 棚卸の時間を大幅削減
- 故障・買い替えの判断をデータ化

2026年に向けた装備トレンド予測
2026年は、「デジタル×軽量化」が進む年になると予測されます。
バッテリー、一体型のファン付き作業着が普及
より軽く、より強力で、長時間稼働するモデルが増加。夏の稼働率維持の“決め手”になる可能性大。
AI解析型ボディカメラの台頭
映像収集だけでなく、危険行動検知 → 管制へ通知 → 教育素材化といった“AI連携運用”が本格化。
巡回点検アシストの進化
巡回ルートの自動最適化、温湿度データ記録、巡回抜け漏れ防止など“人の判断”への依存が減っていく流れに。
装備の軽量化 × 機能性向上
ジャケット、防寒具、ライト類などがさらに軽量高性能化し、長時間現場との相性が改善。
装備管理のクラウド化が標準へ
QR・ICタグ管理が一般化し、装備管理そのものが“資産運用”の一部に。
まとめ
2025年は、「快適性 × 安全性 × 効率性」を高める装備が急速に進化し、それが 採用力、品質、事故防止、稼働率、コスト最適化 に直結した一年でした。装備はもはや“消耗品”ではなく、企業の競争力を左右する経営インフラです。2026年に向けて装備刷新を検討する際は、【現場特性・導入優先度・管理ルール・費用対効果】を基準に、計画的な導入を進めてみてください。
警備NEXT(警備ネクスト)では、現場で役立つ知識や警備員の声をこれからも発信していきます。日々の勤務に少しでも役立ててもらえたら幸いです。