【特集】警備会社に聞いた「労務管理システムの利用実態2025」認知・利用・満足度から見える最新トレンド

ホンネ調査

警備業界では、上下番の勤怠管理や日報回収、シフト調整など、日々の労務管理業務が複雑化・煩雑化しています。こうした背景から、クラウド型の労務管理システムや警備向けアプリの導入が進んでいますが、「実際にどのサービスが知られていて、どの程度使われ、どれくらい満足されているのか」は、これまであまり可視化されてきませんでした。

そこで警備NEXTでは、全国の警備会社で働く経営者・管制担当者・労務担当者を対象に、警備業向け労務管理システムの認知・利用・満足度についてアンケート調査を実施しました。本記事では、その結果を整理し、データから読み取れる傾向を紹介します。

認知度ランキング

特定のサービスに偏らない「分散型の市場構造」

まず、労務管理システムの認知度をたずねた結果です(「当てはまるものはない」は除外して集計)。

順位サービス名認知度
1位警備Pro24.1%
2位プロキャス警備22.8%
3位スマート警備管制17.7%
4位警備フォース16.5%
5位ガードエクスプレス11.4%

認知度を見ると、もっとも高い警備Proでも約24%にとどまり、プロキャス警備やスマート警備管制、警備フォースなど、複数のサービスが比較的近い水準で並んでいることがわかります。
いわゆる「このサービス一強」という状況ではなく、複数のサービスが同じ土俵の上で競っている“分散型の市場”といえそうです。導入実績だけでなく、地域や企業規模、営業・広告の打ち出し方によっても、どのサービス名が耳に入りやすいかが変わっていると考えられます。

興味・関心ランキング

認知とは違う顔ぶれが浮かぶ「検討フェーズ」での評価

次に、認知しているサービスのうち「興味関心がある」ものをたずねた結果です(認知者ベース・複数回答)。

順位サービス名興味・関心
1位プロキャス警備35.4%
2位警備Pro27.1%
同率3位警備フォース22.9%
同率3位スマート警備管制22.9%
5位ShiftMAX16.7%

認知では警備Proが1位でしたが、「興味・関心」という導入検討に近い段階になると、プロキャス警備がもっとも多く選ばれる結果となりました。
単なる知名度だけでなく、情報の伝わり方や導入後のイメージが、検討フェーズでの評価に影響している可能性が考えられます。

現在利用されているサービス

実際の運用現場では「警備Pro」と「プロキャス警備」が拮抗

実際に「現在、会社で利用している」と回答されたサービスを集計した結果は以下のとおりです(複数回答・現在利用ありの回答者ベース)。

順位サービス名利用率
1位警備Pro27.5%
2位プロキャス警備25.0%
3位ShiftMAX12.5%
4位KOMAINU10.0%
同率5位スマート警備管制5.0%
同率5位AIK assign5.0%

利用状況を見ると、警備Proとプロキャス警備がほぼ横並びのかたちでトップ2を占めており、現場での運用という点では「二強」といえる構図が見えてきます。
一方で、ShiftMAX や KOMAINU、AIK assign なども一定数の利用があり、企業規模や取り扱う案件の種類によって選ばれるサービスが分かれていることもうかがえます。
単一サービスへの一点集中ではなく、複数の選択肢から自社に合うものを探るフェーズにあるとも言えそうです。

労務管理システム全体の総合満足度

約8割が「満足」と回答

現在いずれかのシステムを利用している回答者(39名)に、総合満足度をたずねました。

  • 非常に満足:38.5%
  • やや満足:43.6%
  • どちらともいえない:12.8%
  • あまり満足していない:5.1%
  • 全く満足していない:0%

「非常に満足」と「やや満足」を合わせると、全体の82.1%が“満足層”にあたると回答しており、労務管理システムというカテゴリ全体に対する評価はかなり高い水準にあることがわかります。かつての紙台帳やExcel管理と比べると、上下番の打刻確認や日報の回収、勤務時間集計などの手作業が大きく削減されており、「導入して終わり」ではなく、日々の運用の中でメリットを実感できている企業が多いと考えられます。
不満層が少ないことからも、「システムを入れたものの現場がついてこない」といった導入失敗ケースは、サンプル内ではそれほど多くないようです。

労務管理システム別の総合満足度傾向

現在利用しているサービス別に、総合満足度を集計したランキングです。

順位サービス名
1位プロキャス警備
2位ShiftMAX
3位警備Pro

プロキャス警備は、回答した利用者全員が「満足」と回答しており、満足度の高さが目立つ結果となりました。
警備Proは利用者数が多い中でも満足度を一定水準で維持しており、定番的なポジションにあると考えられます。

情報収集チャネル

公式サイト・業界メディア・口コミの三本柱

警備アプリやシステムについて、どこから情報を得ているかをたずねた結果は、次のようになりました(複数回答)。

  • サービスの公式ホームページ:34.2%
  • 警備業向けのWEBメディア :32.9%
  • 業界団体・協会 :24.1%
  • 取引先・他社からの口コミ :21.5%
  • インターネット広告 :21.5%

この結果から、情報源はWEB・リアルともに複数に分散しているものの、とくに、公式サイトと業界メディアは利用率が高く、「基本情報を調べる場」として中心的な役割を果たしていると考えられます。
一方で、業界団体や他社からの口コミも一定の割合を占めており、制度的な情報や同業者からのリアルな声が、システム選びの判断材料として重視されていると考えられます。

システム選定時に重視されるポイント

サポート・費用・セキュリティ・UIがほぼ横並びで上位

システムを選ぶ際に、どの項目をどの程度重視するかを5段階で聞いたところ、「とても重視する」が多かった項目は次のとおりでした。

  • セキュリティ:45.6%
  • サポート体制:44.3%
  • 費用           :44.3%
  • UI・使い勝手:41.8%
  • 保守の容易さ:32.9%

この結果から、警備会社がシステムを比較する際には、単なる機能の多さよりも、「安全に運用できるか」「困ったときに相談できるか」「コストが見合っているか」「現場が無理なく使えるか」といった、運用フェーズでの安心感や使いやすさが重視されていることがわかります。
価格だけで決めるのではなく、「導入してからもきちんと支えてくれるかどうか」がサービス選びの決定打になっている実態がうかがえます。

まとめ:労務管理システム市場の“今”と、これから

今回の調査から、警備業向け労務管理システムの市場には、次のような特徴が見えてきました。

まず、認知・利用のいずれにおいても、特定のサービスが圧倒的に抜きん出ているわけではなく、複数のサービスが拮抗する分散型の市場構造になっていることがわかりました。
その一方で、現在利用している企業の満足度は全体として高く、「導入しても現場が使ってくれない」といった失敗イメージよりも、「実務負担の軽減につながる投資」として前向きに受け止められていることがうかがえます。

また、システム選びの基準としては、セキュリティや費用だけでなく、サポート体制やUI・使い勝手が重視されており、「導入して終わり」ではなく「運用し続けられるかどうか」を軸にサービスを選ぶ傾向が強まっているようです。
今後は、単純な機能比較だけでなく、自社の規模や案件特性、管制・現場の体制に合った“運用しやすいシステム”をどう選ぶかが、より重要なテーマになっていくでしょう。

警備NEXT(警備ネクスト)では、引き続き警備業界のDXや働き方改善に関する調査・取材を行い、現場と経営をつなぐ情報を発信していきます。

調査概要

調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査対象:警備会社で働く経営者・管制担当者・労務担当者
有効サンプル数:79社
調査期間:2025年11月5日(水)~11月12日(水)

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