「仕事はあるのに、なぜか資金繰りが楽にならない」
もし、こう感じる場面が増えているなら、それは経営環境の変化が確実に警備業界にも及び始めているサインかもしれません。
2025年の企業倒産件数が 1万261件 に達し、12年ぶりに1万件を超えた ことが明らかになりました。
帝国データバンクが公表した「全国企業倒産集計2025年報」によるもので、倒産件数は前年から3.6%増と4年連続の増加です。
今回の特徴は大企業の破綻ではなく、中小・小規模事業者が静かに経営限界を迎えている点 にあり、警備業界にとっても決して他人事ではありません。本記事では詳細について解説していきます。
小規模倒産が中心、現場依存型ビジネスほど影響大


2025年の倒産動向を見ると、次の傾向が浮かび上がります。
- 倒産件数は増加する一方、負債総額は減少
- 負債規模の小さい企業の倒産が中心
- サービス業・建設業など、人手依存度の高い業種で増加
これは、「一気に潰れた企業が増えた」というよりも、日々のコスト上昇と人手不足に耐えきれなくなった企業が、少しずつ市場から退出している 状況だといえます。
警備業界にとって“他人事ではない”倒産増加
警備業界も、今回の倒産増加と同じ構造的な課題を抱えています。
人件費比率が極端に高い労働集約型ビジネス
売上の大半を人件費が占め、賃金・法定福利費の上昇がそのまま利益を圧迫
24時間・変形労働・突発対応が前提の勤務体系
欠員対応・残業・待機が発生しやすく、予定外コストが日常的に発生
警備業法による配置基準・資格要件の制約
「人がいないから減らす」「簡単に代替する」といった調整が効かない
契約単価が固定化されやすい業界構造
年間契約・長期契約が多く、途中での価格改定が難しい
現場ごとに条件が異なり、管理が複雑化しやすい
施設・交通誘導・雑踏など、現場特性ごとに必要人員・資格・時間帯が異なる
その結果、
「現場は埋まっているのに、利益がほとんど残らない」
「欠員対応や調整に追われ、経営判断まで手が回らない」
といった状態が慢性化しやすくなります。
つまり警備業界は、外部環境の変化に対して“管理の弱さが即経営リスクになる業界” と言えます。
警備会社が倒産を回避するために見直すべき管理業務5選
警備業の経営は、「人が足りない」「現場が多い」「法令制約が厳しい」という三重苦の上に成り立っています。
倒産を回避できるかどうかは、現場対応力ではなく、警備業特有の“管理リスク”を把握できているか にかかっています。
① 現場別・警備種別の収支管理
- 施設警備:長時間・固定配置・人件費比率が高い
- 交通誘導:短期・突発・欠員対応コストが出やすい
- 雑踏警備:繁忙期集中・有資格者依存度が高い
警備種別ごとに「儲かり方・赤字要因」がまったく異なります。にもかかわらず、「会社全体では黒字だから大丈夫」という見方をしていると、特定の警備種別・現場で赤字を垂れ流している状態 に気づけません。
- 警備種別ごと
- 現場ごと
- 有資格者配置の有無
まで分解して収支を見られているかが、生存ラインを分けます。
② 欠員・突発対応を前提にした勤怠・シフト管理
警備業の勤怠管理は、一般業種と違い、当日欠勤・急な現場追加・深夜・早朝・長時間勤務が日常的に発生する業界です。このとき、
- 管制が電話と紙で調整
- 後からExcelに転記
- 給与計算時にズレが発覚
という運用では、管理コストと人為ミスが確実に積み上がります。「欠員が出る前提」でリアルタイムに把握・調整できる管理体制を作れているかが重要です。
③ 配置基準・資格要件を“仕組みで守る”管理
- 配置基準
- 有資格者要件
- 資格更新期限
を1件でも誤ると、行政指導・業務停止リスクにつながります。
- 有資格者が休んだまま代替配置
- 資格期限切れに気づかない
- 現場条件が管制に正確に共有されていない
といった 「悪意のない違反」 に注意が必要です。「担当者の記憶」「紙台帳」で管理している状態は、経営リスクを個人に丸投げしている のと同じです。
④ 管制・現場間の情報共有管理
管制、現場責任者、隊員が同時に動く時間帯が多く、情報のズレが起きやすい業界です。
- シフト変更が伝わっていない
- 最新情報がどれか分からない
- 「聞いていない」「言ったつもり」が発生
これらはすべて、現場トラブル・クレーム・契約打ち切り、という形で、売上減少に直結します。
警備業では特に、「連絡手段」と「管理情報」が分断されていないか が重要です。
⑤ 管制・管理業務の属人化
中小警備会社で非常に多いのが、「この現場のことは〇〇さんしか分からない」という状態です。
- 管制ノウハウが属人化
- 引き継ぎができない
- 管理者が疲弊し退職リスクが高まる
この状態が続くと、人が辞めた瞬間に経営が不安定化します。
倒産件数が増えている今、「人に頼る管理」から「仕組みで回る管理」へ移行できるかが分岐点です。
まとめ|倒産件数1万件時代、警備会社に問われるのは「管理できているか」
2025年の倒産件数1万件超は、警備会社にとっても「他人事ではない警告」 です。
警備業は、人件費比率が高く、法令制約も厳しいため、管理のズレがそのまま経営リスクに直結する業界 です。現場を増やすよりも、現場を管理できる体制を整えられているか。これが、これからの中小警備会社の生き残りを左右します。
今こそ、自社の管理業務を見直すことが、最も現実的な倒産回避策と言えるでしょう。
警備NEXT(警備ネクスト)では、今後も現場実務に役立つ知見や情報を発信してまいります。日々の業務改革や将来の体制づくりに、少しでもお役立ていただければ幸いです。
参考・出典
プレスリリース
2025年の倒産件数1万261件、12年ぶりの1万件超 物価高や人手不足の影響受け小規模倒産が増加 ― 全国企業倒産集計2025年報