警備会社の現場で働く警備員は、直接人の財産や安全を守る顔として注目されます。しかし、その裏で現場を支え、警備業務を円滑に回す存在があります。それが管制担当です。管制担当は、警備員のシフト管理や現場からの情報収集、緊急時の対応指示などを担う、まさに警備の安全を支える影の立役者です。
この記事では、管制担当の仕事の内容、事務職との違い、日勤・夜勤の1日のスケジュール例、さらに実務で活用されるITツールについて解説します。
事務職と管制担当の違い
警備会社には現場勤務だけでなく、オフィスワーク中心の内勤業務があります。主な内勤職には、事務職と管制担当の2種類があります。事務職は書類作成や勤怠管理、経理などバックオフィス業務が中心です。一方、管制担当は現場との連絡・指示を通じて、安全の確保を直接支える役割を担います。
主な違いのポイント
| 区分 | 事務職 | 管制担当 |
|---|---|---|
| 仕事内容 | 書類作成、勤怠管理、請求書処理など | 現場警備員の管理・指示、緊急対応、巡回状況の監視 |
| 現場対応 | 基本的にオフィス内 | 電話・無線・監視カメラで現場と常時連絡 |
| 求められるスキル | PCスキル、事務処理能力 | 判断力、指示力、臨機応変の対応力 |
| ストレス要因 | 書類の締切、データ入力の正確性 | 急な欠員やトラブルへの対応、電話・無線の連続 |
管制担当は、「現場を直接動かす立場」であるため、判断の誤り=事故リスク につながる可能性があります。そのため、冷静さ・情報整理力・状況把握力がとても重要です。

管制担当の業務内容
1. 警備員の手配・シフト管理
現場では必要な人数やスキルが異なります。管制担当は、警備員一人ひとりの経験や資格を考慮して最適な人員配置を行い、シフト表を作成します。
例:急な欠員が発生した場合、予備要員に連絡して補充を依頼。イベントや工事など臨時増員が必要な場合も迅速に調整。
2. 現場との連絡・指示
警備員が現場で安全に業務を行えるよう、管制室から連絡・指示を行います。
例:防犯カメラや入退室管理システムで異常を発見した場合、現場警備員に巡回指示を出す。入退室トラブル時には関係者に連絡し、状況確認。
3. 緊急対応
事件・事故・災害など突発的な事態が発生した場合、管制担当は現場警備員や関係機関と連携して迅速に対応します。
例:深夜に警報が鳴った場合、管制室で警報内容を確認し、現場警備員に現場確認を指示。その後、必要に応じて警察や消防に通報。
4. モニタリング・現場巡回
管制室での監視業務に加え、必要に応じて現場巡回も行います。
例:巡回中に不審者を発見した警備員からの報告を受け、現場の安全確保指示を出す。警報が鳴った場合に迅速に現場へ向かう。
5. クレーム対応
依頼者や一般人からの苦情・問い合わせに対応し、再発防止策を検討します。
例:現場警備員の対応について苦情があった場合、報告を受けて現場確認や対応改善指示を行う。記録を残し、再発防止策を策定。
日勤管制のスケジュール
日勤管制は、施設や現場が日中に稼働する時間帯に集中して業務を行います。以下は一般的な例です。
| 時間 | 主な業務内容 |
|---|---|
| 9:00 | 出勤・引継ぎ確認。前日の報告書確認、システムログのチェック |
| 9:30 | 現場巡回報告の受信、警備員との無線連絡、異常対応が必要な場合は指示 |
| 11:00 | 設備点検や来客対応の状況確認、施設管理者への報告 |
| 12:00 | 昼休憩 |
| 13:00 | 急な欠員や配置変更の対応(前もっての段取りで焦らず対処) |
| 14:00 | 現場状況の監視・巡回報告チェック、システムデータ更新 |
| 16:00 | 顧客への日報作成・提出、特記事項の確認 |
| 17:00 | 翌日のシフト確認、警備員への引継ぎ準備 |
| 18:00 | 退勤 |
日勤は顧客対応や事務作業の比重が高く、電話やメール対応が多いのが特徴です。情報整理や段取りの習慣化で、効率よく業務をこなせます。
夜勤管制のスケジュール
夜勤管制は、夜間の現場を中心に、警備員が安心して業務を行えるように支えます。夜間はトラブル対応や巡回指示が特に重要です。
| 時間 | 主な業務内容 |
|---|---|
| 16:30 | 出勤・日勤担当からの引継ぎ確認、夜間シフト警備員の配置確認 |
| 17:00 | 現場巡回状況の確認、モニター監視、異常発生時の初動指示 |
| 19:00 | 緊急対応訓練やシミュレーションの実施(例:火災報知器誤作動、侵入者対応) |
| 22:00 | 警備員の巡回状況チェック、施設管理者への中間報告 |
| 0:00 | 夜間異常発生時の対応、関係機関との連絡調整 |
| 3:00 | ITシステムによる巡回データ確認・更新、必要に応じて配置調整 |
| 5:00 | 朝シフトへの引継ぎ準備、夜勤報告書作成 |
| 6:30 | 退勤 |
夜勤では、電話や無線連絡を中心に、現場の安全確保と情報整理が求められます。ITツールの活用で、夜間でも迅速に状況把握や異常対応が可能です。

ITツールの活用で“管制業務は大きく進化”
近年、警備業界でもDX化が進み、管制担当の業務はITツールの活用によって効率化しています。
シフト管理ソフト
警備員の資格・経験・スケジュールを自動判別し、最適配置を提案。欠員時はアプリに自動通知も可能。
防犯カメラ・警報連携システム
異常を検知するとアラートが発報され、即座に巡回指示へ反映。
入退室管理システム
リアルタイムで入退室状況を確認し、未承認者が入室した場合は即時アラート。
チャットツール・モバイルアプリ
画像付き報告がリアルタイムで届き、情報の正確性が向上。
デジタル日報・データ分析
過去の警報履歴・対応結果を蓄積し、次回の警備計画に活用。
IT化により「属人的な判断」が減り、管制の質を一定ラインまで標準化できる のが非常に大きい強みです。
管制担当は警備会社の“立役者”
管制担当は、警備現場を裏から支える影の立役者です。電話対応や緊急対応など大変な局面もありますが、段取りやITツールの活用を駆使することで、ほとんどの課題は効率的に解決できます。現場警備員が安全に働ける環境をつくり、クライアントの信頼を守る役割があります。夜勤管制を含め、24時間体制で会社を支えるやりがいも大きい職種です。
警備NEXT(警備ネクスト)では、現場で役立つ知識や警備員の声をこれからも発信していきます。日々の勤務に少しでも役立ててもらえたら幸いです。