新人の方からよくある疑問として挙げられるものに、「当直と夜勤って何が違うんですか?」「24時間勤務(当務)って当直とは別なんですか?」などがあります。
呼び方が似ていて、勤務時間も重なる部分があるため混同されがちですが、実は法的な扱いも、働き方の特徴も大きく異なります。
この記事では、警備業界で働くうえで知っておきたい 当直・夜勤・24時間勤務(当務)の違いを解説します。
3つの勤務形態は“役割”も“法律上の扱い”も違う

当直(宿直・日直含む)
- 緊急時対応を中心にした “待機が中心” の勤務
- 労働基準法第41条の「断続的労働」として扱われる可能性がある。(※参考:厚生労働省「労働基準法第41条」)
夜勤
- 夜間に通常業務を行う、れっきとした「労働時間」。
- 深夜割増や休憩が法的に必要。
24時間勤務(当務)
- 日勤+夜勤を1回で行う形。拘束は長いが業務の幅は広い。
- 完全に「労働時間」として扱われ、休憩・仮眠を含む適切な管理が必要。
“夜間に働く=当直”が誤解されやすい理由
一般的には「夜に働く=当直」というイメージがありますが、警備では “当直は本来、通常業務をほぼ行わない勤務” を意味します。一方、夜勤・24時間勤務は、
・巡回
・受付
・監視
・記録作成
そのため、賃金の計算方法・休憩時間の扱い・仮眠の位置づけなどの制度的な取り扱いが異なるのです。(※参考:厚生労働省「労働基準法第32条」「第41条」)

当直・夜勤・24時間勤務(当務)の特徴
当直(24h/宿直/日直)とは?
当番制で施設に滞在し、緊急時対応を中心に“待機”がメインの勤務。通常業務を行わないため、「断続的労働」として扱われるケースがあります。
例:9:00〜翌9:00(休憩・仮眠8時間前後)
主な現場:大学・マンション・病院・オフィスビル
内容:巡回・鍵管理・電話対応・緊急対応
(※参考:厚生労働省「断続的労働の許可基準」)
夜勤とは?
夕方〜翌朝の時間帯で、通常業務を行う完全な労働時間。深夜帯(22〜5時)は割増賃金が必要です。
例:18:00〜翌6:00(実働8時間+休憩1時間)
主な現場:商業施設・病院・オフィスビル
内容:夜間巡回、監視、受付、緊急対応
(※参考:厚生労働省「労働基準法第37条(深夜割増)」)
24時間勤務(当務)とは?
日勤と夜勤を一度にまとめた勤務。拘束時間が長いため、2〜6時間程度の仮眠が設けられます。
例:9:00〜翌9:00(仮眠含む24h)
内容:日勤業務+夜勤業務
特徴:1回勤務で2日分働けるため、月の勤務回数が少ない
それぞれのメリット・デメリット比較
当直
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | ・動きが少なく体力負担が軽い ・仮眠時間が確保されやすい ・規則的なシフトが多い |
| デメリット | ・緊急時は即対応が必要 ・生活リズムが夜型になりやすい |
| 対処法 | ・仮眠前の深呼吸・ストレッチで睡眠の質を上げる ・明けに太陽光を浴びて体内時計を整える |
夜勤
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | ・巡回で経験を積みやすい ・夜勤手当で収入が安定する |
| デメリット | ・休憩が不規則になりやすい ・深夜帯は気温差で体調を崩しやすい |
| 対処法 | ・1時間に1回は姿勢を変える ・帰宅後は予定を詰めこまず休養を優先 |
24時間勤務(当務)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | ・勤務日数が減り、平日の自由が増える ・日勤・夜勤の両方のスキルを習得できる |
| デメリット | ・疲労がたまりやすい ・仮眠が浅いと翌日に響く |
| 対処法 | ・仮眠は90分単位で取る ・勤務前後は消化に良い食事を心がける |
正しく理解することで、自分に合う働き方が選べる
勤務形態によって、体力の使い方・生活リズム・給与体系・スキルの伸び方が大きく変わります。
最初は分かりづらいかもしれませんが、働き方を知ることは「自分を守る」ことにつながります。
・無理のない勤務を選ぶ
・疲労をためない対策を身につける
・法的な仕組みを理解しておく
これらがそろうことで、警備の仕事はぐっとやりやすくなります。慣れるまでは戸惑うこともあるかもしれませんが、一歩ずつ覚えていけば大丈夫です。
警備NEXT(警備ネクストでは、現場で役立つ知識や警備員の声をこれからも発信していきます。日々の勤務に少しでも役立ててもらえたら幸いです。