【警備業務別】無線連絡の基本知識と実践シーン

となりの警備員

警備業務では、複数の警備員や管制室との連携が不可欠です。その際に最も重要なツールが「無線機」です。無線連絡を正しく使いこなすことは、業務効率を高めるだけでなく、現場の安全を守るためにも欠かせません。本記事では、無線連絡の基本知識から、警備業務別の具体的な活用シーンまでを整理して解説します。

無線連絡の役割と重要性

無線連絡は、警備現場における「目と耳」の役割を果たします。特に大規模なイベントや複数拠点での警備では、離れた場所にいる警備員同士の情報共有が不可欠です。

現場での情報伝達手段として

警備員は、異常事態や作業進捗をリアルタイムで上司や仲間に報告する必要があります。例えば、交通誘導中に事故が発生した場合、無線で迅速に指示を仰ぐことが安全確保につながります。

安全確保と効率化

無線を使うことで、現場巡回の回数を減らし、警備範囲全体の状況を把握できます。これにより、警備員の負担軽減と、来場者や通行者の安全確保が同時に実現できます。

【警備業務別】無線が用いられるシーン

警備の現場とひと口にいっても、その内容は交通誘導、施設、イベント、輸送など多岐にわたります。そして、それぞれの業務には独自のリスクや役割があり、無線が果たす役割も少しずつ異なります。たとえば、工事現場の交通誘導では「車両の進行可否」を瞬時に伝えることが重要ですが、イベント警備では「人の流れや混雑状況」の共有が欠かせません。施設警備では巡回中の異常を速やかに報告することが重視され、輸送警備では警備車両と本部の緊密な連携が求められます。
このように、無線連絡はすべての警備業務に共通する基本ツールでありながら、現場の特性に応じて活用シーンが変わってきます。ここからは、代表的な警備業務ごとに「無線がどのように使われているのか」「どんな工夫が必要なのか」を具体的に見ていきましょう。

交通誘導警備

工事現場や道路規制での交通誘導は、無線の即時性が最大の強みを発揮します。

  • 車両通行可否の合図:「東側車線、通行可。誘導お願いします」
  • 渋滞や信号トラブルの共有
  • 歩行者や自転車の飛び出しなど危険情報の即時伝達

施設警備

施設内の警備員同士や防災センターとの連絡に利用されます。

  • 巡回中の異常報告:「地下駐車場に不審車両を確認しました」
  • 来訪者・持ち物検査での確認連携
  • 火災・災害発生時の緊急報告

雑踏警備(イベント警備)

イベントや人が多く集まる場面では、群衆の流れを安全にコントロールするために無線が必須。

  • 入退場口の混雑状況を共有
  • 迷子や体調不良者の発見報告 → 救護班へ引き継ぎ
  • 不審者・トラブル対応での連携

輸送警備(現金輸送など)

現金や貴重品を扱う輸送警備では、警備車両や本部との連携が重視されます。

無線の種類と使い分

警備現場で使用される無線には、いくつかの種類があります。

アナログ無線

従来型の無線で、短距離通信に適しています。障害物があると届きにくい場合があります。

デジタル無線

音声がクリアでノイズが少なく、長距離通信も可能です。ログ機能があるものは、後から確認もできます。

トランシーバー(ハンドマイク)

個人が持つポータブル無線機。警備員が現場を巡回しながら通信する際に使用されます。

現場でよくある無線トラブルと対策

無線は便利な道具ですが、誤った使い方やトラブルが起こることもあります。

雑音・ノイズ

  • 原因:距離、建物の構造、他の電波
  • 対策:アンテナの位置を調整、通信チャンネルの変更

伝達ミス

  • 原因:不明瞭な発声、同時発話
  • 対策:話す前に「ブレイク」を使い、簡潔に伝える

バッテリー切れ

  • 現場前に必ず充電を確認
  • 予備バッテリーを持参

無線連絡を円滑にする工夫

チェックリスト活用

  • 呼出符号の確認
  • 報告内容を事前に整理
  • 「5W1H」を意識した伝達(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうした)

シナリオ訓練

現場では突発的な出来事が起こるため、想定ケースごとに無線訓練を行うことで、本番でも慌てず対応できます。

DX・アプリの活用

近年は無線機だけでなく、スマホアプリやクラウド連携ツールを組み合わせて「映像+音声」で状況共有する動きも増えています。これにより、より確実でスピーディーな管理が可能になります。

まとめ:無線連絡は安全の要

無線連絡は、警備業務を支える「縁の下の力持ち」です。交通誘導・施設・イベント・輸送など、それぞれの現場で活用の仕方は違いますが、共通して言えるのは「正確で迅速な情報共有」が現場の安全を守るということです。
基本用語とマナーを押さえ、日頃から訓練やシナリオを通じて慣れておくことで、いざというときにも落ち着いた無線連絡ができます。
現場で無線を正しく活用することは、警備員自身の安全だけでなく、通行者や来場者の安全にも直結します。まずは基本とマナーから、少しずつ慣れていくことをおすすめします。

警備の”今”と”これから”を考えるメディア「警備NEXT」では業界ニュースや現役警備員から聞いた調査レポートを掲載しています。ぜひ参考にしてみはいかがでしょうか。

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