警備の仕事と聞くと、「どこも似たような現場じゃないの?」と思う方も多いかもしれません。ですが実際は、イベント警備や常駐警備など、働く現場によって仕事内容や求められる力がまったく違います。
それぞれの現場には、それぞれ“向き・不向き”があります。たとえば、動きのある環境が好きな人もいれば、落ち着いた場所でじっくり仕事に取り組みたい人もいます。「人と接するのが好き」「体を動かすのが得意」「安定した働き方がいい」など、自分の性格や生活リズムに合った現場を選ぶことが、警備の仕事を長く続けるための大切なポイントです。
この記事では、現場で働くみなさんに向けて、「イベント警備」と「常駐警備」それぞれの特徴や向いているタイプ、そしてそこからどんなキャリアを描けるのかをわかりやすく紹介します。
チームで動く臨場感が魅力の「イベント警備」
たくさんの人の“特別な1日”を支える仕事
イベント警備は、花火大会やコンサート、マラソン大会、初詣など、 大勢の人が集まる会場で安全を守る仕事です。雑踏警備(ざっとうけいび)とも呼ばれ、人の流れを整理したり、迷子や体調不良の方をサポートしたりします。
現場は毎回異なり、準備から撤収までの流れやチーム構成も変わります。短期間の仕事が多い分、その日その瞬間を全員で乗り切る一体感が生まれるのが特徴です。「同じ現場ばかりだと飽きる」という人には刺激のある働き方といえるでしょう。
向いているタイプ
- チームで動くのが好き
 - 人と話すことに抵抗がない
 - 臨機応変に対応するのが得意
 - イベントの雰囲気を楽しみながら働きたい
 
人の多い現場では緊張感もありますが、終わったあとの「無事に終わった」という達成感は格別。 「おつかれさま」「ありがとう」と直接声をかけてもらえる瞬間が、次への励みになるという隊員も多くいます。
経験を積むことで広がる選択肢
イベント警備で得られるのは、単なる現場経験だけではありません。不測の事態に落ち着いて対応する判断力、限られた時間で指示を理解する集中力、仲間との連携力――これらはどんな現場にも通じる力です。
経験を重ねると、エリアリーダーや現場責任者としてチームをまとめる立場を任されることもあります。大型イベントを指揮する立場では、「全員の安全を守る重み」と「やりきった達成感」が同時に味わえます。
さらに、自分の経験を活かして新人教育や配置計画を担当する管制職への道を選ぶ人もいます。
「自分が現場で学んだことを、次の世代に伝えたい」そんな思いを持つ人にとって、イベント警備は多くの学びを得られる仕事です。
日々の安心と安定を守る「常駐警備」
施設を支える“日常の安全管理”が仕事

常駐警備は、オフィスビルや商業施設、学校、病院など、同じ施設に常に警備員が配置される形態です。 施設警備とも呼ばれ、出入口での受付・巡回・監視・報告などが主な業務です。
「今日はこの現場」「明日は別の場所」ということが少なく、 決まった勤務先で落ち着いて働けるのが大きな特徴です。
毎日同じ人たちと顔を合わせるため、自然と信頼関係が生まれます。「いつもありがとう」と言われる瞬間に、“自分がこの場所を守っている”という誇りを感じる方も多いです。
向いているタイプ
- コツコツ仕事を続けるのが得意
 - 落ち着いた対応ができる
 - 同じ環境で安定して働きたい
 - ルールを守るのが得意
 
常駐警備は、いわば日常を支える縁の下の力持ち。トラブルが少ない日こそ、「何も起きないように守れている」証拠です。自分の仕事が“当たり前の安全”を作っているという実感が、静かなやりがいにつながります。
経験を積むことで広がる選択肢
常駐警備では、勤務を重ねるごとに施設ごとのルールや対応力が身についていきます。やがて現場全体の動きを把握できるようになると、責任者代理や教育係といった役割を任されることもあります。
また、施設警備業務検定(2級・1級)など、国家公安委員会が定める警備業務検定に挑戦することで、スキルの裏付けを得て自信を深める人も少なくありません。資格は“昇進のため”だけでなく、「自分の経験を形にする手段」。現場で積み重ねた知識や対応力を可視化できることで、「この仕事を続けてよかった」と感じられる瞬間が増えていきます。
イベント警備と常駐警備のちがいを比べてみよう
| 比較項目 | イベント警備 | 常駐警備 | 
| 勤務期間 | 短期・単発が多い | 長期・安定した勤務 | 
| 主な業務内容 | 雑踏整理・誘導・来場者対応 | 巡回・受付・出入管理 | 
| 向いているタイプ | 明るくアクティブな人 | 落ち着いた対応が得意な人 | 
| 勤務環境 | 屋外が多く、天候に左右される | 屋内勤務が多く、一定の環境 | 
| 将来の道 | リーダー、統括、管制など | 責任者、教育係、管理職など | 
どちらが「上」「下」ということはなく、 自分の得意を活かせる現場を見つけることが、キャリアの第一歩です。
両方を経験して、自分に合うスタイルを見つける人も多くいます。
「自分に合った現場」を見つける3つのポイント
① 生活リズムに合うか
イベント警備は週末や祝日中心の現場が多く、「平日は別の仕事と両立したい」「週末だけ働きたい」という人に向いています。一方、常駐警備はシフト制が多く、夜勤を含めて安定した収入を得たい人におすすめ。
生活リズムが安定していると、仕事への集中力やモチベーションも保ちやすくなります。「今の自分の生活に合うペース」を基準に考えるのも大切です。
② どんな働き方をしたいか
イベント警備は「変化のある毎日」、常駐警備は「積み重ねの毎日」。人と話すことが好きで体を動かしたい方はイベント警備が、落ち着いて勤務したい方・細かな確認作業が得意な方は常駐警備が向いています。
大切なのは、“どんな瞬間にやりがいを感じるか”。「人の流れをコントロールできたとき」「毎日安全に終わること」など、その感情の方向が、自分に合った働き方のヒントになります。
③ 将来、どんな道を歩きたいか
「ずっと現場で体を動かしていたい」「後輩を育てる立場になりたい」「自分の経験を活かして本部でサポートしたい」など、 自分がどんな未来を描きたいかを意識しておくと、経験の積み方も変わってきます。
警備のキャリアは一方向ではなく、広がりがあります。どの道も、今の現場での経験が土台です。いま積み上げていることが、将来のあなたの強みに変わります。
自分に合った働き方で、長く続けよう
イベント警備は「動きのある現場」、常駐警備は「安定した現場」。どちらも社会の安全を支える、なくてはならない仕事です。無理して合わない現場を続けるより、 「自分はどんなときにやりがいを感じるか」「どんなキャリアを歩みたいか」「どんな働き方がしたいか」などを意識してみてください。
どちらの働き方にも、それぞれの魅力とやりがいがあります。大切なのは「自分にとって心地よい現場」「続けていける働き方」を見つけること。焦らず、いろいろな現場を経験しながら、自分に合うスタイル・キャリアを見つけていきましょう。
警備NEXT(警備ネクスト)では、現場で役立つ知識や警備員の声をこれからも発信していきます。日々の勤務に少しでも役立ててもらえたら幸いです。