夏場の警備現場と清潔維持の重要性
夏場の警備業務は、交通誘導や雑踏警備(イベント会場など人が密集する場での安全確保)、施設警備(商業施設やオフィスビルの巡回・監視)といった現場での活動を通じ、長時間にわたり屋外や高温多湿の環境に身を置くことが多くなります。特に炎天下の中で行う交通誘導警備では、直射日光とアスファルトからの照り返しによって体感温度が大幅に上昇し、汗を大量にかく状況が日常的に発生します。
制服は警備員の「顔」であり、清潔な状態を維持することは信頼感や安心感を利用者に与えるうえでも欠かせません。警備業協会の資料でも
警備員の身だしなみは、依頼者や一般市民の安心に直結する
引用 | 一般社団法人 全国警備業協会『警備員教育用テキスト』
と明記されており、制服のメンテナンスは単なる衛生管理にとどまらず、業務品質の一部として位置づけられています。
本記事では、汗をかく季節に押さえておきたい “制服メンテナンスの基本” と、現場で役立つ “便利グッズ” を紹介します。現場で働く警備員や装備担当者の方々にとって「すぐに使える実践的な内容」となることを目指します。
制服メンテナンスの基本
毎日の洗濯習慣
汗をかいた制服は、雑菌や臭いの温床となります。汗に含まれる皮脂やアンモニアは繊維に残りやすく、放置することで黄ばみや臭いの原因となることが指摘されています。
そのため、制服は可能な限り “1日1回の洗濯” を推奨します。連勤で洗濯が追いつかない場合でも、最低2日に1回は洗濯を行い、替えの制服を複数枚用意してローテーションすることが望ましいです。
洗剤と漂白剤の使い分け

汚れの種類や、対策方法ごに洗剤や洗い方を分かることがおすすめです。
黄ばみ・汗ジミ対策 | 酸素系漂白剤を用いたつけ置きが効果的です。襟や脇部分など汗が集中する箇所は、事前に塗布してから洗うと清潔さを保ちやすくなります。 |
臭い対策 | 抗菌作用のある洗剤や柔軟剤を組み合わせることで、細菌の繁殖を抑制できます。 |
制服は化繊(ポリエステル)素材が多いため、洗剤選びの際には「化繊対応」を明記したものを選ぶと安心です。
乾燥方法

高温多湿の時期は「生乾き臭」が発生しやすいものです。厚生労働省は「衣類乾燥においては十分な通気を確保すること」が推奨されています。
- 直射日光で殺菌効果を得る
- 風通しの良い場所で陰干しする
- 乾燥機を使う場合は低温モードで生地を傷めないよう注意
アイロン・スチームケア
シワのない制服は、現場での第一印象を高める重要な要素です。スチームアイロンを使えばシワ取りだけでなく、臭いの軽減や除菌効果も期待できます。
汗対策と快適性を高める便利グッズ
なかなか着替えることができない制服では、事前に汚れや臭い対策をすることも重要な対策となります。
消臭・抗菌グッズ
携帯用消臭スプレー | 休憩中にさっと使用することで臭いのリセットが可能です。 |
抗菌インナーシート | 脇部分に貼るだけで汗ジミを防ぎ、制服を清潔に保てます。 |
制服を守るインナー
2025年夏にプロキャス警備が実施した熱中症対策アンケート調査(対象:現役警備員131名)では、警備員の約3割が「夏場は通気性の良いインナーを使用している」と回答しており、快適性向上に直結していることが示されています。

冷感インナー(吸汗速乾・抗菌素材) | 汗を素早く吸収・発散し、制服の汚れや臭いを軽減します。 |
替えインナーの持参 | 長時間勤務時に途中で着替えることで、体感温度や快適性が大きく変わります。 |
制服管理がもたらす効果と課題
清潔な制服は、依頼者や通行人に「安心感」を与えるだけでなく、警備員自身の快適性と集中力を高めます。特に夏場は熱中症対策とも密接に関わり、制服内の温度・湿度をコントロールすることが安全管理の一環となります。
一方で、現場によっては洗濯設備が十分でない、制服の替えが不足しているといった課題も見られます。今後は企業として、制服の複数支給や洗濯補助費の支給といった仕組みづくりも検討が必要です。
まとめ
- 汗をかく季節は制服の清潔維持が業務品質に直結する
- 毎日の洗濯・抗菌対策・適切な干し方で清潔を保つ
- 冷感インナーや消臭グッズで快適性を高める
- 制服メンテナンスは熱中症対策や安全意識にもつながる
制服は単なる「作業着」ではなく、現場での信頼を築くための重要な装備です。警備員一人ひとりが日常的に取り組むと同時に、企業としての体制づくりも求められます。 汗をかく夏こそ、清潔な制服で快適に、そして誇りを持って現場に立ち続けましょう。