熱中症を防ぐ水分補給と休憩の取り方のコツ

となりの警備員

夏場の警備業務は、屋外での長時間立哨(りっしょう:立って見張る勤務)や巡回など、体力的な負担が大きくなります。特に交通誘導警備雑踏警備では、直射日光やアスファルトの照り返しの影響を受けやすく、熱中症のリスクが高まります。
厚生労働省の統計によると、熱中症による労働災害の約4割は屋外作業中に発生しており、警備員も例外ではありません。本記事では、現場で実践できる水分補給と休憩の取り方のコツを、警備員の勤務実態に合わせて解説します。

なぜ警備員は熱中症になりやすいのか

警備員は他の職種に比べても熱中症のリスクが高い職業のひとつです。その背景には、勤務環境や業務内容に特有の要因があります。ここでは、現場でよく見られる環境的な影響と、警備業務そのものの特性を整理します。

環境要因

炎天下での勤務や高湿度など、外的な環境は熱中症の発症に大きく関わります。特に都市部のアスファルト舗装道路では、気温以上の熱を感じることもあります。

  • 直射日光:真夏の炎天下では、アスファルト表面温度が50℃を超えることもあります。
  • 日陰不足:特に道路工事現場やイベント会場では、日陰で休む場所が少ない場合があります。
  • 高湿度:湿度が高いと汗が蒸発しにくく、体温が下がりにくくなります。

業務特性

警備業務には、暑さを避けにくい特性があります。持ち場を離れられない、装備を外せないなど、安全確保と引き換えに身体への負担が増すことも少なくありません。

  • 長時間立ちっぱなし:交通誘導や施設警備では、持ち場を離れにくい状況が多くあります。
  • 装備による負担:ヘルメット、防刃ベスト、安全靴などの装備は安全のため必須ですが、熱がこもりやすくなります。

水分補給の基本ルール

水分補給は、熱中症予防の最も基本的かつ効果的な方法です。ただし、「喉が渇いた時だけ飲む」という習慣では十分ではありません。ここでは、現場で守りやすい水分補給のポイントを紹介します。

こまめに、喉が渇く前に

喉の渇きは、すでに体が軽い脱水状態にあるサインです。そのため、「渇いたら飲む」ではなく、計画的に摂取することが重要です。
厚労省は、作業中は20〜30分ごとにコップ1杯(約200ml)の水分補給を推奨しています。警備現場では休憩タイミングが不規則になりがちですが、持ち場に500mlの水筒やペットボトルを置くなど、すぐに飲める環境づくりが重要です。

水だけでなく塩分も

発汗によって体内のナトリウムが失われると、水分だけ補給しても体のバランスが崩れます。これが進むと、低ナトリウム血症を引き起こし、頭痛や吐き気の原因になります。
おすすめは以下の組み合わせです。

  • 水や麦茶などの無糖飲料
  • スポーツドリンク(糖分が多い場合は水で半分に薄めてもOK)
  • 塩タブレットや塩飴

冷たすぎない飲み物

キンキンに冷えた飲料は喉ごしは良いものの、一気飲みすると胃に負担がかかります。常温や少し冷えた程度の飲料を、少量ずつこまめに飲むのが理想です。

休憩の取り方の工夫

警備の現場では、連続勤務になりがちで、休憩が後回しになることもあります。しかし、短時間でもこまめな休憩を取ることで、体温を下げ、熱中症の発症を防ぐことができます。

直射日光を避ける

休憩場所は、できるだけ日陰や風通しの良い場所を選びましょう。簡易テントやパラソルなどを現場に設置しておくと、交代で利用でき、体温上昇を抑えられます。

短時間でもこまめに

「一度の休憩時間を長く取る」よりも、「短い休憩を何度も挟む」方が体の負担を軽減できます。持ち場の交替制を活用し、2〜3分でも涼しい場所で体を休めましょう。

冷却グッズを活用

近年は、警備員向けの冷却アイテムも充実しています。首や脇の下を冷やす保冷剤、冷感タオル、ファン付きベストなどは即効性があり、業務中でも使いやすいです。

現場で役立つ熱中症予防のアイデア

実際の警備現場では、工夫ひとつで熱中症リスクを大幅に下げられます。ここでは、現場で採用されている事例を紹介します。

交通誘導現場での例

ある工事現場では、警備員と作業員が共用できる「ミストシャワー付き休憩所」を設置しています。休憩時に体を直接冷やせるため、午後の業務効率も上がったとの報告があります。

施設警備での例

屋内勤務でも、駐車場や搬入口など空調が届きにくい場所は高温になりやすいです。ポータブル扇風機や氷嚢を常備し、定期的に冷却する習慣をつけると安心です。

熱中症のサインを見逃さない

どんなに予防をしても、完全に熱中症リスクをゼロにすることはできません。重要なのは、初期症状を見逃さず、早めに対応することです。

初期症状

軽度の熱中症では、めまい・立ちくらみ・筋肉のけいれんなどが見られます。特に「急に汗が出なくなる」状態は重症化のサインです。

対応

異常を感じたら、すぐに安全な場所に移動し、衣服をゆるめて水分と塩分を補給します。症状が改善しない場合や意識がもうろうとしている場合は、迷わず救急要請(119番)を行いましょう。

まとめ

警備の現場は、熱中症の危険と常に隣り合わせです。

  • 水分補給は20〜30分ごとに200ml
  • 水+塩分補給をセットで
  • 短時間でも日陰での休憩を確保

これらを日常的に意識することで、自分と仲間の安全を守ることにつながります。
警備NEXTでは警備員の方にためになる情報を発信しています。

関連記事

TOP
CLOSE