年末が近づくと、会社から「年末調整の書類を提出してください」という案内が届きます。しかし、警備の現場では夜勤・シフト制で働く方も多く、「書類が多くてよくわからない」「年末調整って結局何のため?」「源泉徴収票が大事って聞くけど、どう関係するの?」
そんな疑問を持つ隊員の方もいるのではないでしょうか?
この記事では、警備員の方が最低限知っておけば失敗しないポイントを分かりやすくまとめました。年末の負担を減らすためにも、ぜひ参考にしてください。
年末になると必ず出てくる“あの書類”…何のため?

年末に提出を求められる各種書類は、1年間の税金を正しく計算するための手続きです。
警備業界では月ごとに収入が変動しやすく、源泉徴収された金額が実際の税額と一致しないケースも少なくありません。その差額を正しく精算するのが年末調整であり、根拠となる法律は 所得税法 に定められています。
年末調整によって税金が戻るケースも多く、現場の隊員にとってメリットのある手続きでもあります。
年末調整を一言でいうと?
「1年間で引きすぎた(または足りなかった)税金を精算する仕組み」です。月々の給与から天引きされる所得税(源泉徴収)は、あくまで仮の金額となります。そこで年末にまとめて正しい金額に調整することで、納めるべき税額が確定します。
- 引きすぎ → 還付される(お金が戻る)
- 足りない → 追加で徴収される
という流れです。
雇用形態別|警備員が準備しておくもの
正社員・契約社員の場合
会社側が年末調整を行います。次のような書類の提出を求められることがありますが、とくに前職の源泉徴収票を出し忘れるミスが非常に多いので注意しましょう。
- 扶養控除等申告書
- 基礎控除申告書
- 保険料控除申告書(生命保険や地震保険など)
- 前職がある場合は「源泉徴収票」
アルバイト・副業の場合
警備員はWワークが多い職種のため、「どれが主か」を整理しておくことが重要です。
- 主たる勤務先 → 会社で年末調整
- 副業の勤務先 → 年末調整不可(自身で確定申告の可能性あり)
請負の場合(業務委託)
請負で働く場合は、会社の年末調整の対象外です。
- 自身で確定申告
- 会社からは支払調書が交付される
「源泉徴収票」と「法定調書」の違い
| 書類名 | 誰に渡される? | 役割 |
|---|---|---|
| 源泉徴収票 | 警備員本人 | 1年間の給与・控除・税額が記載される書類 |
| 法定調書 | 税務署へ提出する書類(会社作成) | 所得税法に基づく報告用資料 |
つまり、警備員本人が確認すべきは源泉徴収票であり、法定調書は「会社が税務署へ提出する裏側の資料」と覚えておけば十分です。
警備現場で起きがちな年末手続きのミス

とくに警備業界は入退社や複数現場の掛け持ちが多いため、書類管理のミスが起きやすい業界です。以下の項目について注意しましょう。
- 源泉徴収票の紛失
- 書類の提出が締切りに間に合わない
- 副業分の処理を放置
- 住所変更や扶養変更を伝え忘れる
スムーズに終わらせるコツ
必要書類は早めの準備が大切
書類は「後でまとめてやろう」と思うほど、紛失や記入漏れが起きやすくなります。年末は現場も繁忙期で、夜勤やシフト調整が重なるタイミングでもあるため、余裕のあるうちに動いておくことが大切です。とくにWワークをしている方は、どの勤務先が“主たる給与”になるかを早めに決めておくことで、年末調整や確定申告の負担がぐっと軽くなります。
会社の担当者へ相談をためらわない
年末の税手続きは専門用語も多く、内容を完全に理解できていなくてもまったく問題ありません。少しでも不安に感じたら、会社の労務担当者へ早めに相談することが一番の近道です。締切を過ぎてから焦るより、聞いてしまったほうがスムーズで、税金の損失リスクも減らせます。
年末は現場も繁忙期のため提出期限を意識
年末調整は「早めに準備」「主たる勤務先の明確化」「相談をためらわない」「期限を守る」という4つを意識するだけで、難易度が大きく下がります。年末を安心して迎えるためにも、少しずつ進めていきましょう。
まとめ
年末の税手続きは複雑に見えますが、警備員として大事なのは次の3点です。
- 源泉徴収票を受け取り、中身を確認すること
- 雇用形態に応じて必要書類が変わると知っておくこと
- 年末調整は所得税法に基づく“税金の清算”であること
最低限これだけ押さえておけば問題ありません。年末は忙しい時期ですが、手続きの意味を理解しておけば不安がなくなります。
警備NEXT(警備ネクスト)では、現場で役立つ知識や警備員の声をこれからも発信していきます。皆さんの日々の勤務のヒントや安心につながれば幸いです。